第五十八話 実力者達
昼過ぎの第七支部訓練場。
太陽は高く、乾いた地面を照らしつけている。
観客席には審査を行う中隊長たちと関係者、そして次代を担う者たちの行く末を見極めようとする鋭い視線が集まっていた。
その訓練場の中央に、白い髪の少女が立っている。
風に揺れる白銀の髪。
両手にはシルバーのガンブレード。
背筋は伸び、視線は真っ直ぐ前を捉えている。
シロエ・セラフ。
彼女が今季の首席である。
開始の合図を待つその短い時間で、シロエはすでに状況を把握し終えていた。
敵の配置、味方の立ち位置、射線、風向き。
それらを瞬時に整理し、必要な指示だけを端的に飛ばす。
「遠距離部隊、私と盾を援護して。
盾の人、いくわよ」
声は冷静で、迷いがない。
後方の受験者が一斉に構え、盾役の受験者が一歩前に出る。
シロエは一番端に配置されたダミーヴォイドに向かって、風を纏った銃弾を撃ち込んだ。
弾道は風に乗り、狙いを外さない。
敵の注意が一気にシロエへと向く。
「今よ!」
合図と同時に、最後方の受験者が火のシックスセンスを解き放つ。
着弾と同時に爆発が起こり、視界を覆う爆煙が広がった。
その間にも、遠距離部隊は他のダミーヴォイドが動かぬよう、絶え間なく牽制を続けている。
爆煙の中、シロエはすでに動いていた。
風の流れを読み、風下へと回り込む。
敵の死角に入り込んだその瞬間、ガンブレードを振り抜いた。
ザシュッ!!
「これで一体目!」
刃が通り、ダミーヴォイドが崩れ落ちる。
「このまま一体ずついくわよ!」
シロエの指示に合わせ、班の動きがさらに洗練されていく。
誰も無駄な動きをしない。
無理も、焦りもない。
「レベル高ぇーな。
あいつまじで18歳かよ」
ショウは思わず声を漏らした。
「ここまで最適解をしっかり選んでる。
無理をせず、確実に倒せる範囲での動き」
アヤメはその戦い方に、自分と似た思考の匂いを感じ取っていた。
「この子、すごいわね。
格が違うわ」
エルサも目を見張る。
「しかも適合率38%みたいだね」
ツカサの言葉に、周囲がざわつく。
「確かにすごい…が、お前達の時も同じような衝撃を受けたし、
ショウに至っては、色々規格外すぎて笑うしかなかったな」
ゼファーは懐かしむように微笑んだ。
そして——
ドン!!
シロエは最後の一体の眉間に、正確無比な一撃を撃ち込む。
ビーーーーー!!
終了の合図が鳴り響いた。
C班の二次試験は、圧倒的な内容で幕を閉じた。
「圧巻だったな」
ショウは笑いを抑えきれていなかった。
「ショウ、さっきからずっと笑ってるよ?」
アヤメが不思議そうに顔を覗き込む。
「シロエと戦いとか考えてんでしょ?」
ツカサがすかさず突っ込む。
そんなやりとりの中、
「あ、次が来たよ」
アヤメが訓練場の入り口を見る。
そこに現れたのは、黒い髪の少年だった。
「あの人も強そうだね」
「あいつは確か…」
ショウが思い出そうとしたところで、
「次席のアモン・レイジね」
エルサが資料から視線を上げる。
「そうそう!アモンだ」
「彼の突破力はかなりのものみたいよ」
「へぇ、楽しみだな」
ショウは再びニヤリと笑った。
アモンは武器に火を纏わせる。
次の瞬間、地面を蹴り、一直線に駆け出した。
こうしてD班の二次試験が開始されたのだった。
Tips
◆名前
シロエ・セラフ
◆性別
女性
◆年齢
18歳




