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【番外編】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵


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3/3

番外編 聖夜に、言えなかったことを

Xmas特別編です♪

話の骨格は本編に寄せてありますが、ところどころ無茶なことをしてるので、お遊び回として楽しんでもらえればと思います(#^^#)

 ※セレナが卒業年度の初等学校三年生の冬

 王都から一年経った頃のお話です



「ほらほら、セレナ。そっちはワイン、ジュースはこっちだよ」

「あ、ごめん。瓶似すぎなんだもん」


 今日は十二月二十四日、Xmasイブ。

 私と澪でXmasパーティーの準備中だ。

 澪はホットパンツのサンタスタイル、私は普通バージョン、もちろんどちらもヒゲなしだ。


 何をしてるかと言うと、今日夜寝ていたら突然澪が出てきて、


「Xmasやりたいよぉ〜」


 と泣きついてきたのだ。

 去年、グレッダさんの屋敷で七面鳥が出てきたのを見て、ずーっとやりたかったらしい。


 こっちは高等学校受検前で真剣モードだってのに迷惑だなぁ。


「やりたい、やりたい、やりたいのー!」


 まるで駄々っ子のように寝転がって泣き叫ぶ澪。

 まあ今までたくさん助けてもらってるし、一晩くらいいっか、と私が諦めてうなずきかけた時、


「セレナと二人も寂しいよね。アミーカちゃん呼ぼう!」


 と、澪が冷静に無茶なことを言ってのけた。


「はぁ?呼べるわけないじゃん。ここ私の頭......心?の中だよ」


「頑張ればなんとかなるよ、まあ見てて」


 と、雪一面の庭の真ん中あたりに歩き、


「セレナがアミーカちゃんの事考える時は、だいたいこの辺りなのよね〜」


 と言って足元をゴソゴソ探し始めた。

 雪なのに素手で探して冷たくないのかね?


「あ、いた!」


 そう言ってズズッ!と雪の中から引っ張り出したのは......アミーカっ!?


 アミーカはゆっくりと目を開くと、辺りをキョロキョロ見回して、やがて私を見つける。


「あ、セレナ、ここ......ええっ、雪いっぱい!あれ、私のこの格好なに!?」


 アミーカは私と同じ普通のサンタスタイルの格好をしている。

 服をあちこち見回す隙に、私は瞬時に澪を掴み、物陰に引きずり込む。


「あ、あんた何考えてんのよ!どうやったらアミーカが!?」


「あぁ、あれ正確にはアミーカちゃんじゃなくて、セレナの中にいるアミーカちゃん像......って言って分かるかな?」


「要するに私が普段抱いてるアミーカのイメージを形にしたらあれになったってことね?」


「そそっ。物分かり良くなったじゃん」


 ニヒッと笑う澪に抱く、このなんとも言えない仕返ししたい感情は、ママに抱くものと同じだ。

 残念なことに勝てないことまでセットで同じなところが腹が立つけど。




「......というわけなの」


「なにが『......というわけなの』よ。その言い方だと私のワガママみたいじゃない」


 頬を膨らした澪がそう指摘するが、ここは諦めてもらいたい。『みたい』じゃない、はっきりと澪のワガママなんだから。


「う、うん、なんとなく分かったよ。それで、私を呼んだのは?」


 うん?そういえば......

 私と澪が顔を見合わせる。


「えーと......楽しそうだったから?」


「なんですか、それ!」


 おお、アミーカが珍しくツッコんでる。

 私の中から生まれたからかな?

 いつもとのギャップになんか身体がとてもこそぱゆい感じがする。


「いいじゃない、今日はXmasイブ。たくさん食べて飲んで、いっぱい話しましょ!」


 ガシッと私とアミーカの肩に手を回すと、


「お二人様ごあんな〜い」


 と、そのまま背中を押してソファへと座らせた。


「ま、ま、まずは飲んで飲んで」


 澪はテーブルからブドウのジュースと、自分にはワインを注いで持ってくる。


「それじゃ、なかなかあり得ない三人の出会いと、聖なる夜に、かんぱ〜い!!」


 三人の杯を重ねて、私が口にコップを近づけると......うん?お酒じゃない、これ??


 澪も「あれ〜?」って言ってる。

 まさか......


「ごっめ〜ん、ワインとジュース逆にしてたわ、わはっ!」


「わはっ!じゃない!!アミーカ、大丈夫?」


 うつむくアミーカの肩を揺さぶって、顔を上げさせると......あぁ、ダメだ。

 飲んじゃったよ。


 目がとろんとして、頬がうっすら赤く染まってる。


「ま、まあ実際のアミーカちゃんが飲んだわけじゃないし、セーフ、セーフ」


 気楽に言ってくれるなぁ。

 目の前に『アミーカ』として存在してる以上、私はそこまで割り切れない。


「とりあえず水飲ませばいいんだっけ?お水は......」


 その時ガシッ!と力強く腕を掴まれる。

 ビクッとしてそこに目をやると、アミーカの右手がしっかりと掴んでいる。


「アミーカ、今水持ってきてあげるから、ちょっと待ってて」


 するとアミーカはさっきまでとろんとしていた目を鋭くキッとした視線に変えて、


「水はいーの!そこ座って!」


「は、はいっ!」


 怖いよー、アミーカはこんなに強くないよー。

 澪に責任取らせようとキョロキョロ見回すと、どこにも姿が見えない。

 あ、あいつ〜、逃げたな!

 後で泣かしてやる!!


「ほら、こっち見るの!」


 そう言ってアミーカは私の顔を両手で挟んでグイッと自分の顔に向けさせた。


「あのね、セレナはいっつもいっつもなんで私のために動くの!?」


 突然の言葉にドキッとしてしまう。

 頭では本人じゃないと分かってるけど、顔も、姿も、声も、そこにある全てがアミーカである以上、私には大親友のアミーカ・ルナリスでしかない。


「親友のために動くのなんて当たり前じゃない!」


 そう答えた私に対してアミーカは私の服の首周りを掴み、


「動きすぎなのよ、セレナは!」


 そう叫ぶ。

 ガツンと頭を殴られたような衝撃に、軽く目眩を起こしたのは気のせいではないだろう。

 まさか親友からそんな言葉を浴びせられるとは......


「私はね、セレナが見捨てなかったから、イタズラをしても孤独にならなかったし、勉強も出来るようになった。その上王城料理長って......もう出来過ぎなの!」


「ねぇ、セレナは何もしてもらえなくて寂しくなかったの?」


 ......


 私は答えられなかった。

 正直に言えばアミーカと楽しく過ごせたし、その成長もとても嬉しかった。


 じゃあアミーカがもっと私にあれこれしてくれてたら?


 そう考えると、そういうことをされたらすごく嬉しかっただろうし、その優しさに全力で応えようとしただろう。


 でも......




「私はね......あれ?」


 アミーカに答えようと思ったら、この短い間に彼女は寝てしまったらしい。

 ソファの上でくうくうとかわいい寝息を立てている。


「もー、まったく。人の心ひっかき回すだけひっかけ回して。あんたは本当につむじ風だよ!」


 可笑しくなってフフッと笑いながら、手近にあった毛布をアミーカにかけて上げる。


「あー、やっと終わった?青春の一幕ってやつ」


 どこからともなく澪がパッと現れる......やいなや、私もどこからともなくハリセンを取り出し、澪の頭へ振り下ろす。


 スパーンッ!


「いったぁ!何すんのよ、セレナッ!」

「私置いて逃げた罰。何か文句でも?」


 ジロッと睨むと澪は苦笑いで誤魔化す。

 でもすぐにふっと優しい笑みに切り替えて私の目を見て語りかける。


「でもさ、あなたの中のアミーカちゃんにあそこまで言わせるってことは、本当のアミーカちゃんはもっと強く思ってるってことだよ?」


「セレナは自分が納得出来たら、それで済ましちゃうことが多いけど、優しさが相手の負担になることがあるってことも覚えておいてね?」


 澪のその言葉に私は深くうなずく。

 さっき言いかけた言葉は必ず伝える。

 そう遠くないアミーカとの別れの時、それまでには必ず。


「さ、分かったら仕切り直し、仕切り直し。アミーカちゃん寝ちゃったし、いっぱい呼んじゃうかぁ」


 そういうと澪は雪の中をあちこち移動して、パパやママを始め、王都で出会った人々など、次々にポコポコ彫り出してきた。


 え、えぇー!!

 私の中いったいどうなっちゃうの!?




 そこから先はよく覚えてない。

 大人同士の飲み会が始まり、ママと澪がタッグを組んで私をからかってくる記憶なんかなくていいんだ、うん、間違いない。


 澪、もうしばらく大人しくしてていいからね。


最後までお読みいただきありがとうございました。

なんかもう少しドタバタ回になるかと思って書き始めましたが、さすがはセレナとアミーカですね。二人揃えたら勝手に泣く話へ舵をきってくれました。

慌てて戻して澪を投下したら、今度はカオス過ぎる展開に...

ある意味ドタバタ回でしたが(笑)

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