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第四十九話 それぞれの決意と不穏の影


 ショウが目覚める少し前――。

 ガレン、ルカ、エマの三人は、医療班の許可を得て、ミラたちが滞在している避難所へと向かっていた。

 完全とは言えないものの、怪我はある程度回復し、歩行には支障がない状態まで戻っていた。

 セブンスロック内部の通路を抜け、避難所へと足を踏み入れた瞬間、ミラが真っ先に三人の姿に気づいた。


「みんな! おかえり!

 って、場所はいつもとは違うけどね。

 でもみんなが生きてて本当によかった。

 それから命懸けで私たちを守ってくれて、本当にありがとう」


 ミラはそう言って、深く頭を下げた。

 その言葉には、代表者としての形式的な礼ではなく、心からの感謝が込められていた。


「早速で悪いんだけど、今後のことを決めたいから、今からみんなで話し合いたいんだけどいい?」


 少しだけ表情を引き締めて、ミラは続ける。


「あぁ、俺たちもそのために来た」


 ガレンは短く答えた。

 やがて避難所の広場に人が集まり、即席の話し合いが始まる。


「まず、ガレン達が眠っていた間に、私たちの方はこのままセブンスロックに移住しようって話になったの。

 理由は、私たちだけじゃこの先、自分たちの命を守っていくことが難しいと判断したからよ」


 ミラは一人一人の顔を見ながら、言葉を選ぶ。


「今回のことでジェイドは死んでしまった。

 ガレン達も重症を負った。

 そんなリスクを抱えてまで、街の外で生きていく事は、これからどんどん難しくなっていく。

 そう、判断したの」


 しばしの沈黙の後、ガレンが口を開いた。


「そうか、話はわかった。

 こちらも一つ話しておくことがある」


 ガレンは一度、ルカとエマに視線を向けてから続ける。


「まず、ルカとエマは、もう今後戦いには参加しない。

 そして俺は、一度旅に出ようと思う」


 その言葉に、小さなどよめきが走る。


「今回の戦いで、自分の力の無さを思い知った。

 一度、自分を見つめ直したくなったんだ」


 ルカとエマは申し訳なさそうに俯き、ガレンだけは穏やかな表情を保っていた。


「わかったわ。

 一ついい? ルカ、エマ、そんな表情をしないで?」


 ミラはそう言うと、二人を抱きしめた。


「感謝こそすれど、誰もあなた達を責める人なんていないわ」

 その光景に、アヤメ、サラ、そして他の住人たちの表情も自然と和らぐ。

 避難所には、ほんのひととき、優しい風が吹いたようだった。

 


 ――時は少し遡り。

 サクヤの部屋。


「サクヤ、一つ聞きたいことがある」


 ショウは珍しく真剣な表情で切り出した。


「ん? どうしたの?」


「ここに来る時、ベルモンドにでくわした。

 第六支部になにかあったのか?」


「あー……はぁ」


 サクヤは一瞬、とぼけようとしたが、ショウの視線を見て諦めた。


「まだなにも確定してないから内密にしておいてよ。

 荒立てたくないから」


 そう前置きして、静かに語り始める。


「第六支部の中で、行方不明者が複数名出てきてるのよ。

 そこでベルモンドに、詳細を調べてきてもらってたわけ」


「行方不明者?

 ヴォイドとの戦闘でか?」


 ショウは眉をひそめる。


「いや、ベルモンドが行ってるあたり、そんな感じでは無さそうだな」


「さすがに鋭いわね。

 そうよ。戦いの記録はないのに行方不明になってるの。

 居なくなり方が不自然なのよ。

 誰もなにも知らないの」


「そんな神隠しみたいな話……にわかには信じられねぇな」


「非科学的ですね」


 リヴィアも同意するように口を開く。


「ベルモンド中隊長は、なにか掴めたのですか?」


「いえ。

 ただ、行方不明者は二十名を超えるみたいね」


「……かなりの数だな」


 ショウは低く呟く。


「なんにしても、今はベルモンドに任せるしかないわね」


「そうですね。

 もし気になったことがあれば、お二人に相談します」


 リヴィアは冷静に頷いた。

 その静かな会話の裏で、

 ゼノスに、かつてない不穏の気配が、確かに忍び寄っていた。



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ハイファンタジー/女主人公/異能/第六感/チート/異能バトル
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