いち! 迷い犬
自分が動物さん大好きで、こんなんあったらいいのになーっての書きました。
7月某日、猫カフェにて。
ふわあ、と灰色のスコティッシュフォールドが大きく欠伸をした。
折れた耳に丸い顔、本当に愛くるしい。
スコティッシュフォールドを撫でているのは横溝慎也、今年で高校1年生になった。
「俺やっぱりスコティッシュフォールドが世界で1番好きだな……」
「お前それ別の猫にも言ってたろ」
「世界1は何匹いたって良い」
やれやれと首を振る。
「とかいいつつ健二もメロメロだろ」
「まーね……」
こいつは羽鳥健二、ほぼ唯一の友達的存在。
苗字に似てか鳥に詳しいが本誌では扱わない!ざまあみろ!
因みに友達はいない訳ではなくて、作らないだけ。
言い訳じゃないからな。
「あんさー。なんでほぼ毎回俺連れて来るん?」
ふと健二が思いついた様に言った。
「別に1人で来る日もあるだろ」
確かにほぼ毎回健二がいるのは否めないが……。
「こういうとこは俺じゃなくて女と来るもんよ」
健二もやれやれと首を振る。
「ばーか、俺にそんな奴いると思ってんのか」
「いるだろ」
健二が即答した、彼女とかはいないんだけど。
「俺は女と来ても楽しくねえんだよ、犬とか猫がいればいい」
「うーわかわいそー……」
健二が呆れた顔をした。
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「じゃまたなー」
「また明日な」
健二と駅で別れる、俺は健二とは反対の田畑が広がる辺りに住んでいる。
ここから1駅だが、1駅と言っても10分か、それ以上はかかる。
そして駅を跨ぎ、電車を降りる。ここから大体20分程で家だ。
穏やかな田畑が広がっていて、比較的地面も平らなため走っても余り疲れない。走らないけどね。
「ただいま」
家の敷地内に入ると、だーっ!と1匹の犬、否、狼が迎えてくれた。名前はボス。
狼の様な顔立ちをしているからではなく、狼の血が多い狼犬はハイパーセントウルフドッグと呼ばれ、日本では2種類しか犬と認められていない。
ボスは拾い子で、多分種類はその2種類とは違う。
「留守番ありがとう、散歩行こっか」
夏の日は長い、まだ明るいため全然散歩に行ける。
正直のところ、家の庭で走らせれば散歩代わりにはなる、俺の家は無駄に大きくて、無駄に広いから。
父は海外企業の社長、母は商談で世界を回る。
2人とも超がつく一流なためお金には困っていない、寧ろあり余っている。
小学校5年生くらいから徐々に両親が家にいなくなり始め、中学に上がる頃には完全な1人暮らしになっていた。
もう高校生にもなったので、お手伝いさんにも来なくていいと言った。
「行こっか、ボス」
1人暮らしも、悪くはないけれど。
たまに、少しだけ寂しくなる。
犬と猫どっちが好きですか?
僕はどっちも好きですが敢えて言うならば猫ですね。