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首の根  作者: しめさば
8/9

 赤いワンピースの女性は突然泣き崩れ、苦しみ悶えながら、巻き上がった砂のように消えていった。

 そこで桜井は我に帰り、自身が高い建物の屋上にいること、その縁に足をかけていることに気がついた。

 あと一歩でも手を引かれていたら、落ちていただろう。

 桜井は膝を震わせながら尻餅をついた。

 蒼月の声が聞こえてきて、おそらく桜井を呼ぶ声だったが、その声のボリュームとは反比例して、桜井の意識は深淵に落ちていった。


 その後は警察の取り調べを受け、翌日まで開放されなかった。

 蒼月がいなければ、まともに話もできなかっただろう。

 警察官の中には見覚えのある顔もあった。

 どこで見たのかと思ったが、つい一ヶ月ほど前にも取り調べを受けたことを思い出した。

 どうもあの一件以来、現実が現実と思えなかった。


 帰宅して、ニュースをみて、首同盟の難しい言葉遣いに頭が痛くなったので少し寝て、目が覚めると連絡が来ていて、妻と宍戸からだった。

 どちらも安否を心配しているようで、とりあえず存命であることを伝えた。

 妻とはそれ以外、ぎこちなくて話せなかった。

 娘に会いたいと、通話を切ってから考えた。


 

 机にあったはずの赤いチップが無くなっていた。

 掃除をすれば出てくるだろうか。

 忘れてしまっても別に困らない。

 私にはもう必要のないものだ。

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