第37話「したかなく」
リィドはフェイシス、ミケの三人で畑を襲う魔獣駆除の依頼を終え、二人は家にリィドは完了報告のためにギルドに向かった。
「あ。ちょうどいい所に。ちょっといいですか?」
「もちろんです」
ティタ姉に声をかけられた。断るはずもない。
「あ、先輩」
部屋にはセツナがいた。ということは依頼関連だろう。
「実はセツナさんに依頼の指名が来てまして……」
ティタ姉は紙を差し出す。
「……これは」
リィドは頭を抱える。
「先輩これ二人で受けません?」
「ティタ姉、指名を断ると今後面倒ですよね?」
「そうですね……すみません」
依頼はとある貴族から。
「……これ実質殺しっすよね」
内容は犯罪者五人の逮捕。
逮捕に関しては四人は生死問わず。
そして、最後の一人ケルロという人物に関しては条件は逮捕じゃなくて首の献上とある。
早い話が五人を殺して証拠を持ってこいである。
貴族からの依頼なので断ると今後面倒事に巻き込まれる可能性がある。
当然こんな依頼にフェイシスを関わらせることはできない。
正々堂々なエリルにも向いていない。
ミケは戦力はともかく、見た目が目を引く。こういった潜入や秘密裏が必要なものには向いていない。
なのでメンバーはセツナとリィドのみになる。
「でも先輩いいんすか?」
リィドはセツナの殺害の選択を止めた。
「仕方ないからな。依頼だし、それに今回は初めから相手が犯罪者って分かってるしな」
あの時止めたのは万が一にも自分たちが犯罪者になる可能性があった。
それよりもフェイシスがいたからだ。
今回はどちらもその心配がない。
「ちなみに、この貴族さんがうちに依頼する理由わかるっすか?」
「そこまでは把握してません。セツナさん貴族相手の依頼してましたよね?そこからの繋がりかなと」
「なるほどっすね」
「個人的な恨みですか?」
貴族が依頼するということは、貴族自身、もちくは身内が被害にあい国の司法ではどうにもならないから金でなんとしよう、の場合が多い。
「恐らくは。この依頼主のお孫さんがお亡くなりなったの」
「……なるほどっす」
つまり原因がこの五人なのだろう。
潜伏先はシェラザード王国の東隣のハンガンド王国。




