休みの朝
聖智校の地下にて。
そこには広大な魔道の空間が広がっていた。
「クライガは任務に失敗したようだね。やれやれだ。それにしても、スラオシャか。フフフ、我が好敵手よ。君との再会を私はうれしく思う」
一人の男がいた。
男の名は内宮 哲夫」。
聖智校の哲学講師である。
内宮の前に下級悪魔ガーゴイルが群れを成して、ひざまずいている。
内宮はこのガーゴイルたちの主であった。
内宮は茶色の髪に、黒ぶちメガネをつけ、白衣を着ていた。
内宮のメガネが妖しく光る。
「フフフ……鏡 葵は大切な客人だ。私たちが優しくエスコートしてあげなくてはね」
内宮の笑い声が地下にこだました。
スラオシャは一人でふろに入っていた。
「ふいー! いい気分だ。やっぱり、ふろはいいねえ」
「スラオシャさーん! 着替えはここに置いておきますねー!」
「あー! ありがとう!」
「湯加減はどうですかー?」
葵がおふろのことを気にしてくれる。
スラオシャは葵の後にふろに入った。
当然、葵の香りがふろ中に充満している。
「ちょうどいいぞー!」
「それは良かったです!」
扉越しにスラオシャは葵と会話する。
「女の子っていい匂いがするよな……」
スラオシャは煩悩を感じた。
いかん、いかん。
こんなのでは早くもとろかされてしまう。
悪魔から俺は彼女を守らねばならないのだ。
スラオシャはふろから上がった。
着替えは葵が用意してくれた。
それはグレーのジャージだった。
「フム、ジャージか、着るのは久しぶりだな」
スラオシャはジャージに着替えた。体がほのかに熱を帯びていた。
スラオシャは朝ふとんで目を覚ました。
「ん? 俺は確か……」
スラオシャが起き上がる。
「そうだったな。俺は葵の家に泊まったんだ」
スラオシャの口からあくびが出た。
「スラオシャさん、起きていますか?」
葵が部屋の外から声をかけてくる。
「ああ、起きている!」
スラオシャは大きな声で返した。
「それでは着替えて居間にいらしてください。朝食を用意しておきますので」
そう言うと、葵の気配が離れていった。
スラオシャはまず、着替えを済ますと、メガネをかけて居間に向かった。
スラオシャは家の外を見た。
太陽の光が暖かく差し込んでいた。
「スラオシャさん、おはようございます」
「ああ、おはよう、葵」
葵はTシャツに、ジーンズのミニスカートをはいていた。
「今日は服装も違うんだな」
「あ、はい。今日は普通の洋服にしてみました。どうでしょうか? スラオシャさんはどちらがいいですか?」
「葵はモデルのようなプロポーションをしているから、そちらの服でも似合うな」
スラオシャは笑顔を見せた。
「さあ、では朝食にしましょう」
葵が料理をテーブルに運んでくる。
白いご飯に、わかめ、みそ汁、目玉焼き、サラダだった。
「「いただきます」」
スラオシャはまずみそ汁を飲んだ。
塩分を気にしているのか、薄味だった。
「うまい」
スラオシャの箸が進む。
スラオシャはホテルの朝食以上のものを食べることができた。
神よ、感謝します!
「そう言えば葵?」
「はい、何でしょう?」
「今日は学校じゃないのか?」
「ウフフフフ。今日は祝日です。学校は休みですよ」
「そうか。それで制服じゃなかったわけか」
「それで、今日の予定は?」
「そうだな……ん? この音は?」
その時ピーという機械音がなった。
何かの機械の音だ。
「これは洗濯機の音ですよ。ちょうど、今終わったみたいですね」
「俺の分も入っているんだろう? まずは洗濯物を干さないとな!」
スラオシャと葵は朝から洗濯物を干し始めた。
さすがのスラオシャも自分の物は自分で干そうと思っている。
スラオシャさん、なんだか慣れた動きですね? ご自分でも洗濯するんですか?」
葵がさわやかな顔を見せてくる。
「ああ。一通り家事はできるからな。それにしても、二人分だと、いろいろある……?」
スラオシャは白い布を手にした。
「? これは?」
「きゃあああああ! スラオシャさん! それは私の!」
それは葵の下着だった。
葵は顔を真っ赤にして、スラオシャから下着を奪い取った。
「ご、ごめん。気が付かなかった……」
「もう、スラオシャさんって気が太いんですか?」
葵がすねた。
「後は私がやりますから、スラオシャさんは家の中でくつろいでいてください」
「ああ、そうさせてもらうよ」