ろく! ナスピーマン
今回は中身がないです……すいません笑
「ん……」
顔をぺろぺろと舐められる感覚で起きる、時計は6時を差している。
「ありがとう、ボス」
いつもの様におやつをあげて、朝ご飯を作る「ご機嫌だね」とでも言いたいかの様にボスが鼻で脇腹をつんつんしてくる、健二みたいだ。
「ボス、8時に出るからね」
ボスの顔をつんつんと仕返しして言う、ボスは「分かってるよ」みたいな感じで一声鳴く。
本当に良い子。
「ご飯も美味しく作れたし、良い日になりそうだ」
ただ一つ注意点がある、この辺の人達に見つかってはいけない。
見つかれば「彼女さん?」とか「ちょっと家で食べていきなよ」とか言うに違いない。
ここは話の通りが早いから彼女とか思われれば直ぐに広まってしまう。
「あ、ボスあと少ししたら出るからね」
ボスは良い子だからトイレを済ませてくれる。その間にお散歩グッズの用意を済ませるのだ、完璧。
「おっけっけ」
今のはOKと言う意味。
「ちょっと早いけど行こっか」
ボスに首輪を付ける、リードも。
そして家を出る、幸い霧はないようだ。まあある方が珍しいんだけど。
「田んぼ道とかは良いよねえ」
家から出て数分歩くともう田んぼや畑がずらーっと見えてくる、今の時期は田んぼに水を入れるため結構ちゃぷちゃぷ。
「ボス、米だぞ米」
ボスは米が好きだ、消化がしやすい訳ではないので多めの水で炊いてすり潰してちょっと与えている。
美味しい物を食べ慣れてドッグフードを食べなくなってしまっては困るし。
すると、近くの畑で何やらしていた人がくるりと振り向いて「お、ボスと慎也君じゃないか」と声をかけてきた。
「こんにちは、何されてたんですか?」
この人は近くの農家の、良彦さん。イケメンで仕事も出来るって人気、最近結婚した。
「ちょっと土見てた、慎也君はボスと散歩かい?」
「ああ……はい、そんなところです……」
ここで三武の存在がバレれば「彼女かい!?大変だ……ちょっと待ってろ!ばあ様に赤飯炊いてもらう!」とか言うに違いない。
そういう良い人なのだ良彦さんは。
「気をつけてなー!」
手を振る良彦さんに手を振り返し、目的地へと進む。誰にも会わないようにと願うが農家の人はやっぱり朝から働くものなのだ。
また畑にいる人と目が合ってしまった、その人はたったっとこちらに駆け寄ってくる。
「あら、ボスちゃんと慎也君」
この人は良彦さんのお嫁さんで奏さん。
良彦さんに負けず劣らず良い人、この人にもバレる訳にはいかない。
「ちょうど良かったわ、これ取れすぎちゃったから貰ってくれないかしら」
奏さんはそう言って持っていた袋を手渡してきた。
「ナスとピーマンですか」
「良彦さんから慎也君は料理上手だって聞いたから、良かったら食べてね」
ありがたい、鮮度抜群は美味しい。今日の昼か夜にでも使おう。
その後も何度か声をかけられ野菜を貰い、ナスとピーマンとミニトマトとキュウリが揃ってしまった。
農家の方って良いですよね。本当に偉いと思います。
自分たちが普段何気なく食べているものも農家の方の頑張りであるのですから、感謝しなくてはですね。