よん! ロイの家族!?
さあね、ロイの家族は!
「着いたー」
時刻は11時40分、目的地に無事着いた。
少し都会らしくなったここは中くらいの噴水がある緑の多い場所だ。
「ボスお疲れ様」
6kmをずっと歩いてくれたボスには感謝だ。
ボスをわしゃわしゃしていると「横溝君……?」と後ろから声がした。
「げ……」
間違いない、この声は三武……ッ!
健二と約束がある事を理由に誘いを断った、それから約束が無くなったことは伝えていない。
つまり今の自分は、健二との約束を理由に誘いを断ったのに休日を仲良く犬と過ごしていると三武に見えている……っ。
平成を保て、事情を説明するんだ。
「や……奇遇だな……」
振り向くと、横ラインのTシャツに短パン、腰まである髪をポニーテールにまとめた三武がいた。
背は150cmはない、俺は170近くあったはずなので20cm程身長差が生まれている。
三武を見ると、確かに前に健二が言ったことがやぶさかではないのかもしれないと思えてくる。
「羽鳥君と約束あるんじゃないの……?」
確かに他の人よりは可愛いなーとか思っていると、いっちばん聞いて欲しくない事を1番に、しかもダイレクトに聞いてきてしまった。
落ち着け……平静を保て横溝慎也!
「や、ちょっとね……約束が無くなっちゃってな、それでちょっと人と待ち合わせしてるんだ……」
よし!よくやった横溝慎也!
三武も「そうなんだ、私も待ち合わせ」と笑った、セーフだセーフ。
「あ、こいつボスって言うんだ。名前とは裏腹めっちゃ優しいんだぜ」
せっかく会ったんだし、ボスの紹介くらいはしておく。それに合わせてボスも一声鳴く。
「ボスぅー、よろしくね」
三武がボスをわしゃわしゃと撫でる、矢張りボスをわしゃわしゃするのは万人共通らしい。
それにしてもボスが初めて会う人にわしゃられるの初めて見た、ボスは三武が気に入ったようだ。
「三武が良ければだけど、一緒に待って良いか?」
「あっ、うん勿論」
ロイを置いてボスと遊んでしまうとロイの具合が悪くなったりしてしまった時に気づく事が出来ない、でもボスは遊びたい。
三武がちょうどいるし、ボスも何故か三武を気に入ったらしい、じゃあ決まりだ。
「ごめん、ボスと少し遊んでくれないかな。ボス走りたいと思うんだ」
それを聞いた三武は「任せて!」とほぼ無い胸を張る、手は依然としてわしゃわしゃしていた。
が、ふと思い出した様にボスの撫でる手を止める。
「あ、でも知らない人NGじゃなかったっけ?」
「あー……なんか三武は大丈夫っぽい」
まあ嘘じゃない、ボスはウェルカムとは言ったが最初から誰にでも懐くわけではなく、ある程度してから一緒に遊んだりするのだ。
でも三武には何故か一回で遊び始めようとしているのである。もう何でも良いよ。
公園の縁に座りロイを見る、丸くなって寝ている。
11時45分、約束の人が来るまではあと15分だろうか、それとも少し遅れるか、早く来るか。
「もうちょっとだからな」
ボスを見ると、三武と追いかけっこをして遊んでいた、三武が逃げてボスが追いかけている、ボスが大きく三武が小さいので襲われてるかの様に見える。
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「遅いな……」
12時20分、まだ約束の人は来ない、三武もボスも流石に疲れたらしく隣に座って来た。
ボスは目の前に。
「三武の待ち人は?」
三武の方を見ると「来てないみたい」と首を振った。
「どんな人が来るんだ?」
「分かんない」
「……ネットで知り合った人とか?」
真逆とは思ったが三武は首を縦に振った。
「知り合ったっていうか、色々」
「男?女?」
「多分、男の人」
マジか……駄目だろそれは。絶対危ないって。
でもそれにしては服装は普通だし化粧もしてないのではないか。
「あんまり口出しはしたくないけど……危ないぞ?」
「そうだよね……」
三武はそういうネットで知り合った人と会うみたいな事はしないタイプだと思っていたのだけど……。
「ほんと気をつけろよ、三武ちっちゃいし、可愛いんだから」
男に何かされても三武は抵抗なんて出来ないだろう、本当に注意して頂きたい。
「なあ……って三武?」
三武を見ると、驚いた様に目を丸くして固まっていた、ここに新銅像現る!
三武は、はっ!と何かに気づいた顔をして直ぐにうずくまってしまった。
何がしたいんだ。
「ほんと遅いな……」
そろそろ12時半だ、流石に30分は待たせすぎだろう、ロイが大事じゃないのか。
キャリーを覗き込むと、まだロイは寝ていた。
そろそろお昼だしお腹空いてきた……。
中型犬~大型犬は一日に一~二回のご飯を目安にするため、基本朝と夜に分ける、いつも昼はおやつを少しだけあげている。ボスも運動したしあげよう。
「ボス、伏せ」
ぱっ、とボスが伏せをする。本当に賢い、出来る子。
「構えて……」
それを聞いたボスがすっとからだを戻す、それを見てからポーンとササミを高めに投げる。
ボスは狙いを定め、見事にキャッチした。
「良い子だボス」
わしゃわしゃタイム、近づいてきたボスをわしゃわしゃしまくる。
すると、ロイの入ったコロコロキャリーからカタカタと音がした、ロイが起きたのだろう。
「もう一匹いるの?」
「うん、ちょっと色々あって預かってる子」
キャリーの天井部位を開くと、その老犬っぷりに似合わない匠な動きで飛び出て、三武の前に走っていった。
「ロイ!?」
三武がすっとんきょうな声をあげた。
三武だったぁ!