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万年を生きる平和主義ヴァンパイア、いつの間にか世界最強に ~俺が魔王軍四天王で新たな始祖? 誰と間違ってんの?~  作者: 葉月双
Short Story それでも俺はドラゴン肉が食いたい

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5話 私はお花ですぅ! タマネギですぅ!


(ひぃぃぃ! なんで私、引っこ抜かれたの!?)


 アルラウネは混乱していた。

 いつものように魔王城の中庭でノンビリしていたところ、四天王最強のアルトがやってきた。

 そして「ちょっと手を、いや、身体を貸してくれ」と頼まれ、優しく引っこ抜かれた。

 それは本当に優しかったので、アルラウネはかすり傷1つ負っていない。

 その後、ついでとばかりにトレントを誘い、アルトは【ゲート】を使用した。


(ワシはなぜ連れて来られたのだ?)


 トレントも状況を飲み込めていなかった。


(ワシもアルラウネも、中庭賑やかし要員なのだが……)


 トレントもアルラウネも、戦闘能力は低い。

 最強四天王のお供など、できるはずがないのだが。


「いや、君、それは……魔物では?」


 リーダーが震えながらトレントを指さした。


「何言ってんだ。こいつらは魔物である前に、植物だろうが!」


 アルトが少し強い口調で言ったので、アルラウネとトレントはビクッとなった。

 ケイオスも戦闘になるのかと構えた。


「そうですぅぅ! 植物ですぅぅ! 私たちは珍しい植物ですぅぅ!」とアルラウネ。

「ワシは植物! まずは植物! 魔物かどうかは、置いておく!」とトレント。


「ほら見ろ。本人もそう言ってるだろ?」


 アルトがニッコリと笑った。

 ケイオスは息を吐きながら構えを解く。

 戦闘大好きなケイオスだが、今はアルトと戦うつもりはない。

 どうせ勝てないからだ。


(次に戦う時は、俺様がお前を超えた時だぜ)


「あ、ああ……」リーダーは困惑していた。「まぁ、その……一旦ね? 一旦、その2人? 2匹? 2本?」


「2人だ」とアルト。


「その2人は、植物であると、私も認めよう、うん」


 リーダーはケイオスの背中に半分隠れながら言った。



 どうやらリーダーは分かってくれたみたいだな。

 やはり生きた証拠を連れて来て良かった。

 前に魔王城の中庭で迷子になった時、綺麗なアルラウネが咲いてるなぁ、って思ってたんだ。

 と、エレノアがススッと俺の背中に隠れた。


「あー、顔の怖い君、君の言いたいことは、十分に伝わった」リーダーが言う。「だからその魔物……いや、変わった植物たちを、返して来てくれないかな?」


「その前に、今後は植物のことも考えて活動してくれるんだろうな?」と俺。

「あー、えー、あー」とリーダーは煮えきらない。


「植物にも知性があるって分かっただろ? 恐怖を感じるってことも証明するか?」


 俺が言うと、アルラウネとトレントがビクッとなった。


「お許しをぉぉ! アルト様ぁぁあ! 私はただのお花ですぅ! 怖いことは嫌ですぅぅ!」

「ワシもただの古木です! 白炎で消し炭とか勘弁してくださいっ!」


 いや、何もしないよ!?

 そんな本気で怖がらなくても!

 恐怖を感じる証明にはなったけども!


「てかその球根?」ケイオスがアルラウネを見ながら言う。「タマネギみたいで美味そうだな」


「黙れ人間! お前なんか怖くないぞ!」アルラウネが急に大きな態度で言う。「人間なんか私の餌なんだから!」


「そうだぞ人間! 我々は魔……いや、変わった植物だぞ!」トレントも偉そうな感じで言う。「人間如き、いつでも殺せるのだぞ!」


「おいお前ら、そのオッサン、ケイオスだぞ」


 一応、俺はオッサンの正体を教えてやる。


「ひぃぃぃ! ケイオス様ごめんなさい! 実は私はタマネギの仲間ですぅ! でも食べないで欲しいですぅ」とアルラウネ。


 お前タマネギじゃなくね!?


「申し訳ございませんでしたぁぁ!」トレントはその場に倒木(土下座?)して言った。「そっちのタマネギは好きに召し上がってください!」


 アッサリと仲間を売っていくぅ!


「ゲイル君は魔物に恐れられているのかね?」とリーダー。


「ああ、まぁな」とケイオスが肩を竦める。


「ほほう、実はゲイル君は、高ランクの冒険者とかかね?」


「いや、違うが……」ケイオスが少し考える。「だが冒険者も悪くねぇな。次は連中の修行方法を学ぶか」


 え? ケイオスのオッサン、冒険者やるの?

 まぁ、この国でやるなら俺と会うことはなさそう。

 と、笛の音と一緒に憲兵たちがワラワラと集まって来た。


「おのれ活動家どもめ! 大通りの占拠では飽き足らず、魔物まで引き入れるとは!」


 憲兵の1人が言った。

 やっぱ無許可だったか!


「魔物を連れて来たのは我々ではな……」

「問答無用! 捕らえろ! 全員だ! 魔物は退治しろ!」


 憲兵たちが一斉に抜剣。

 やべぇ、逃げよう。


「面白い! 俺様を捕まえるだと! ゴミどもが! 世界を小僧に与えた手前、破壊し尽くすのはアレだが、貴様らは八つ裂きにしてやるぜ!」


 おっと!?

 ケイオスのオッサンが暴れそうだったので、俺は速攻で【ゲート】を使用。

 俺、アルラウネ、トレント、ケイオスで魔王城の中庭へと移動。


「なんで俺様まで?」とケイオス。


 アルラウネとトレントは、そそくさと所定の位置に戻った。

 あとでお礼をしなくちゃな。

 植物だから水がいいだろうか?

 聖水……いや、ダメだろ聖水は。

 天元の森の湧き水とかにするか。


「小僧。聞いてるか?」

「ん?」

「なんで俺様まで【ゲート】に巻き込んだ?」

「咄嗟に?」


「そ、そうかよ。んで? ここどこだ?」ケイオスがキョロキョロと周囲を見回す。「壊れた城?」


「修復中の魔王城」


 ロザンナは今日も罰正座してんのかなぁ?



 エレノアは憲兵と活動家たちの争いを見ていた。


「アルト様……わたくしのこと、完全に忘れて……」


 ちょっと泣きそうなエレノアだった。


「いや待て。これはつまり、アルト様ですら認識できないほど、わたくしは無になれたと、そういうことだな」


 そう考えると、エレノアは急にいい気分になった。

 両手を腰に当て、胸を反らし、そして高笑いを始める。


「はっはっは! さすがわたくし! これはもう最強まであと一歩なのでは!? なんせあのアルト様の認識を阻害したのだから! ふはははは! わたくしすごい! あとでリッチに自慢しよっと!」


 いい気分のエレノアの肩に、誰かがポンッと手を置いた。


「お嬢ちゃん、君も活動家の仲間か?」と憲兵。


「わたくしがこんな連中の仲間に見えるのか?」


 活動家たちは激しく抵抗し、憲兵にボコボコにされている。

 その様子を見て、エレノアは「ざまぁ」と思った。

 アルト様を笑うからだ、と。


「いや、見えない」憲兵が言う。「お嬢ちゃんはどう見ても貴族の令嬢だ」


「ふん。貴様のようなゴミ虫にも、わたくしの高貴さが分かるか。今は気分がいい。わたくしに触れたことは許してやる」


 言いながら、エレノアは軽く憲兵の手を払った。


「ちっ、傲慢な……」


 舌打ちしつつ、憲兵はエレノアから離れようとした。


「待て」エレノアが言う。「高貴なわたくしが証言してやろう。あのリーダーが魔物を連れて来たのを見たぞ。死刑にしろ死刑に」


「やはりか……」憲兵が言う。「しかし……魔物はどこに消えたんだ?」


「たぶん魔王城の中庭だろう」


 アルトが連れて来たアルラウネとトレントを、そこで見たことがあった。


「ん? なんだって? 魔お……」


「さぁて、帰ろうっと!」


 問いただそうとした憲兵を無視して、エレノアは【ゲート】でアルトの屋敷に移動。

 そして安楽椅子に座ってユラユラと揺れる。


「お肉、お肉、まだかなー?」


 そのままスヤァっと夢の中に落ちるのだった。



「ああ! なんか忘れてると思ったらエレノアだ!」


 俺はケイオスと魔王城をブラブラしていて、急に思い出した。


「……嬢ちゃん……」


 ケイオスが哀れむように言った。


「まぁいっか。勝手に帰ってるだろ」

「いや小僧、お前、割と酷い奴だな」

「酷い奴!? 俺が!? 人畜無害で通ってる俺が!?」


 あまりにも衝撃的なことを言われたので、危うくケイオスに掴みかかるところだった。

 顔が怖いと言われることは多いが、酷い奴と言われたのはたぶん初めてだ。


「さすがに迎えに行ってやれよ」


 ケイオスが苦笑いしながら言った。


「その必要はないと思うぞ。エレノアはたぶんもう俺の家だぞ」


 そして俺の安楽椅子でウトウトしてんじゃねぇかな。


「どっちにしても、さっさと行ってやれよ」ケイオスが肩を竦める。「俺様も一旦、レアに戻るからよ」


 レアというのは、ドラゴンの住処のこと。

 そっか、ケイオスって住所不定じゃなかったのか。


「じゃあな小僧。また会おう。その時は徹夜でドラゴンの権利について議論だ」


 ケイオスは【ゲート】で消えた。


「……普通に嫌なんだが?」


 そんなことを呟いて、俺も【ゲート】で自宅に戻る。

 そうすると、やっぱりエレノアは安楽椅子で寝ていた。


「忘れて悪かった」


 俺はエレノアの頭を軽く撫でた。


「アルト様……ごはん……はやく……じゅる……」


 俺はエレノアの涎を拭ってから、毛布を掛けてやる。


「今夜の食事は豪華だぜ? なんせ、大蛇とドラゴンのコラボだからな」


 そう言って、俺は料理をしにキッチンへと向かった。


これで『それでも俺はドラゴン肉が食いたい』編は終わりです。

次の話はリクと冒険者になる予定です。

いつもの如く、まだプロットが完成していないのですが、

次の月曜までにはできているはず!

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