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10/22

9 フレンド


――――――――――――――――――――

【テミス(ID:013246) さんをフレンドに登録しますか?】



        Yes  No



――――――――――――――――――――



「ここで、イエスでいいのか?」


「恐らく、そうです」


 俺はテミスとフレンド登録をした。

 俺の初めてのフレンドだ。

 テミスも初めてらしい。

 フレンド登録をすると、お互いのログイン状態がわかる。

 一般的なフレンド機能だな。

 また、このフレンド機能から、個別メッセージを送ることができる。

 そのメッセージにプレゼントとして、何かアイテムも送ることが可能だ。

 そのうち使うこともあるかもしれないな。




 俺達はその後、様々なクエストに挑戦した。

 クエストには、【初回報酬】という、初回クリア時だけにもらえるおいしい特典がある。

 チュートリアルクエストの“初心のスカーフ”をはじめ、それはアイテムや装備品、装飾品など、各クエストによっては異なる。

 それ以降、つまり二回目のクリア報酬は、ノーツと経験値のみになるのが一般的なようだ。

 くらやみ目の時のように、アイテムなどが無いクエストもある。



 それから、気が付いた点としてあげると、二人でクエストを攻略すると、当然だがクリア時間が大幅に早まる。

 また、失敗の可能性がだいぶ低くなる。

 お互いの『欠損』を把握していれば、カバーしあう事で本来なら難しい場面もしのぎ切れたりする。

 


――――――――――――――――――――


【クエスト達成 おめでとうございます! excellent!! 】

【あなたは 報酬 を受け取りました。】

【報酬:800ノーツ】



【獲得経験値:800Exp あなたのLv:9】


【あなたのプレイヤーレベルが Lv:10 に上がりました!】


【あなたのアクションコマンド<ダークネスウィンド>が Lv:10 に上がりました!】

【あなたは、新しいアクションコマンド<蜃気楼>を習得しました!】



 初級クエストを様々にこなしていった結果、プレイヤーレベルと<ダークネスウィンド>のレベルが10に上がったようだ。

 そして、新しいアクションコマンドも習得!

 戦闘の基本的な流れも身についてきたわけだが、この蜃気楼ってなんだ?

 早速、ナビ子さんに詳細を尋ねてみる。


【アクションコマンド<蜃気楼>は、相手の攻撃の命中率を一時的に下げる効果を持つ、補助系魔法です。また、レベルが10に達する事で、次なるアクションコマンドに進化する事が出来るアクションコマンドです。】


 なるほど。デバフ系の技はこれが初めてだな。

 テミスは何か補助魔法を習得してるのだろうか?


「テミス、今レベルいくつ?」


「プレイヤーレベルは今12ですよ」


テミスは俺よりもクエストの数をこなしているので、その分レベルも高いのだろう。



「技いくつ覚えてる?」


「現在、習得してるアクションコマンドは二つですね」


「二つかー。回復魔法の<ヘヴンシャニティ>と、雷系の魔法攻撃<天雷(てんらい)>だよな? もう既に見せてもらってるから、どんな効果かはわかってる」


 テミスの<ヘヴンシャニティ>は、プレイヤー一人の体力・魔法・血液の全ゲージを、そのゲージの約40%分回復する単体への回復魔法だ。

 また、初手回復時に持続回復力を対象者に付与する。俗に【リジェネ】と呼ばれる効果だな。

 俺の血液欠乏状態をいつもすんでのところで救ってくれている、とてもありがたい魔法である。


 もう一つのアクションコマンド、天雷<てんらい>は、敵単体に雷属性の魔法攻撃を与え、たまに麻痺効果を与えるらしい。

 テミスのアクションコマンドは、天人族の読んで字のごとく、天の使いらしい技が多いようだ。

 

「今、蜃気楼っていう新しいアクションコマンド覚えたんだが…」


「あ、私そろそろ一度ログアウトします」


「わかった。またな」


「はい。ではこれで」


 新しい技について話そうと思っていたんだが、仕方ないな。

 俺も一度ログアウトしたほうがいいかもしれない。

 立て続けにクエストを攻略したから、恐らく現実世界に戻ったらだいぶ精神的に疲労しているに違いない。



 ログアウトした俺は、もう現実世界の時刻が午前0時を回っていたことに辟易とした。

 すっかり遅くなってしまった。

 クエストを結構なペースで回していたが、そろそろ明日の学校のために寝ないとな…。



 風呂と食事を済ませ、ベッドに就く。

 寝る前に匿名掲示板を覗いてみたくなったが、睡魔には勝てなかった。





 翌日、学校の教室に入ると、クラスの一部の男子達の会話が聞こえてきた。


「お前、『魑魅魍魎』っていうVRゲームやったんだろ? どうだった?」


「普通に面白いと思うけど、人を選ぶよなーって感じかな。

 ちょいグロとか好きな人は好きかもっていう。

 結局エオネオで遊んどこってなった」



 どうやらクラスメイトにもこのゲームで遊んでる人がいるらしい。

 なかなか珍しい事である。


 今の時期、VRゲーム、特にMMORPGは、例のごとくエオネオが席巻している。

 席巻しすぎて、独占に近くなっていると言っていい。

 

 家電量販店のゲームコーナーをはじめ、メディア展開による書店での広がりや、パソコンやスマホの広告表示に至るまで、一日のうちエオネオに関する情報を見かけない日はないというくらいだ。



 そんなエオネオ一色なVRゲーム界隈の中で、魑魅魍魎をやる人はそれほど多くないだろう。


「おーい、カオルさーん?」


「おお。マオか。おはよー」


 いきなり横から一ノ瀬が腕を差し出して、俺の顔の前で振る。


「ぼんやりしすぎじゃね? というか、昨日俺、魑魅魍魎やったんですけど」


「え!? なんで!?」


「なんでって、俺もやろうかなって話してたじゃん!」


「うわ!!」


 うわ!!ってなんだよ、と俺の反応に笑う一ノ瀬。

 しかし、マジですか。

 意外すぎる。

 日頃、話半分で約束しがちな一ノ瀬が、しっかり約束通り魑魅魍魎を始めたとは。

 今日は雪でも振るのか。


「同じソフトじゃなきゃ、一緒に遊べねーだろー?」


「一ノ瀬君はノリのわかる人ですね」


「なんで急に君付けアンド敬語なん?……あ、さてはカオル、俺を『フリップ系』とか思ってたな? その罪悪感からだろ!!」


 ……鋭いな。

 人の心を勝手に読まないでください。

 一ノ瀬の鋭すぎる指摘に、俺は目線をそらすしかなかった。

 

「申し訳ないって思ってるなら、じゃあ今日の夕方、一緒にやろうぜ!」


「……」


 ワクワクしながら誘う一ノ瀬。

 話していて思うが、一ノ瀬って、たぶん本当は俺みたいなやつとつるむ人間じゃなかったんじゃないだろうか。


 最初に話すようになったクラスメイトが俺だったというだけで、本当はいわゆる陽キャ男子なんじゃないか。

 少なくとも、俺目線ではそう思える。

 だから疑問だった。


 視界の向こうに映っているこのクラスの陽キャグループ達のもとへ行かなくていいのか?


 一ノ瀬。お前はそれで本当にいいのか?

 俺は心配だよ。お前の行く末がな。

(いや、俺自身の行く末を心配したほうがいいのかもしれないが)

 俺はそう常々疑問だった。



「一ノ瀬がそれでいいなら俺はいいけど。でももしかしたら俺ひとりじゃないかも」


「何? もうすでに誰かとフレになったん?」


「まあね。向こうで会ったら詳しく話すよ」


 俺達はその日、『魑魅魍魎』で一ノ瀬と一緒に遊ぶ約束をした。



 その日の夕方、それぞれ自宅から『魑魅魍魎』にログインすることになった。

 一ノ瀬には事前に、俺のIDとプレイヤーネームをスマホで伝えておいた。


 いつものように『魑魅魍魎』を起動。

 スタートを押した後、例のローディング画面を経て、いつものクエスト受付広場へやってきていた。



「フランー! おーい!」


 広場にいた謎の怪人から声を掛けられる。

 薄い青肌で少しパーマのかかった白髪の女性のような姿をしている。

 

「……ん? 誰?」


「俺だよ、俺。約束したじゃん、今日遊ぶって」


「ああ。本当に遊んでたんだね。てか、アバターの性別間違ってない? 女性っぽいが」


 そのプレイヤーをよく見ると、プレイヤー名が『ノセノセ』になっている。

 一ノ瀬だから『ノセノセ』なのかと察するまで、俺はそれほど時間を要しなかった。


「いや、現実世界が男だし、女プレイヤーで遊ぶのも一興じゃね?って思ってさ。

 あと、こういうゲームって、大体女性キャラのほうがファッションセンスいい装備が多いって印象あったからかな」


 それはわかる。確かに、男性キャラの装備って、ネタっぽい色物系とか混じってたりするんだよな。


 しかし、肌が少し青いのと、長めの白髪は種族の影響だろうか。

 まさしく、私は普通の人間じゃありません、といった見た目だ。

 それにしても化け物感はあまりない。

 俺はそれとなく、気になっていたマオの種族名を尋ねた。


「その青肌は100%種族の関係だよな。俺も、魔族のせいでこの角だし。そっちって種族何になってる?」


 俺はマオに、額から剥き出しになって現れている特徴的な角を指差してみせた。


「その角いいじゃん! 俺には羨ましいけどね。えーっと、種族はな……、お、俺も『魔族』になってる!! 同じじゃーん」


 


「結構いいクジを引いたと思う。

 魔族って、ここだと二番目に魔力が多く使える種族だし。

 階位ってところにはなんて書いてある?」


「階位は『メドゥーサ』になってるね」


「メドゥーサかぁ……俺より面白そうなキャラ引き当ててない?」


 メドゥーサ。

 他ゲームでも結構出てくる魔物だよな。

 なんかこう、髪の毛にスパゲティどっさり乗ってる的なビジュアルの…。

 と思いながらノセノセの髪の毛に目をやると、やはりその髪は毛先が束になっており、蛇の頭の形をしているのだった。


「面白いのかな? あ、ただこの髪の毛は気に入ってる。でもまあ、それぞれ一長一短だろー、こういうのは!」


 ノセノセは、自身の肩くらいまであるその長めの髪を手でいじった。

 すると、その手に反応して、毛先の蛇たち数匹が、愛嬌たっぷりめに(なつ)いた素振りをみせるのだった。


「~~~~~!」

 声にならない。

 なんかそれ、ペットみたいで羨ましいんだが!

 絶対ひとりの時にこっそり癒される奴じゃん、それ。



「カオ…あ、ごめん。“フラン”は階位何になってるんだ?」


「俺の階位は魔人になってる」


 マオは俺の本名を言いかけて、ゲーム内ニックネームの“フラン”に言い換えた。

 リア友とネットゲームをやる際にはこういう所のネットリテラシーが大切だが、マオはその点しっかりしている。


 お互い、自身のステータス画面を開き、よく確認しながら会話する。

 すると、そこでマオもといノセノセが


「魔人て、メドゥーサに比べるとずいぶんザックリだね笑」



 確かにそうだ。

 言われてみれば、魔人とメドゥーサが、それぞれジャンルとして魔族内で同列に語られている事には妙な違和感がある。


 どちらに関しても俺はそれほど詳しくない。

 しかし単語の意味するところの“括り”とでも言おうか。

 その“括り”のサイズが、魔人とメドゥーサとでは異なるサイズのような気がする。



「まあ、とりあえず魔族でよかったんじゃないか? あんまり見掛けないレアキャラだぞ」


「お、レアキャラ! いい響き~!」


 マオはとても単純である。いや、素直というほうが正しいか。

 レアキャラは、皆大抵手に入れば嬉しいものである。

 金のコイキングを吊り上げたら大体皆喜んでいたように。


「じゃあ、これからは魔族コンビで遊べるな! 最強タッグがここに結成されました!」


「ははは……、そう簡単に最強になれてたまるかよ」


 魔力量で言えば、確かに種族的に二番手の魔族が、ペアを組んだら向かうところ敵なしかもしれない。

 しかし、このゲームでは特に忘れてはいけない重要な要素がある。

 無論、マイナスステータス『欠損』だ。

 ノセノセの『欠損』も、気になるところではある……。

【作者からのお願い】

作品を読んでいて


「続きが気になる!」

「更新楽しみにしてる!」

「応援してるよ~」


と思われた方は、是非【☆☆☆☆☆】から評価を入れていただけると

作者のやる気がアップします。


面白くても、つまらなくても評価は大歓迎です!

お手数でなければ、よろしくお願いしますね!

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