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1-7 仕事はそう楽しいものではない

Apex Legendsちょっとだけ試しにやってただけなんだ…。そう。ちょっと…。

結果

この時間

 はあ、昨日の夜はひどかった。あそこまでいじる必要はないだろあそこまで。さて、切り替えて今日は稼がないと。このままだと金がなくてジリ貧で飢え死ぬ。

 そのため今日は冒険者ギルドで依頼を受けることにした。



 また受付にギルドマスターがいた。あの人はギルドマスターとしての仕事がないのか?


「はい次の方~。あ、依頼を受けるんですね。こちらが依頼です。」

「どうでもいいがしゃべり方がギルドマスターの時と違うな…」

「受付をするのにこの話し方が必要なんですよ~。普段はめんどくさいからあまりしゃべりませんが。」

 地獄耳かよ。つぶやいただけなのにしっかり聞き取りやがった。さて、依頼はどんなのがあるんだ…?


・角ウサギの狩猟    1匹につき大銀貨1枚

・街道パトロール    一日につき大銀貨2枚

・狐の狩猟       1匹につき銀貨5枚


 おい!なんで狩猟ばっかりなんだよ!

「ふざけないでください。早く非戦闘系の依頼をください。」

 案の定セイがキレてた。無駄を徹底的に嫌うからな。ライは相変わらずこのようになることを前からわかってたようで興味がないようだ。

「はは、間違えちゃった。ごめんね☆!こっちが非戦闘系のやつだよ。」

 うわ…。オッサンが。しかも冴えない。気持ち悪いことこの上ない。

 そして出てきたのは次のものだ。


・アルヤ食堂の手伝い   一日につき銀貨5枚

・建築資材搬入の手伝い  一日につき大銀貨1枚

・救貧院の手伝い     一日につき銀貨3枚

・商品搬入の手伝い    一日につき大銀貨1枚

・オウス農場の手伝い   一日につき銀貨5枚


 うむ、フラグからすると救貧院かな?報酬安いけど何かありそう。商品搬入は簡単だけど妙に報酬が高いから怪しそうだし、資材搬入なんて二人にはきつそうだし。

「そうね、商品搬入かしらね?」

「そうだね。僕もそれでいいと思う。」

「いや、ちょっと待てよ。基本二人に判断してもらうつもりだけどこの依頼怪しくないか?簡単な割には妙に報酬高いし。」

「僕の推測だと、この依頼はそれなりに高い店の依頼ですね。この世界だと普通の店ではこのようにして人を雇いません。いわゆる身内雇用です。このようなことをできるのはそれなりにいい店でしょうね。そしてそのような店では扱うものがそれなりのものになるので面接があるはずです。たぶんこの依頼は一般公開されてないのじゃないですかね。面接をギルドマスターが代わりにやっているじゃないのかと思います。なので報酬がいいのだと思います。ライも反対していないのでその可能性が高いです。」

 ライもうなずいている。

「それではこの依頼でお願いします。もちろん僕たちに便宜図ってくれますよね…?」

 ライのやつ何気に報酬を上乗せに来た。

「…君、図太いね…。いいよ。銀貨1枚乗せてあげるよ。」

「5枚で」

「いや~。それはないでしょう。1枚で」

「しょうがありません。3枚で手を打ちましょう。」

「どこが手を売ってんの!それ。2枚。それ以上は出せません!」

「全く…。今回(・・)は2枚で我慢します。今回(・・)はですからね。」

 セイってこんながめつい奴だったっけ…?


「ああ、場所は○○で目印はダランベール商会の看板が出てるから行けばわかるはずだよ。」

「すいません。僕たちこの町に来たばかりなのでその場所がわかりません。」

「…そうだったね。」

 詳しく行き方を教えてもらった。



―[ダランベール商会]―

主にやや高級な日用品を売る。なので貴族向けの商品を取り扱うことが多いが、やや裕福な平民が少し奮発して買うことができるぐらいの商品も扱う。店のサービスが良く、貴族からの評判はやや安めのそこそこいい店といったふうで、平民はご褒美としてくる場合が多い。


 ギルマスからもらった簡単な店の紹介を読んでいたら、店についた。…思ってたよりでかい。場所は町の中心部で、ここら辺はほかの地区よりややきれいだ。(気のせいかもしれないが)

 中に入ると落ち着いた雰囲気で、かつ気品のある空間であった。…俺みたいなただの平民とはちょっと遠い場所っていうことはわかった。ちょうど店員らしき人を見つけたので、依頼できたことを告げると店の奥へつれられた。

「会長、冒険者ギルドで依頼を受けたものを連れてきました。」

「うむ。入りなさい。」


 中に入ると、どこかで見たことがあるようなおじさんがいた。


 彼は大量の書類をさばいている。そして、ふと彼がこちらを見た。

「君たちが依頼を受けたのか。こんな偶然があるのか。一昨日ぶりだね。君はすぐに退出して仕事に戻りなさい。」

 おととい…?思い出せない。セイに聞いたら町に入る前に話しかけてきたおじさんだと言う。あぁ、思い出した。あの人か。ほんとに奇遇だな。


 そしてダランベール会長は、僕たちのやる仕事の概要を教えてくれた。

 僕たちがやることは、店の商品補充らしい。商品が少なくなったら店の倉庫から補充するというだけということである。ほかの仕事もやらせるかもしれないが、詳しくは担当者に任せるとも言ってた。


 なぜ人が必要か会長に聞いてみたら、従業員が急病で抜けてしばらく人が必要らしい。もともと規模の割に少数精鋭でやっていたため人が多少多くても問題ないらしい。…何気にあと一歩でブラックだな。


 そして、会長が指示した場所に行くと青年がいた。

彼はここのいわゆるフロアマネージャー的な存在らしい。若いのにもうそんなに昇進してる…。俺とは違うな…。俺の昇進は遅いほうだった。少し悲しみを感じていたところで、彼による仕事の説明が始まった。

 といっても具体的な補充の目安や商品がある場所について教えてもらったぐらいでほとんど俺の考えてたことと変わらなかった。


「そして最後に。|絶対に商品を傷つけないこと《・・・・・・・・・・・・・》。もし何かあったらどうなるかわかるよね…?あっては欲しくないがもしなにかあったら私に報告すること。いいね。」


 久々にビビった。こんな威圧感は会社の一部の上層部や取引先のベンチャーの社長とか以来だ。やっぱこいつも化け物の類だ。


 そうして始まった仕事を慎重に進めていった。このまま何もなければいいものをと願っていたがやはり無理だったようだ。


 それは日が沈む1時間ほど前、店じまいする少し前のことだった。商品の搬入をしているとき、売り場に子供が一人いた。それ自体は不思議なものではなかったが、なぜか気になった。ただの勘だ。ライではないが。

 何の気なしにぼーと眺めていると、すごい速さで手が動いだ。どう見ても普通ではできない速度だ。これはまさかと思い、子供がいたあたりの商品を見てみたら、先ほど補充した商品が一つ減っていた。

 …うん。逃がしたらやばいな。ということでその子をつけて行ったところ、入口から出ようとしたので

「おい!お前!商品を盗んだだろ!」

 俺はそう叫び子供を拘束した。予想以上に軽い。

「!!…ぐすん。わ…わだぢは……だ…ただみ…見にぎだだげ…なのに…。ぢがいまず…」

 泣き出した。非常に絵面が悪い。これじゃあ小さい子を押し倒して泣いているのを楽しんでいるようにしか見えない。

「しらばっくれても無駄だ。お前が商品を取っていったところを俺は見ていたぞ。」

「わだしじゃ…ないでず…ぢがいまず……」

 そういって大泣きし始めた。うん…俺が悪者みたいじゃん。困った。


 ちょっとした騒ぎとなり、もうすぐ店じまいで客もはけ始めたころで人手が余り始めていたため、従業員たちも集まってきた。中にはセイとライもいる。ちょっと待て。なんでお前らにやついている。


 会長もやってきて持っているものすべて出すように言った。

 

 しかし、中にその商品はない。

 …やばい。俺やらかしたかも。いや、やらかしたんか。どうしよう…。


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