表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【番外編】笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界を繋いでいる  作者: 八坂 葵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/8

第8話 セレナのお嫁さん?【外伝】

 わたし、プラシナ。

 プラシナ・フェルディナルト。

 パパは先生してるんだよ、すごいでしょ?

 今日はママが風邪ひいちゃったから、パパといっしょに学校に来てるの。

 先生たちみんなやさしくて、おかしくれたりして、すっごく楽しかった。

 でもね、わたしのたたかいはこれからはじまるの。

 そう、あの女とのたたかいが。



「ちょっと、先生も少しくらいは指導してよね。この給料ドロボウ!」

「貴様、教師に向かって何て言い草だ」

「へへーん、悔しかったらちょっとは先生らしいことしてみなさいよね」


 あいつだ!

 私のパパをドロボウなんて、ヒドイこと言ってるあの女。

 たしかパパはセレナって言ってた。

 パパはうちでよくセレナのことを話す。


『今日はセレナのせいでひどい目にあってな……』

『高位貴族と当たり前に関わるなど、正気の沙汰とは思えん』

『机に穴を開けるような実験は、俺も初めてされた。教頭に何度も頭を下げて許してもらえたがな』


 ね?

 ひどいでしょ?

 だから今日はわたしがパパのかたきをとるの。


「そう言えば、なんでお子さん連れてきてるんですか?」

「あぁ、妻が流行りの風邪をもらったんだ。子どもに感染(うつ)すわけにいかないのと、面倒を見させられないからな」

「えぇっ、奥さん風邪なのに放置してきたの? ひどっ! この冷血メガネ!」

「誰が冷血メガネかっ! ちゃんと妻の母親に頼んである。俺が手抜かりするわけがなかろう」


 もー、がまんできない!

 わたしがいってやらないと、パパがかわいそすぎる!


「ちょっと、そこのアホ女!」

「なっ!? ……先生、子どもの教育が出来てないんじゃ?」

「こら、プラシナ。そんな悪い言葉、どこで覚えてきた」

「パパがいつも言ってた」


 わたしが言うと、パパは下を向いて、元気なくなっちゃった。

 そのかわりアホ女が元気になった。


「へぇ、先生、いつも家で誰のことを『アホ女』呼ばわりしてくれてんのかしら?」

「アンタに決まってるでしょ、アホ女」


 わたしの言葉に、アホ女はへんな顔でわたしの前にしゃがんだ。


「プラシナちゃんって言ったっけ? ちょっと口が悪いなー。年上相手には、もう少し丁寧な言葉を使おうか?」

「うるさい、バカ女」

「……先生?」

「……すまん、以後重々気をつけることとする」


 なんでパパがあやまってるの?

 わるいのはコイツなのに。

 パパをあやまらせるヒドイやつ。

 ゆるせない!


「えいっ!」


 わたしはちからいっぱい、アホ女を押した。

「キャッ!」といってアホ女がころぶ。

 そうしたら、パンツが丸見えになった。


「やーい、パンツみえてるー。はっずかしー」


 あわててかくすアホ女。

 でももう見ちゃったもんね。


「やーい、やーい、パンツ女ー」

「……せん、せい?」

「……すまん、お手柔らかに頼む」


 アホ女がニヤリとわるい顔になる。

 そして、わたしのからだを持ち上げて、足の上においた。

 くっ、にげられない。


「はなせっ、はなせー、このパンツ女!」

「プラシナちゃん? 悪いことをしたらお仕置き。知ってるわよね?」

「ヒィッ!」


 おしおき。

 ママがいつもするやつ。

 だからわたしこうなってるんだ!


「やだっ、やだぁ、いたいやつやだあっ!」

「そう思うなら、次からは二度としないことね」


 あ、あれ?

 ゆるしてくれた?

 でも、あまかった。


 わたしのおしりでバチーンという大きな音。

 そして、じわっといういたみが、いっきにひろがっていった。


「いたーいっ! ワァァァン、いたいよぉ、ウァァァン。パパァ、たすけてー。ひどいことするよ、こいつ」

「セレナ、気が済んだか?」

「なんで私が悪者みたいに聞くんですか。先生、どうせ女の子だからってこういうの出来ないんでしょ? まったく、うちのパパと同じなんだから」

「……すまない。そこに関しては弁解の余地もない」


 なんで、なんでパパがあやまってるのよ。

 わるいのは、コイツじゃない。

 わたしをぶったんだよ。


「ヒック、ウゥ……ヒック」


 泣いていると、パパがわたしをだっこしてくれた。

 わたしはもうぶたれないようにギューっとしがみつく。


「プラシナ、人に対して直接アホだのバカだのと言っては駄目だ。プラシナだって言われたら嫌だろう? だから、言うなら本人がいないところにしなさい」

「……先生、それおかし過ぎるって。もう、貸しなさい!」


 アホ女は、わたしをパパからひきはなして、だっこした。

 いやぁ!

 また、ぶたれるー!

 じたばたしていたら、ギュッとされてにげられなくなっちゃった。


「プラシナ、たたいてゴメンね。とっても痛かったよね?」

「……うん」

「人にひどいこと言うと、こうやってぶたれるのよ。私なんて小さい頃、いっつも五回つづけてやられてたんだから」


 五回!

 一回でこんなに痛いのに。


「ひいっ! やっぱりワルモノだよ、パパ」

「そう、悪い子だったのね。だから、悪いことをするたびに、こうして叩かれてた。だからね、プラシナも、ママに叩かれたら、ちゃんとなんで叩かれたか、考えてごらん。ママはプラシナに悪くなってほしくないから、叩いてるんだから」


 そう……なの?

 パパを見ると、パパもうなずいてた。


「ほら、こっちおいで。今日はプラシナちゃんが来るって聞いてたから、みんなでお菓子たくさん用意してたんだから。一緒に食べよう」


 二コッと笑うアホ……お姉ちゃんは、まるでママみたいな笑顔だった。

 いい人……なのかな?


「セレナすまんな。ちょっと俺は今日中に出さなきゃいかん書類がある。任せていいか?」

「うん! こっちは頼まれたから、先生はやることやって、早くプラシナちゃんを構ってあげてよ」

「そうだな。……プラシナ、お姉ちゃんたちの言うことをよく聞いて、少し待っててくれ。みんな優しいから大丈夫だ」


 えっ、えっ?

 パパ、こいつのことキライなんじゃなかったの?

 なんでそんなにふたりしてニコニコしあってるの?

 まるで、ともだちみたい。



 けっきょくそのあとは、セレナのほかにたくさんのみんなとおかし食べたり、いっしょにあそんだりして、すっごくたのしかった。

 なんかあそんでたら、セレナはとってもいいお姉ちゃんだった。

 なんでパパはセレナのわるくち言ってたんだろう?

 きっと、パパがわるいんだ。

 うん、そうにちがいない。


 ◇◆◇


「セレナっ! お前のせいでプラシナが俺と距離を開けてしまったじゃないか!」

「先生、女の子なんてそんなもんですって。一時は離れますけど、先生がちゃんと親してれば戻りますから」

「本当か?」

「さあ? 私はパパと距離取ったことないですけど、今までパパと仲悪いままっていう子、あんまり聞かないですよ。だから大丈夫ですって」


 私の言葉に納得まではしなかった様子のレオニス先生だったが、一応引き下がってくれた。

 そして私に手紙を渡す。


「プラシナからだ。字は……まぁ、その、まだまだでな。妻が下に翻訳を書いてくれてるから、そっちを読んでくれ」


 なーんか、釈然としない感じの顔してるな?

 私はもらった手紙を開けて、中身を見てみた。

 うはぁ、みみずののたくったみたいな字。

 懐かしい。

 私もこんな感じだったなぁ。

 すると、その下に奥さんのものと思われる、とてもキレイな字が書かれていた。


『セレナお姉ちゃん、とっても楽しかったよ。大きくなったらお婿さんにもらってあげるね』


 ………………


「先生、ちょっとプラシナちゃんのお尻、十回叩きに家に行っていいですよね?」

「いいわけあるかっ! プラシナからの好意だ。ありがたく思え」

「じゃあ代わりに親が受けないとダメですよねぇ?」


 私の顔に先生の顔がみるみる引きつっていく。


 スチャッ。


 鞄から取り出したハリセンを、一振り、二振り。

 ブンッ、ブンッと、いい音を立てる。

 今日も絶好調だ。


「さあ、覚悟してください。せんせっ」

「セレナ、やめろ、やめろーー!!」


 ウルヴィス高等学校、レオニス研究室は、今日も平和な一日を終えるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ