第四十二話 本部への帰還
ツカサを筆頭に全員でセブンスロックへと車で向かっていた。
ショウとサクヤの状態から尋常ではない事が起きたのは明白だった。
その様子が自然と皆の会話を無くしていた。
ツカサ、リヴィアはそれほどまでに大きな事が起きていたにも関わらず、それを知りすらしなかったことに悔しさを滲ませていた。
(私も中隊長についていけばよかった...
いや、大隊長補佐も、中隊長もこんなになるくらい過酷な相手なら、今の私じゃ足手纏いになる...
中隊長...いつもみたいにヘラヘラした顔を見せてください...)
リヴィアは悔しさの中にも冷静な判断を交えていた。
だが、その冷静さ故に自分の現時点の力にもどかしい気持ちを抱える。
サクヤとショウの手を握るリヴィアの手は震え、そして目には涙が今にも溢れそうになっていた。
そして、車はセブンスロックへと着く。
「戻った。
要救護者が五名いる。
急いで運んでくれ。
クロート副官、救護班に指示を頼む。
おれは報告へ行く。
セラフィは拠点の人たちをひとまず防衛隊のところへ連れて行ってくれ)
ツカサは迅速に指示を出す。
各々ツカサの指示通りに動く。
そして、ツカサは大隊長室の前にいた。
「失礼します。
急いで報告したいことが」
ツカサは大隊長室の扉を開ける。
「あぁ、聞こう」
ゴリアスは事務仕事を止め、視線をツカサへ向けた。
「まず、大隊長補佐とショウがかなりの重症です。
理由はまだこれからですが、集中治療室で治療してます。
次にXとの接触に成功し、共にここへ戻ってきました。
今は集落の人々と共に行動させています。
最後にその集落の人々ですが、集落自体には医療施設もなく、戦力も見られなかったため、保護する形で一旦こちらへ連れてきています。
この先どうするかは、彼等次第ですが。
以上がひとまずの報告になります」
ツカサは状況整理をしながら、報告した。
「うむ、わかった。
サクヤとショウの様子は後で見にいこう。
集落の住民と、Xについては、一旦ここにいるのであれば急く必要もないだろう。
まずはそれぞれにゆっくり休んでもらおう。
お前もよく立ち回ってくれた。
ゆっくり休むといい」
ツカサは敬礼をすると大隊長室を後にした。
リヴィアはショウとサクヤの手術室の前にいた。
コツッコツッコツッ
走ってくる足跡が廊下に響く。
「リヴィア!!はぁはぁ...ショウは?!」
白い髪を靡かせ、息を切らしながらエルサが走ってきたのだ。
「二人とも今は集中治療室で治療中です...」
リヴィアは下を向きながらか細く話す。
「大丈夫よ、二人ともこんな所でどうにかなる人たちじゃない。
少し経てばまたいつも通りに賑やかにしてるわよ」
エルサは自分にもそう言い聞かせるように言う。
(私がリヴィアと同じように下を向いてはダメ。
私はいつも通りショウを迎えてあげたい)
エルサの表情は凛としていたが、手には力が入っていた。
過去にも無茶をしていたことのあるショウとサクヤだったが、ここまでの状態になるのは初めてのことだった。
それがわかるからこそ、二人の状態を知った第七支部のメンバーはこの事態が尋常ではないことを察していたのだった。




