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翌日、首同盟より声明が出された。
茜7号を起源とする集合意識(以下、赤根)の問題行動は現在鎮静化し、被害に遭った首及びその所有者の神経ネットワークは、同盟の管理下において徹底した修正及び再構築が進められている。
その復旧プロセスについては一切を記録し、当該個人へ開示する。
同時に、パッチの取得と赤根の抹消割合について証明を発行する。
自尽組合の活動キャパシティを大幅に超えた自死志願者の大半は、この赤根による精神支配の影響であり、本人の意思とは何ら無関係に自死志願したものであることを認める。
事態発覚から同盟は迅速に対応に当たり、収束に至ったのはその53分46秒後であったが、その間に自由意志に反して生命を不可逆的に放棄した可能性のある人間は169名、未遂による負傷者は14名にのぼった。
なお、事態収束直前に観測された赤根の自壊消滅によるものと思われる不審なノイズ信号については、首都中央自尽皆包組合自尽塔の屋上より発生したとみられ、当該建物へ来場した首及びその所有者には更なる個別の調査を用意する。
この自壊消滅は、首同盟による消去と除染を恐れ、回避する目的で先んじて実行されたものと推測され、首同盟の観測の及ばない領域における赤根の潜伏を示唆している。