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第十八話 ゼノス第七支部


 時は少し遡る。

 セブンスロックのゼノスの支部。

 -ゼノス第七支部-

 七つの鉱山に囲われた街、セブンスロック。

 資源と鍛治で成り立つこの街は、外から来た者にとっては活気と煙の匂いが混ざる「生きている街」だ。

 だが同時に、ヴォイドの脅威が常に影を落とす境界でもある。

 だからこそ、この街の運営は単なる自治では回らない。 流通を守り、鉱山を守り、人を守り、そして必要なら戦う。

 それらを担っているのがゼノス第七支部だった。

 治安維持の看板を掲げつつ、その実態は軍に近い。

 街の人々は支部の存在に安堵し、同時に畏れも抱く。

 彼らが動くときは、街の運命が動くときだからだ。

 そして、街の中央にある大きな建物がその第七支部の本部である。

 厚い壁と頑丈な扉、巡回兵の足音、張り詰めた空気。

 外観は要塞そのものだが、中に入れば一層“秩序”が匂う。

 紙と金属の音が交差し、連絡路には短い報告が飛び、遠くからは訓練の衝撃がわずかに響いてくる。

 本部の奥。そこにある広大な訓練場。

 天井は高く、壁面は補強材で幾重にも覆われている。

 床には細かなひびや擦過痕が残り、過去にここで交わされた“全力”の名残が消えずに刻まれていた。

 ここは力を示す場であり、同時に力を制御する場でもある。

 適合率が高い者ほど、力は膨れ上がる。

 だから、この場所の空気はいつも少し重い。

 目に見えない圧が、当然のように漂っている。

 その中心に、軽口を叩きながらも揺るがない男が立っていた。

 「今日こそ、叩きのめしてみせますよ!」

 白い歯を見せ笑みを浮かべ軽口を叩く彼は【ショウ・フォレス】。

 ウェーブがかった長めの茶髪。

 少し垂れた目は金色の瞳をしている。

 シャープな筋肉質でアシンメトリーなデザインの黒の軍服のロングコートを纏い、覗いてる右肩にはタトゥーが入っている。

 その右手には横幅30cm、縦の長さ150cmの黒光りした超硬合金のバスタードソードを持っている。

 第七支部殲滅部隊第一部隊中隊長および第七支部殲滅部隊中隊長筆頭である。

 その実力は非常に高く雷のシックスセンスを用いた高い戦闘力を誇り、その圧倒的な火力は全支部の中隊長では間違いなく最強である。

 また一部の大隊長をも超える強さを誇る。

 規律をあまり気にせず興味で動く事が多い。

 また冷静で戦場を俯瞰的に見て立ち回る。

 それ故に戦場では単独で動くことも多い。

 適合率は驚異の50%である。

 ショウの声は軽い。

 だが、軽いのは言葉だけだ。

 握られた柄は微動だにせず、刃の角度もぶれない。

 肩の力が抜けているように見えて、いつでも一歩目が切れる姿勢。

 戦場で“遊び”と“本気”の切り替えが極端に速い男の気配が、そこにある。

 それに対し、笑い声で空気を押しつぶすような巨体が応じた。

 「ガハハハハ、そう言って今までお前がわしに勝ったことがあったか?」

 大きな口をあけ豪快に笑うこの大男は【ゴリアス・ナックル】。

 白髪の短髪に異常と言えるほどの筋肉を持ち、身長も2m近くある。

 赤色の軍服を纏い、腕まくりしたその腕は丸太の様な太さがあり、いくつもの死線をくぐり抜けたであろう古傷がいくつもある。

 そしてその大きな手には超硬合金でできたナックルを両手に持っている。

 この男が第七支部、セブンスロックをまとめる大隊長である。

 その強さは第七支部最強。

 適合率は50%あり、シックスセンスは火。

 ゴリアスの笑いは大雑把で豪快だ。

 だが、その目はまるで笑っていない。

 笑いながら測っている。

 相手の呼吸、重心、間合いの取り方――それらを自然に読み取る。

 幾度も死線をくぐり抜けた者が持つ、獣のような直感。 そこに“人を見抜く目”が重なる。

 だから部下は慕い、同時に恐れる。

 その二人の間へ、白い冷気のような声が差し込んだ。

 「もう、ショウはまたそんなこと言って。大隊長に失礼でしょ?」

 ショウを注意する彼女は【エルサ・マキア】。

 白銀の長く綺麗な髪の毛に視線を惹きつけるその容姿、白の軍服に身を包んでいる。

 彼女は第七支部殲滅部隊第二部隊中隊長で、氷のシックスセンスの使い手。

 その圧倒的な範囲殲滅力は凄まじい。

 適合率は35%。

 エルサはショウの幼馴染である。

 その手にはシックスセンスの出力を上げるためのグローブを装着している。

 エルサの声音には、規律と気品が混ざる。

 見た目の整い方が、逆に威圧になる。

 遠距離特化――それは前に出ない弱さではない。

 後方から“戦場そのもの”を制圧する強さだ。

 氷の一撃は単体を刺すのではなく、面を塗り替える。

 だからこそ、第二部隊の兵は彼女の指示一つに命を預ける。

 訓練場の端。制御盤の前に部下が立っている。

 結界――それは強者たちが全力でぶつかるための安全装置だ。

 衝撃を吸収し、熱も冷気も拡散させない。

 訓練場の外に被害を出さないための“枷”。

 この枷があるからこそ、彼らは遠慮なく力を振るえる。

 「おい、お前、結界を張れ。」

 エルサは部下に指示を出す。

 「は、はい!」

 部下はビビリながらもその美しさに見惚れる。

 この結界は訓練場やその周辺の破壊を防ぐものだ。

 これがあることにより、隊員は全力で訓練できる。

 部下の指先がボタンへ伸びる。

 だが、押下の直前――空気が裂けるような警報が、本部全体を塗り替えた。

 ビーっ!!ビーっ!!ビーっ!!

 大きなサイレンが館内全体に響き渡る。

 訓練場の熱が、一瞬で沈む。

 兵の表情が切り替わる。

 遊びの顔が消え、任務の顔になる。

 そして、一人の男が訓練場に現れる。

 「ショウ!エルサ!いくぞ!」

 彼は【ゼファー・シュトラウス】。

 白髪混じりの黒髪に茶色の軍服を纏う。

 体格は大きく、優しそうな見た目の中に確かな威圧感を匂わせ、その体にはいくつも古傷がある。

 彼は第七支部殲滅部隊第三部隊中隊長で土のシックスセンスを扱う。

 武器はクロム製のロングソードだ。

 非常に高い戦闘技術、戦闘カンを持っており、シックスセンスの扱いについては非常に高いレベルで扱う。

 適合率は32%。

 ショウやエルサの指南役も過去にこなしていた。

 ゼファーの声は大きくない。だが芯がある。

 “今すぐ動け”という意味が、言葉の裏から滲む。

 第三部隊を預かる者としての責任と、戦場を知る者としての勘。

 それが一言に凝縮されていた。

 「ちっ、これからって時に!」とショウが舌打ちをする。

 「そんなこと言わずに、さっ、いきましょ!」とエルサがショウをなだめる。

 舌打ちは不満ではなく、血が騒ぐ音だ。

 エルサはそれを知っている。

 知っているから、軽く流し、前へ向かせる。

 幼馴染だからこそできる距離感が、そこにはある。

 「大隊長、こいつらを連れていきます。」

とゼファーはゴリアスに伝える。

 訓練場の空気が、さらに一段沈む。

 ゴリアスは笑みを消し、短く頷く。

 出動は、街を空にする決断でもある。

 だからこそ、残る者、行く者、双方が重みを理解している。

 「わかった。報告は逐一入れろ。街はこちらが預かる。いけ!」

 「「「了解!!」」」

 「お前ら!いいか!必ずおれの元に帰ってこい!!これは最優先命令だ!!」

と、訓練場を後にする三人の背中に大きな声でゲキを飛ばすゴリアスであった。

 その声は命令であり、祈りでもあった。

 最優先命令――それは“勝て”ではない。

 “生きて帰れ”だ。

 支部の柱を失わないための合理であり、人情深い男の本心でもある。

 館内への扉をあけるとそこには三人の部下がすでに待機していた。

 出動の準備はすでに整っている。

 副官は、部隊の心臓だ。

 中隊長が刃なら、副官は刃を振るうための握りだ。

 補給、統率、伝令、状況判断――その全てがここから走る。

 ショウが自分の副官に声をかける。

 「おう、いくぞ」

 金髪を後ろで結い、黒縁の眼鏡をかけた妖艶さの溢れる女性。

 黒の軍服を身にまとい鋭い眼差しをしている。

 彼女は第七支部殲滅部隊第一部隊副官、ショウの直属の部下である【リヴィア・クロート】。

 風のシックスセンス、クロム製のレイピアの使い手。

 その俊敏な動きと研ぎ澄まされた風とそれを纏うレイピアでの高速の突きは、対象物に風穴をあけるほどの威力を誇る。

 適合率は28%。

 また現状唯一、ショウが指南した部下であり、ほかの副官と比べると頭ひとつ抜けて強い。

 また第一部隊の参謀であり、実質的に部隊を回す人物で真面目な性格。

 リヴィアは一礼し、すぐにショウの服装へ目を走らせる。

 乱れは小さいが、彼女にとっては許容外だ。

 戦場では小さな乱れが死になる。

 だから、彼女は厳しい。

 「中隊長、服装を整えてください」とショウに指摘する。

 「わーったよ」とショウはしぶしぶ服装の乱れを直す。

 ショウは面倒くさそうに見えるが、逆らわない。

 信頼しているからだ。

 自分の“自由”が成り立つのは、リヴィアが後ろで整えているからだと理解している。

 次に、エルサの側へ寄る小柄な影。

 「マ、マキア中隊長、準備出来てます」

 少しオドオドした様子で金髪ボブの女性がエルサに話しかける。

 小柄で白い軍服を規則正しく着用している。

 可愛らしい大きな目をしており、二丁拳銃をその腰に携えている。

 第七支部殲滅部隊第二部隊副官【レティナ・クロート】。

 遠距離を得意としており、援護射撃が上手く状況判断の早さを生かした戦い方を得意とする。

 また非常に物腰が柔らかく、誰にでも優しい性格で部下からの人気も高い。

 適合率は28%で、火のシックスセンスを操る。

 第一部隊の副官リヴィアとは姉妹で、強くてかっこいい女性に憧れるレティナはエルサやリヴィアに憧れている。

 臆病さは彼女の欠点ではない。

 臆病だからこそ、危険を嗅ぎ取る。

 臆病だからこそ、守るための判断が早い。

 第二部隊が遠距離支援として機能するのは、レティナが“最悪の芽”を見逃さないからでもある。

 「レティナ、準備ご苦労。いくぞ」

 エルサがレティナを視線で引っ張る。

 それは命令ではなく、導きだ。

 エルサは言葉少なに、しかし確実に人を動かす。

 彼女の周囲では、無駄が削ぎ落とされていく。

 最後に、勢いだけで空気を割る男。

 「おっしゃー、いくぜー!!」

 やる気を漲らせているこの男は【ガレス・ボイル】。

 黒のドレッドパーマで緑のヘアバンドをしている。

 褐色の肌でゼファーに憧れて毎日筋トレをしているその体は筋骨隆々だ。

 その太い腕にはタトゥーが刻まれている。

 第七支部殲滅部隊第三部隊副官で、風のシックスセンスと全体がシルバー製のハルバートの使い手。

 適合率は25%。

 基本的に脳筋で戦術を無視して特攻することもしばしば。

 また面倒見が良く、部下からはアニキと慕われている。

 ゼファーのことは憧れもあるが親の様に思っている。

 「ガレス。また突っ込みすぎるなよ」

 すかさずゼファーが突っ込みを入れる。

 軽口に見えるが、実際には釘を刺している。

 ゼファーはガレスの長所も短所も知っている。

 突っ込みすぎる癖は危険だが、突っ込むからこそ開ける道もある。

 だから“抑える”のではなく“制御する”。

 それが師匠役の手腕だった。

 そして、六人はそのまま兵士が準備している入り口へ向かった。

 そこには各部隊30名ずつ、総勢90名が整列していた。

 整列の姿は揃っている。

 だが、目の光はそれぞれ違う。

 経験者の冷えた光。

 新人の硬い緊張。

 任務の重さを噛みしめる視線。

 その全部を、指揮官は受け止めねばならない。

 ゼファーが一歩前へ出る。

 一般兵の視線がすべてゼファーに集まる。

 「いいか!現在約30体の中型を含むヴォイドがこちらを目指して侵攻中だ!前例のない数だ!これから、こいつらを殲滅しに行く。第一部隊は前方に配置、正面から迎え撃て!第二部隊は中段から援護射撃を中心に第一部隊の援護!第三部隊は私とガレスで半分に分ける。私の部隊は第二部隊の周りに配置、ガレスの部隊は第一部隊の援護を行え!全部隊、行動開始!!」

 「了解!!」

 その一言で、兵は“戦場の時間”に入る。

 背筋がさらに伸び、荷物の確認が走り、部隊ごとに動線が分かれる。副官たちの指示が飛び、無駄な声が消える。 準備は静かに、だが確実に速い。

 全員オフロードの四駆車に乗り込み、第一部隊、ガレスの部隊は小回りを利かすために馬に乗る。

 エンジンが唸り、排気の匂いが立つ。

 一方で馬は生き物の熱を吐き、蹄が床を打つたびに重い音が響く。

 車列は後方支援と中距離展開に向く。

 馬は前線の速度と小回りに向く。

 編成は合理的だった。

 そして全体の一番前には一際威圧感を放つ黒い馬がいる。

 見ただけでわかるほかの馬とは違う筋肉量、ごく稀に出るゼノマトリクスの影響を受けた動物である。

 気性が荒くなる代わりに身体能力が格段に上がる。

 シルバーとゴールドで装飾された鞍と防具がついている。

 そんな馬に乗るのは中隊長筆頭であるショウだ。

 黒い馬は静かに首を振り、鼻息を短く吐いた。

 周囲の馬がわずかに怯む。

 それでもショウは涼しい顔で鞍に収まり、巨剣を軽々と扱う。

 常識外れの武器を常識のように振るう男にとって、常識外れの馬もまた“足”でしかない。

 ショウは高らかにバスタードソードを掲げる。

 空気が、集まっている兵たちが静まり返る。

 あの軽い男が、今だけは無駄を削る。

 全員が知っている。

 ショウの号令は、ただの声ではない。

 前線が一本に揃う合図だ。

 恐怖を押し込み、視線を前へ固定させる――雷の中隊長が作る“戦場の空気”だ。

 「いくぞぉーーー!!」

 ショウの号令が響く。

 おぉーーーー!!!!

 地響きの様な兵たちの声がそれに号令に続いて響くのであった。

                                                    

Tips

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部大隊長

◆名前:ゴリアス・ナックル

◆性別:男性

◆年齢:55歳

◆身長:198cm

◆武器:超硬合金製ナックル

◆シックスセンス:火

◆適合率:50%

挿絵(By みてみん)


                                                    

Tips2

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第一部隊中隊長

◆名前:ショウ・フォレス

◆性別:男性

◆年齢:30歳

◆身長:176cm

◆武器:超硬合金製バスタードソード

◆シックスセンス:雷

◆適合率:50%

挿絵(By みてみん)

                                                    

Tips3

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第二部隊中隊長

◆名前:エルサ・マキア

◆性別:女性

◆年齢:30歳

◆身長:163cm

◆武器:シックスセンスの威力を増幅するグローブ

◆シックスセンス:氷

◆適合率:43%


挿絵(By みてみん)


                                                    

Tips4

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第三部隊中隊長

◆名前:ゼファー・シュトラウス

◆性別:男性

◆年齢:45歳

◆身長:186cm

◆武器:クロム製ロングソード

◆シックスセンス:土

◆適合率:32%


挿絵(By みてみん)


                                                    

Tips5

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第一部隊副官

◆名前:リヴィア・クロート

◆性別:女性

◆年齢:25歳

◆身長:165cm

◆武器:クロム製レイピア

◆シックスセンス:風

◆適合率:30%


挿絵(By みてみん)


                                                    

Tips6

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第二部隊副官

◆名前:レティナ・クロート

◆性別:女性

◆年齢:24歳

◆身長:160cm

◆武器:二丁拳銃

◆シックスセンス:火

◆適合率:28%


挿絵(By みてみん)


                                                    

Tips7

キャラクタープロフィール

◆所属:ゼノス第七支部殲滅部隊第三部隊副官

◆名前:ガレス・ボイル

◆性別:男性

◆年齢:28歳

◆身長:170cm

◆武器:ハルバート

◆シックスセンス:風

◆適合率:25%


挿絵(By みてみん)

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