海の雄叫び
海の雄叫び
轟が砕け落ちる
白銀のうねりが
駆り立てられるように浜辺へと
急ぐ
暗い底で蠢く怒りは
土を蹴散らし
太陽を探して浮上する
薄い光は小魚の群れのように
波に乗り砂浜へと
急ぐ
誰ももういない
昼には鱗のように
夜には砂銀のように
太陽と月は
夏に置き去りにされた
浜辺を飾る
打ち上げられた
流木がとても白く
どこから来たのか
横たわっている
それが妙に
私の心を捉える
生きていた時間の長さを
思う。遠くなってしまった過去
なんだか悲しい
夜の浜辺に
星が降る
しゃらしゃらと降っている
天の川の水が溢れ
北斗七星が傾き
紺青の空から惜しげもなく
頭の上に降り注ぐ
白い龍が暗闇の中
何匹も体をうねらせ
浜辺へと向かってくる
逃げよう
くるぶしに絡みつき
暗闇の中から
雄叫びが頭上の天の川を
突き刺す