第五十七話 二次試験
午前の筆記試験が終わり本部入り口には多数の受験者が集まっていた。
ホッとしている者、緊張している者、しっかりと見据えてる者、落胆している者。
皆それぞれの表情をしている。
そんな受験者を前に、サクヤとショウは立っていた。
「懐かしいな、俺たちもこんな感じだったのか」
ショウはその光景を見て懐かしむ。
「いや、あなたはただただ、楽しんでたわよ」
サクヤは当時のことを思い出し笑う。
「さて、じゃあ時間だし、はじめましょうか」
サクヤは一歩前へ出る。
すると、自然と静まり返る。
「私は第七支部大隊長補佐サクヤ・フォレスだ!
これから二次試験を始める。
ルールを説明する。
事前に伝えてある班に分かれてヴォイドを模した機械、ダミーヴォイドとの戦闘シュミレーションを行う。
自由に戦ってくれて構わない。
戦いにおいての制限はない。
ただ、班の誰かがやられるような状況になるか、ダミーヴォイドを倒すかすれば、こちらから終了を伝える。
それだけだ。
ちなみに本物じゃないが、中型を模したものもいれば小型を模したもの、最近発見された新型を模したものを投入している。
そして、それらは君たちを殺す力を持っている。
そのことだけは忘れるな。
以上!」
そして、次にショウが前へ出る。
「俺は殲滅部隊第一部隊中隊長ショウ・フォレスだ。
俺からは一言だけだ。
全員今まで培ってきたものをすべて出せ。
俺たちは今日を判断する。
じゃあ、全員班に分かれて控室で待機。
呼ばれた班から試験会場へ来る様に。
解散!」
各々が散り散りに解散していくのだった。
受験者達は控室で待っていた。
ガチャ
扉が開き係員である一般兵が呼びに来た。
「A班、会場へ」
会場ではゴリアス、サクヤ、ローズ、各中隊長が審査員として座っていた。
二次試験の会場は訓練場での戦いとなる。
A班が現れる。
班は四人一組となり、能力、得意分野を元に編成している。
「アヤメ、この試験をよく見ておけよ。
仲間がいる戦い方を見ておけ。
個の力も必要だが、ヴォイド戦では主にチームでの戦いになる。
ただ、こいつらは受験者だ。
アヤメが見る中で改善した方がいいと感じるところも出てくるかもしれない。
それは修正した上で自分に消化しろ」
ショウはアヤメを横に付けていた。
もちろん、普通ならばやらない。
アヤメのここまでの特性を見抜いての判断だった。
(やはり、ショウにアヤメを任せたのは正解だったようだな)
ゴリアスは横目でその様子を見て、確信していた。
「あんな、無闇に攻撃しても致命傷にはならない」
アヤメはA班の戦いを見てボソっと呟く。
案の定、ダミーヴォイドは一つ一つが強くはない攻撃なのでそのまま攻撃体制に移る。
ドコォーーーン
前衛の受験者が吹き飛ばされる。
起点が潰され、そのままなし崩しにA班は崩壊した。
ビーーーーー!!
終了の合図がなった。
「俺たちで言うと、あの起点になっていたやつが、俺かお前だな。
そこが潰れるとああいうふうに、潰れる可能性が一気に高まる」
アヤメはショウの言葉を静かに聞きながら目線はダミーヴォイドを見ていた。
少し時間を置いて、B班が到着する。
訓練場の入り口が閉まり、試験が開始される。
A班とは違い、全体的に距離を取りながら牽制を入れている。
「あれじゃあ逆に惹きつけられない。
側面からやられる」
アヤメがそういうと
言葉通り両サイドからそれぞれ別のダミーヴォイドが一人ずつ攻めていく。
そして、真ん中に居たダミーヴォイドが正面突破を仕掛ける。
各々が個別に対応しなければいけない状況になり、連携が瓦解した。
ビーーーーー!!
終了の合図がなり、B班の二次試験は終了した。
「アヤメの言った通りになったな。
だが、覚えておけ、実際はこれを最前線で見て、判断しないといけない。
こんな外から眺めてることなんて基本的に出来ない。
だが、今の視点はよかった」
アヤメは集中していた。
(アヤメの集中力は群を抜いてるな)
ショウはそんなアヤメを横目に感心していた。
そしてーー
C班が訓練場に到着する。
「おっ!きたか、本命が」
ショウはニヤリと笑う。
白い髪を靡かせ、二丁のガンブレードを構える美しい少女。
「シロエ・セラフ」
アヤメは名簿で見たシロエの名をボソっと呟いた。
纏う空気がほかとは圧倒的に違う。
シロエは訓練場に着く前から周りを見渡し状況を把握する。
そして、その状況に合わせて同じ班の者に指示を出していた。
「さすがにレベルが高いな。
指揮官として機能してる」
ショウは何故か満足そうに言う。
そして、C班の試験が始まろうとしていた。




