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首の根  作者: しめさば
6/9

5

『着きました』

 声に起こされ、桜井は目を開けた。

 胡乱な意識でもそこがどこだか瞬時にわかった。

 大きな塔がそびえ立っている。


「蒼月、冗談はよせ」

 自尽皆包組合と書かれたプレートが、出入り口の脇に置かれている。

『キリト』

 声の主が蒼月ではないと、この時に気づいた。

『もう苦しむ必要はありません』

「まさか」

 桜井はうなじのチップに指で触れて言った。

「茜7号」


 ドアウインドウを叩かれた。

 女性が立っていて、仕草で降車を促している。

 赤いワンピース、長い黒髪、白い細腕、無表情。


 桜井は車を降りた。

 見ると、周囲にも車が並んでいた。

 それぞれの運転席から次々と人が降りてきて、自尽の塔に向かって歩き始めている。

 皆、誰かに手を引かれているように腕を前に伸ばしていた。


『さあ、行きましょう』

 赤いワンピースの女性が、口を閉ざしたままそう言った。

 白い手を差し伸べている。

 桜井をエスコートしようとしているようだ。

『キリト』

 桜井はその手を取った。

 確かなぬくもりを感じた。

『もう大丈夫です』

 二人は連れ立って、ゆっくりと歩き出した。

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