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最終話

 アレクサンドラ・ジェッテ・ブランシェス侯爵令嬢、通称レディ・アレクサンドラは、今日も侯爵家の有する美しく広大な庭園でお茶の時間を過ごしていた。

 テーブルにかけられた純白のクロス。美しい茶器と共に並べられた菓子や果物。

 それら全てが完璧に調えられたのを確認したアレクサンドラは、控えていた使用人達に人払いを命じ、周りから人の気配が消えたのを確認してから行儀悪く椅子の背もたれに身体を預けた。


「お疲れじゃん?」


 周りに他の人間がいなくなったのを見計らって悪魔がアレクサンドラの向かいに姿を現す。

 勝手知ったるとばかりに椅子に座った悪魔をチラと見て、アレクサンドラは大きな溜め息を吐いた。


「そうね。七不思議が悪用されないようにちょっとだけ手を出すつもりがとんでもないことになったのだもの。考えてみれば噂だけで情報統制なんて無理よ。絶対に他にも王宮内にリリアーヌを隠すための協力者がいるわ。あぁ、自分から面倒ごとに首を突っ込むなんて、私はそろそろ自分の好奇心を自制する術を学ぶべきね」

「殊勝〜。え、どうしたんだよ。しおらしすぎない?」

「そんなんじゃないわ。まぁ、少しは自省したけれど。……フランチェスカは既に出立してしまったし、王宮はしばらくテオバルトの結婚式と立太子の式典準備で慌ただしくなるっていうのに、私は未だにこうしていつも通り一人でお茶を飲んでいるのよ。いい加減どうにかならないかしらって今日も思っているところなの」


 完璧な作法でティーカップをソーサーに戻し、アレクサンドラはうんざりした表情で溜め息を吐いた。

 彼女の思惑通りにテオバルトとフランチェスカは、二人が揃って参加する最後の夜会にて、離宮の噂を確かめたが実際には噂を利用してあの場所を利用する者がいただけだったと口にしたので七不思議が悪用される心配はなくなった。

 けれども今回の件はアレクサンドラのぼっち状況を一転させるようなものではない。

 今だって社交界では腫れ物扱いである。

 それなのに気の置けない友人でもあった二人とは気軽に手紙も交わせなくなってしまった。

 何度目かの溜め息を吐くアレクサンドラに、悪魔は行儀悪くテーブルに頬杖をついて寂しいんだなと口にする代わりに小さく笑う。


「いやぁ、状況改善はしばらく無理じゃね?」

「……多分その通りだけれど、でもどうにかなってほしいと願うのは自由よ」

「随分と弱気だな。もしかして、緊張してる?」

「それはそうよ。だって……」


 言いかけたアレクサンドラが近付く気配にパッと顔を上げ、やって来た新しい侍女に微笑み掛けた。


「待っていたわよ。──リリアーヌ」


 そこに立っていたのはリリアーヌ・ダリエだった。

 花の世話をしていた頃の動きやすい質素なドレス姿ではなく、派手ではないが仕立ての良い上等なドレスを纏い、緩く結った白銀の髪がきらきらと陽光に輝いている。


「お待たせして申し訳ありません。アレクサンドラお嬢様」


 焼き菓子を載せた皿をテーブルに置いたリリアーヌが、途中でお菓子を渡されたのだと苦笑して遅れた事を謝罪すると、アレクサンドラは厨房の料理人達に随分気に入られたものだと先ほどまでとは打って変わって楽しそうに笑った。

 ちなみに悪魔の存在については、これからリリアーヌを侍女として常に側に置いておく以上隠し通せるものでもないし、何よりそれはあまりにも面倒だというアレクサンドラの考えで早い段階で秘密を明かしている。

 当初は悪魔と聞いて多少怯えた様子を見せたリリアーヌだが、茶菓子をつまみながら談笑するだけの悪魔に慣れるのは早かった。

 アレクサンドラとしては彼女のその素直さが少々心配なところでもある。


「どう? 屋敷には慣れて?」

「えぇ、皆様とても良くして下さるので。でも、もうしばらくしたら王宮へ上がるかと思うと緊張します」

「そうね。でもそれは私も同じよ」


 王との密談の際、アレクサンドラはリリアーヌを侍女に迎えることを打診されていた。

 ダリエ家も御用商人となる際に爵位を与えられており、正式な貴族である。

 加えて貴族の子女が行儀見習いを兼ねて他家で使用人や侍女として勉強する事は珍しくもない。

 アレクサンドラがリリアーヌを侍女にすることは慣例通りでもあるし、何よりブランシェス侯爵家のアレクサンドラがリリアーヌを受け入れるということは、すなわち彼女には侯爵家の庇護があるということでもある。

 強大な後ろ盾を得たリリアーヌに下手に絡む愚かな貴族などおるまい。

 そういう理由で、表向きには「アレクサンドラが王宮で出会ったリリアーヌを気に入って侍女として召し抱えた」ということにしてブランシェス侯爵家で預かり、成人貴族に必要な教育を受けさせる運びとなったのだ。

 アレクサンドラが王から許しを得たことでリリアーヌは今後髪を染めなくても良いこととなったが、まだ王族であることは告げてはいない。

 リリアーヌを王宮外郭にあるダリエ家からブランシェス侯爵家に移し、必要な教育を施した後で身分を明かして王宮に戻す。

 そういう算段だとばかり思っていたアレクサンドラだったが、やはり王はアレクサンドラより一枚二枚どころか十枚以上も上手だった。


「……それにしても、まさか私が王太子妃の話し相手に抜擢されるとは思わなかったわ」


 ぼやくアレクサンドラに悪魔がそれなと頷く。

 リリアーヌを屋敷に受け入れて二ヶ月後、王は輿入れ予定のテオバルトの妃の話し相手にとアレクサンドラを指名したのだ。

 妃の侍女として指名されるのならばまだ理解も出来るが、王の選んだ王太子妃の話し相手となれば宮廷内のアレクサンドラの立ち位置は王太子妃の侍女より上になる。

 アレクサンドラはテオバルトの結婚に合わせて侯爵邸から王宮に移り住むこととなり、一緒に王宮に移り住む侍女としてリリアーヌも同行することになっている。

 しかも移住のためにと王から居住場所として与えられたのが例の廃離宮である。

 これにはさすがに社交界がざわめいた。

 かつて側妃が使用していた離宮をアレクサンドラに与えるのは、ゆくゆくはアレクサンドラをテオバルトの側妃にするためなのではないかという憶測が飛び交ったし、同じくらい軟禁されたかつての側妃の話になぞらえて、手の付けられない魔女の娘を王が曰くつきの離宮に幽閉することに決めたのだという話も飛び交った。

 ──結局、社交界では廃離宮の噂もよく浸透しているので、打ち捨てられた離宮にアレクサンドラを住まわせるというのは社交界を騒がせたアレクサンドラへの王なりの処罰ではないかという結論に落ち着いたようだった。

 アレクサンドラはそのいずれもが不正解であることを理解しているので、人はこのようにして噂に踊らされるのだなと冷静に社交界を観察し、同時に今回も王の望むところに話が落ち着いたことにさすがの手腕だと感服するのだった。


 もし王が本当にアレクサンドラをテオバルトの側妃に据えようと思っていたら、アレクサンドラが気付いた時には既に逃げ場はなく外堀も完璧に埋められていた事だろう。

 テオバルトの妃が他の妃を娶らないことを結婚の条件にしてくれて本当に良かったと、アレクサンドラは心の底からまだ姿すら知らない未来の王太子妃に感謝したのだった。


「……最初から最後まで王陛下にしてやられたわね」

「してやられた……?」

「こっちの話よ。あ、こら、それは私の焼き菓子よ!」

「ちょっとくらいいいじゃん! あ、リリアーヌ、俺にもお茶ちょうだい」

「はい、ご用意致します!」


 慣れてきたものの、まだまだ危なっかしい手付きでお茶の支度をするリリアーヌを、アレクサンドラは微笑ましいものを見る目で眺める。

 リリアーヌの方が歳上ではあるのだが、アレクサンドラの目に彼女はどうにも可愛らしく映るのだ。

 目を細め、アレクサンドラはぽつりと呟く。


「……それまでには、その髪ももっと綺麗になるわね」

「え? どうかなさいましたか?」

「きちんと手入れを続ければ髪の傷みもマシになるわと言ったの」


 アレクサンドラの言葉通り、リリアーヌの銀の髪は長年の染髪によって傷みがひどく、侯爵邸に来た初日に髪粉を落とした彼女の姿を見たアレクサンドラは、艶のないギシギシした髪に悲鳴を上げて今すぐ商人を呼べと叫んだほどである。

 高級なヘアパックや髪につける精油をふんだんに使って手入れを続けて今の状態まで回復させたが、まだまだ改善の余地があるとアレクサンドラは踏んでいた。


(私が絶対に磨いて磨いてピッカピカにしてみせるわ)


 そして出来ることならあの失礼極まりない娘にピカピカになった美しいリリアーヌを見せて、悔しさにハンカチを噛み締める姿を鼻で笑ってやりたい。

 ニコニコとそんなことを考えていたアレクサンドラだったが、ふとリリアーヌに問われて目を瞬かせた。


「そういえば、アレクサンドラお嬢様はどうして髪粉のことなんてご存知だったんですか?」


 貴族が髪を染める流行は既に廃れて久しい。

 それでもお忍びの時など需要自体はあるから髪粉は変わらず流通している。

 だが、手に入れようと思わなければ目にすらしない品物でもある。

 リリアーヌにとっては外に出るために使い続けてきた身近な品でも、アレクサンドラにとってはそうではないはずだ。

 そんな当然の疑問を口にしたリリアーヌに、悪魔も焼き菓子を咀嚼しながら俺も気になると言って頷いた。

 アレクサンドラはリリアーヌからの質問に迷うように唇を動かすと、肩を竦めて苦笑しながら答えた。


「昔ね、髪を染めたくて取り寄せたことがあるの。結局使う前にお母様に見つかって捨てられてしまったから、髪を染めることはなかったけれど」

「そんなに美しいお髪ですのに、染めるだなんてもったいない」

「お母様にも同じことを言われたわ。でも、昔の私はこの髪が大嫌いだったの。こんな──真っ赤な髪」


 アレクサンドラは言いながら自分の前髪を指先で摘んだ。

 赤毛といって連想される明るいオレンジがかった髪ではなく、アレクサンドラの髪は真紅に近い色をしている。

 よく手入れされた艶やかで美しい髪だが、かつてのアレクサンドラにとってはまさに憂鬱の種であった。


「一族の中でもこんな色の髪って他にいないのよ。ずっと昔に王家から降嫁された方が赤毛だったみたいだけど、屋敷にある肖像画は赤毛と言っても私と違ってもっと普通の色なの。だから私は幼い頃から散々髪のことを言われたものよ」

「あー、要するに周りがうるさくて染めたかったワケ?」

「そうね。でも、今は別に染めようとは思わないわ」

「何か心境の変化があったのですか?」


 小さく首を傾げるリリアーヌに、アレクサンドラは大したことではないと鼻を鳴らして答えた。


「気付いたのよ。私が髪を染めても染めなくても言いたい人は勝手に何でも言うの。噂ってそういうものでしょう。だったらそんなこと気にしている方が馬鹿らしいじゃない。私はたまたま赤い髪で生まれただけで、悪いことなどしていないのだから噂なんて気にせず堂々としていたらいいのよ」


 私は何をしたって私でしかないんだもの。

 そう言ってアレクサンドラはリリアーヌにお茶のおかわりを要求した。

 その声に応えて丁寧にアレクサンドラのティーカップに紅茶を注ぎ、ポットを慎重にワゴンに戻したリリアーヌは、己の銀色の髪を軽く指先で整えてからにこりと笑みを浮かべた。


「私、家の外に出る時には髪を染めていなくてはいけないと子供の頃から言われていて、でも何故染めなくてはいけないのか、この髪を隠さなければいけないのかは教えてもらえなくて、ずっと自分の存在が何かいけないものなのではないかと不安だったんです。だから、お嬢様にもう二度と染めるなと言って頂いた時、とても嬉しかったんですよ。存在を許されたような気がして」

「大袈裟よ」

「そんなことありません!」


 屋敷に来てすぐに髪粉を落とすように命じられ、そしてアレクサンドラが直々に髪の手入れをしてくれた。

 綺麗な髪だと、二度と隠さなくて良いと言ってくれた。

 リリアーヌにとって、それらはずっと己に付きまとっていた不安を拭い去ってくれる救いの言葉であり、アレクサンドラは今やリリアーヌの光そのものだった。

 出自の関係で今まで髪を染めざるを得なかったのだと教えられた時、自分にダリエの血が流れていなかった事を察して寂しい気持ちにもなったが、それは心のどこかでリリアーヌがずっと感じていたことでもあった。

 肝心の出自についてはまだ教えられないとアレクサンドラに申し訳なさそうに言われても、リリアーヌは実のところちっとも気にしてはいなかった。

 リリアーヌには、生まれ持った髪を隠さずにブランシェス侯爵令嬢の侍女として胸を張ってアレクサンドラの側にいられる事の方がよっぽど重要だったのだ。


(アレクサンドラお嬢様の侍女として恥ずかしくないように私も頑張らなくちゃ!)


 ふんすと気合いを入れるリリアーヌと、既に髪粉の話から興味を失ったようにお茶を楽しむアレクサンドラを交互に見て、悪魔はやはり行儀悪くテーブルに頬杖をついたまま摘んだ焼き菓子を口に放り込んで言う。


「俺はアレクサンドラの髪もリリアーヌの髪も好きだぜ」


 それを聞いたリリアーヌは髪を褒められて照れたように目を伏せ、一方のアレクサンドラはあら、と目を瞬かせてから愉快そうに笑った。


「お前が言うと何とも薄っぺらく聞こえるものだわね!」

「ひどい! 悪魔差別だ!」

「悪魔を差別したのではないわ。お前を区別したの。要は日頃の行いよ」

「ひどい! 俺差別だ! この人でなし!」

「ほほほ、人外に言われる筋合いなどなくってよ」


 笑いながらアレクサンドラは頭の隅でちらと思う。

 離宮が側妃の死後あのままで残されていたのは、王がいつかあの離宮に娘を戻そうと考えていたからではないだろうか。

 誰の手も加えさせず、誰も踏み入らせず、側妃アイリーンの愛した離宮をそのまま娘に渡すのに、例の不興を買った側妃の噂は本当に都合が良かった。


(まぁ、そんなこと私などが考えても仕方がないわよね。私とリリアーヌが王宮へ上がってあの離宮で暮らすのはもう確定事項だもの)


 アレクサンドラに出来ることはできるだけ内装に手を加えないようにするくらいである。

 そういえば、こうして他家の令嬢を招くこともなくお茶の時間を過ごすのも王宮に上がるまでだ。

 紅茶のおかわりを一口飲み、アレクサンドラは同じく紅茶のカップに口をつけている悪魔に、明日の天気について話すかのような何気ない口調で言った。


「悪魔、私が王宮に行ってもこの屋敷でいい子にしているのよ」


 まるで飼い犬に留守番でもさせるかのようなその言葉に、悪魔は金色の目をまんまるにして、こてんと首を傾げる。


「え、俺も行くけど」


 当然自分も付いていくのだと思っていたのだろう。

 悪魔の顔にはでかでかと「なんで?」と書かれていた。

 しかしアレクサンドラはフンと鼻を鳴らし、わからないのかという顔で答える。

 事前に悪魔を王宮には連れて行かないと聞かされていたらしいリリアーヌだけが、おろおろと二人の様子を窺っている。


「連れて行ける訳がないでしょう。今度はお前の存在を誤魔化して二、三日滞在するのとは訳が違うのよ。お前を連れて行ったら、今度こそ誰かに見られて愛人呼ばわりされるわよ!」


 そんなの絶対御免だわ。

 そう断言したアレクサンドラを見て、彼女の中でこれは確定事項なのだと察した悪魔は、途端に眉尻を下げて涙目で子犬のようにきゅうんと鳴いて見せた。

 だが数秒してアレクサンドラには全く効果がないのを確認するや否や、今度は盛大に舌打ちをして椅子を蹴倒す勢いでガタンと乱暴に立ち上がった。

 そしてアレクサンドラの目の前でパチンと指を鳴らし、


「これでどうよ?」


 と言ってにんまりと笑った。


「え……?」


 そこにいたのは、多少デザインは地味で古めかしいが、王宮で纏うに相応しい格式のドレスを身に纏ったアレクサンドラと同じ年頃の見知らぬ娘。

 黒い髪を結い上げ、満月を思わせる金色の瞳のその娘は可愛らしくウインクをひとつしてアレクサンドラに微笑みかけた。


「なかなか似合ってるだろ?」

「お、お前、まさか悪魔!?」

「そ。男の姿で近づくのが問題なら、女の姿ならいいってことだろ」

「いいって訳じゃ……。というか、そんなことが出来るなら最初からやりなさいよ!」

「えー。だって男の姿の方が楽なんだよ。女のドレスってのはやたら肩凝るしさぁ。それにやれって言われなかったもん」

「やれるだなんて知らなかったんだから言う訳ないわよ!」


 二人の様子を側で見ていたリリアーヌは、きゃんきゃんと言い合いを続ける二人を止めようとして、ふわりと頬を撫でた柔らかな風に百合の香りを感じ無意識に視線を一瞬だけ自然と空へと向けた。


「……あれ?」


 そこに広がるのは何の変哲もない青空と綿を薄くちぎったような雲のみ。辺りを見回してみても、おかしいところは何もない。

 けれどリリアーヌは何故か妙に懐かしいような気持ちが胸を満たしているのを感じて少しだけ戸惑った。

 今、鼻先をくすぐった匂いを、自分はどこか遠い昔に知っている気がしたのだ。

 だがその戸惑いは長くは続かず、彼女は目の前の現実に、もっと具体的にいうのならば言い合いを続けている主人とその相棒に向き合ってどうにか宥めようと口を開く。

 彼女にとってはいつかの残り香よりも、今この瞬間の方が大切であった。


「お、お嬢様、どうかそのくらいで……」

「リリアーヌ! 悪魔を甘やかすのはおやめなさい! つけあがるわよ!」

「リリーは俺の味方なんですぅ!」

「まぁ! 愛称だなんて、なんて図々しい……!」

「お嬢様! レディ・アレクサンドラ! 私は愛称くらい構いませんから! どうか落ち着いてくださいまし!」




 ──こうして令嬢と悪魔の二人きりだったお茶会は、隠された王女こと侍女リリアーヌ・ダリエという新たなメンバーを加え、今日も賓客用の椅子を空席にしたまま過ぎていく。


 この一見優雅だが奇妙で愉快なお茶会は、もう少しだけ継続されるようだった。

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