第五十四話 それぞれの道
アヤメの配属が終わり、数日が経ったころ。
訓練場ーー
「よし、今日はこの辺でいいか」
ショウはバスタードソードを地面に刺した。
「うん、今日もありがとう」
黒い髪を靡かせ、黒刀を鞘に納めるアヤメは軍服に身を包んでいた。
「それにしても飲み込みが早すぎるぜ。
どんな頭してんだよ。
いや、それよりもそれを正確に身体の動きに反映させるのが人間離れしてるのか」
「うーん、わからない。
けど、大体のことは仕組みさえ解れば再現できることが多い」
「なっ、ははっ、まじか...」
ショウは呆れながらもその成長速度に驚いていた。
「よし、じゃあこの後は飯食いにいこーぜ」
「うん、わかった!じゃあいこう!」
「おし、っていうか、今さらだけど、軍服いい感じじゃねーか!
サマになってるよ!」
ショウはアヤメの肩にポンと手を置く。
「ありがと。
私は大事な人を守る為にもっと強くなる」
「あぁ、そうだな。
でも覚えておけ、一人の強さなんてたかが知れてる。
仲間がいるから守れるってことをな」
ショウはニッと笑ってみせた。
一方そのころ避難所ではーー
各々自分たちで用意した家へ行くための準備が進められていた。
「ここともおさらばね」
ミラは荷物をまとめている。
「そうね」
サラも荷物をまとめていた。
「サラは第七支部の医療班に行くことにしたんだね」
「えぇ、ここの人は信用できると思うの。
なら、私は自分にできることを精一杯やりたい」
「サラはすごいね。
自分のことをちゃんとわかって、自分がなにをすればいいのかちゃんと理解してる」
ミラは少し表情を曇らせる。
「そんなことないわ。
私は自分のしたい事をするための準備が入念なだけよ。
私はあなたの自分の気持ちに純粋な方がすごいと思うわ。
自分の気持ちを貫くことは誰にでもできる事じゃない」
「自分の気持ちを貫く...
そうね、お互いがんばりましょ」
ミラは笑顔を見せる。
その笑顔の裏に迷いがあることをサラは気付いていたが、あえて触れなかった。
それは自分自身が乗り越えなければならないものだったからだ。
荷物を詰め終わったミラは一人、椅子に座り窓から刺す、木漏れ日を浴びながらコーヒーを飲んでいた。
「ここからは私もちゃんとがんばらなくちゃ。
自分になにが出来て、何が出来なくて、何がしたいのか。
ちゃんと見極めていかないと。
...私はどうしたいんだろ」
(アヤメはもうちゃんと生きていける。
それにアヤメには第七支部の人たちもいる。
あの人たちなら大丈夫。
信用できる。
...アヤメの試験の時の笑顔、眩しかった。
今は成長できることが楽しいんだね。
私はアヤメに守られてばっかりだったな。
私は...)
ミラは天井を見上げたのだった。
Tips
アヤメ(第七支部入隊後)




