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本当に学校に行かなくなった頃のこと

作者: ピーター

 多分読むのはしんどいと思います。


 理解できる方はその心境のしんどさが痛いほど分かると思います。


 また、周囲の方の心境は怒っても、責めても、なだめても、学校に行かない奴をどうしたらいいのか分からないという、焦りと戸惑いなどの様々な心境が分かると思います。


 後書きには、症状とも言える部分の解説を少しつけています。

「明日は学校行けるよね」

「今週は休んだんだから、来週はいけるね」

「勉強も遅れると大変だよ」


 もう勉強なんて分からない事ばかり

 分かろうとしても分からない


 分からないって言うと、怒られる

 馬鹿にされる


「勉強していない証拠だ」

「怠けている証拠だ」


 すみません、勉強してなくてすみません


 もう嫌だ


 教科書なんて見たくない

 学校何て見たくない


 何を言われてもいい

 自分なんかどうなったっていい


 学生服を着ようとすると吐き気がする

 学校のカバンを見ると吐き気がする


「そんなことない、変な言い訳をするな」

「嘘つきは悪い奴になるんだ」


 嘘なんてついてない、でも

 学校に行かないなら、全部嘘つき扱いされるんだ


 もうそれでいい


 自分なんて

 怠け者で、頭が悪くて、嘘を付く奴なんだ

 学校に行かないなんて悪い奴なんだ


 もうそれでいい


 毎日繰り返される『行け』と言われる


 漢字が書けなくなってきた、

 カタカナもなんかおかしい

 線の中に入れる事が難しい

 

 トイレも汚してしまう

 頭も体も上手く洗えない


 鼻もスンスンと鳴らしてしまう

 首かってに頷くように動いてしまう


「学校に行かないだけじゃなく、変な癖まで」

「お前はもうだめだ」


 なんどダメだと言われればいいんだろう

 もう十分ダメだって分かってる


 陽が落ちた、

 気分がほんのちょっとだけ楽になる

 体がほんのちょっとだけ楽になる


 明日は何とか行こうと思う

 ダメだって言われているのはダメだから


 眠れないのを無理やり眠る

 数分で目が覚めるけど、無理やり眠る

 やっぱり数分で目が覚める


 眠れない夜なんていうけれど

 本当に眠れない夜って地獄だ


『お前はダメな奴だ』

『おかしいやつだ』

『人の心がわからない奴だ』


 そんな言葉が頭の中に響く

 怒られた瞬間が何度も思い出す


 寝れば楽になるのに

 何をしても寝れない

 1分が何日にも感じる


『嘘をつくな』


 自分の声が自分を責める

 今の感覚の感想を考えただけなのに

 自分で自分を責め続ける


 地獄が終わって朝が来る


 頭も痛い

 体も重い

 肌がずれているような、奇妙な感覚も出ている


 目はパチパチする

 鼻もスンスンとなっている

 首も勝手に動いてしまう


「おはよう、昨日は学校行くっていってたよね」


 ごめんなさい、、、すみません

 今日は行けません


 責められて、怒られる朝がくる

 自分を責めて寝られない夜が来る

 ここまで読んで頂きありがとうございます。

 ここから先は後書きですが、後書きと言う名の本文モドキだと思って下さい。


 今にして思えば中学校の1学期の途中だったので、小児鬱や適応障害を引き起こしていたのだと感じている所です。


 回りの人も「何とか学校に行かせないといけない」と思っていたからこそ、あの手この手で行かせようとしたのだという心境とその行動が良く分かります。

 そして「学校に行かないとどうなるか分からない」という不安感も強かったことでしょう。


 人間不安になると、怒りや焦り、暴力的な行動などが増えていきます。

 この辺は、コロナが流行した時の心境を思い出せばイメージしやすくなる所ですね。

 感染した人に向かって石を投げるような事件まであったほどですから、人間の不安感という物はとてつもない危険性を秘めています。


 実際、コロナにかかっても何とかなる世の中になったでしょ?

 そりゃ、ごく一部には致命的な後遺症や、死亡に至るケースもありますが、全体でみれば極僅かです。


 学校に行かないという不登校・登校拒否の小中学生は2023年発表で30万人もいます。

 この中で、何とかならないという事態にまでなる人も極僅かです。


 確かに、学校に行かないという事で苦労する点もあります。

 でも、学校に行く事自体がトンデモナイ苦労になる人も当たり前にいる訳です。


 学校にちゃんと行ったのに社会で上手く生活出来ない人もいるんです。

 学校に行かなかった人でも社会で上手く生活出来ている人は沢山います。


 今回はピーターが書いたのは学校に連日行かなくなった当初の事です。

 細かい所は時系列がはっきり思い出せない所がありますので、実際には違っている所もありますが、脳が疲弊している頃になります。

 記憶も混乱しているという物だとして、多少の矛盾や違和感は仕方ない物と思って頂けると幸いです。



※以下解説と筆者ピーターの振り返り



 今回書いた所では精神的な症状というか、現象として「適応障害」「退行」「チック」「日内変動」「昼夜逆転」このあたりが挙げられると考える所です。

 この先はこの辺りの簡単な解説をしていきます。



~適応障害~

 いわゆる『馴染めなかった』ということです。

 馴染めない所に何とか馴染もうとするあまり、空回りになる頑張りを繰り返してしまい体や精神に何らかの症状を引き起こしている状態です。

 何をどうしたら上手く行くのか分からず、色々試してみるのですが、言うまでもなく全部上手く行きません。


 常に神経が張りつめ続けているため、脳が疲弊し、思考力などが低下します。

 みなさんもヘロヘロに疲れ切った時だと、誤字脱字が増えたり、漢字が思い出せなくなったりすることでしょう。

 文字も荒くなったり、線からはみ出したりすることも増えていきます。

 ピーターもこのような状態が常になっていました。


 こんな状態じゃ、何をどうしてもうまく行くわけないのに、当の本人はそれに気が付かず、周りも『なんだあいつは?』という呆れるというか、浮いているという認識になります。

 いじめの対象にもなりやすいし、注意や叱責も受けやすくなってしまいますよね。



~退行~

 トイレが上手使えない、体が上手く洗えないなども、精神の疲れから退行現象(幼児退行)を引き起こしていた可能性があります。

 精神的に幼い頃に戻る事で、自分の精神状態を守ろう・守ってもらおうとする、脳の防衛行動です。


 実際には症状とも言えますが、周囲からしてみれば『子供っぽい事をするな』『甘えるな』と叱責したくなる行動です。


 中には母と一緒に寝ようとしたり、夜尿が出たりとなるケースもあります。

 小学生・中学生にもなって、成長に伴って消失したはずのこうした行動が再び出てくるのは、その子の脳が防衛機能を使い始めるほど追い詰められているという証拠です。



~チック~

 チックは以前にもストレス関係の短編で触れましたが『妙な癖が出る』という現象です。

 ピーターは、鼻を鳴らす・首を振る・目をぱちぱちする、これがメインでした。


 学校に行かない生活が当たり前になると、スッと消えましたが、20歳を超える頃まではストレスが過剰にかかる環境になると再発していましたね。

 バイトを始めた頃、進学のための準備期間、進学直後などにはチックは再発していました。


 妙な癖が出ていても成長に伴って消失していくので、長い目で見て放っておいてもらえると……

 すぐにおさまったりします。


 逆に、早く治そうと注意したり、直させたりすると……

 悪化します。



~日内変動~

 登校拒否・不登校の人に多く当てはまる一言。

「明日は行こうと思う夜・やっぱり止めよと思う朝」


 学校に行けない事に対して、非常に強い後ろめたさを感じていると、鬱状態というか、気分がすぐれない日々を送る事になります。

 鬱の方の多くも、朝が最も不調感が強く、夜になるにつれて改善していく傾向が見られます。


 こうした、1日の中で気分や思考が大きく変わっていく事を「日内変動」と言います。


 周囲の人にしてみれば、1日の中で意見や感情が何度も何度も変化していくわけですから、言動に振り回される事になります。

 本人も激動する自分自身の思考・感情・体調に振り回されているからこそ、言動が変化しているという訳です。


 一番しんどい『朝』に合わせて意見を聞いていくのが良いんじゃないかなぁと筆者ピーターは思う所です。

 鬱状態の改善具合も朝に行動が出来たり、朝にネガティブな話が減っているなら、改善していると判断しやすくなりますね。



~昼夜逆転~

 登校拒否・不登校ではよくあります。

 夏休みとかの長期休みでもなる人が結構いるかな。


 引き籠っているような生活になると、1日につき1時間前後生活リズムがズレて行きます。

 これが4時間程度のズレだと『夜更かしして、昼まで寝てる』程度ですが、そのままガンガンずれていくと……

 午前10時に寝て、午後6時くらいに起きてくる。といった感じになってきます。


 生活リズムが一定でないとダメになるとか言ったりしますが、体内時計の都合で日光を浴びない事によるズレが修正できない事が一因だったりします。

 体質や障害で生活リズムが安定しにくいなんて場合もあったりします。

 当然、夜寝て朝起きる生活リズムが保たれているほうが、一般社会では生活しやすいんですが……


 将来の仕事でも夜勤専門だったり、夜勤日勤がある職場だったりは沢山ありますから、将来の事考えても心配はあんまりないです。

『朝起きれないと仕事なんて出来ない』『夜起きてるなんて社会人になれない』

 なんて言う人がいますが、警備員にホテルマン、タクシードライバー、オシャレなバーや居酒屋、パン職人に病院の医師、看護師、介護士などなど夜間が業務時間になる仕事は沢山あります。


 どうしてもやりたい仕事があるならそれに合わせて治したり、生活のスタイルを合わせていくのが人間ってものです。

 中には夜勤・日勤・早出・遅出など様々な勤務時間に合わせる事が求められるケースもあるので『今の生活リズム』に必要以上に囚われる必要はありません。


 一応治し方ですが、2つあります。


 一つ目は放っておくことです。1日1時間前後ずれていくので、2週間もすれば本来の生活パターンに戻ります。ピーターはこれで昼夜逆転を2~3周しています。


 二つ目の方法は、徹夜です。

 ようは時差ボケと同じ状態ですから、寝ないでおいて睡眠時間をいつもの時間に2~3時間足して、おきたい時間に起きれるように計算して寝ると1日で直ります。

 いつも7時間寝ている人が、朝6時に起きれるようにしたいなら、夜間~日中を眠らずに夜8~9時頃に眠ると朝6時前後に目が覚めやすくなります。





 一個一個の症状や色んな物に振り回されるよりも、徹底的に体と脳を休めて、精神を安定させるほうが、よっぽど健康的です。

 場合によっては精神科や心療内科などにも相談して、自分を責めたりせずに回復できるようにする事をお勧めします。


 当然、周囲の方々もです。

 当事者に振り回されるよりも、自身の体と脳を休めて、専門家や経験者などに相談していった方が、自身で考えるよりも良い解決策が見出しやすくなります。

 


 ここまで読んで頂いた皆さまありがとうございます。


 今学校に行けなくてしんどい思いをしている方、貴方は悪くない。

 色々やってみて上手く行かなかった、大変だった、嫌な思いした、色々ありましたよね。


 学校に行けない人が身近にいる周囲の方、貴方は悪くない。

 色々やってみて上手くいかなかった、心配だった、不安だった。色々ありますよね。


 色んなことは何とかなります。

 何とかならんことは、何とかならんなりに、何とかなります。

 筆者ピーターはそうして生きてきました。


 今でも何とかならん事を沢山抱えながらも、何とか仕事して、何とか生きて、何とかなってます。


 学校に行けなかった頃の事や心境を言語化・文章化するためには十年を超える時間が必要でした。

 最近ようやくできるようになりつつありますが、それでも結構大変なもんですわ。

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― 新着の感想 ―
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