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首の根  作者: しめさば
3/9

2

「カミさんは相変わらず出ていったままかい?」

 宍戸(ししど)が電話口で笑った。

「それじゃあ、遠慮なく邪魔できるな。今、仕事終わって、そっち向かってんだ」

 音声が聞き取りにくいのは、彼が車内にいるからだった。

「まさか、まだ寝ないよな?」

 桜井は寝巻きだったが、そのことについては触れずに、了承して電話を切った。


「ほら、これ」

 宍戸は玄関で靴を脱ぎながら、片手で紙袋を差し出した。

「好きだったろ。一緒に食おうや」

 それは有名な老舗店の弁当だった。

 使い捨ての四角い入れ物に、北斎漫画のような絵柄の紙が巻かれている。

「ありがとう」

 桜井は戸惑いながら受け取る。

 宍戸は勝手にスリッパを履いて、部屋の奥へと入っていく。

 彼のもう片方の手にはビニール袋が提げられている。


「近頃の奴は飲めなくてよ」

 そう言って宍戸は、おもむろにテーブルの上に缶ビールを並べ始めた。

「お前も今は飲めないんだろ?」

「まあ、絶対禁止ってわけじゃないけど」

 桜井は言葉を淀ませる。

「いいよ、飲みたくないなら」

 綺麗に5本ならんだところで、空になったビニール袋を丸めながら、宍戸はにんまりと笑った。

 はじめから、全て自分で飲むつもりだったらしい。

 桜井もつられて笑った。

 とても久しぶりに感じた。

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