1-5 初めての人への洗礼
遅れてすいません。最近忙しいです。
中に入ると思ってたよりいろんな人がいた。
どうしてその装備で平気で動けるんだという重装備で明らかに対モンスター用のものと思われる大きく厚い盾を持ったの盾役・短弓を下げた狩人・素人が見てもオーラを感じる大剣を背負った攻撃手・カウンターで何か話している(依頼を受けているのであろうか)中学生ぐらいの子供・談笑している老人たち。
妙にイケメン・美女のグループがいたのでよく見てみたらエルフのグループだった。一般的なエルフの認識どおりやや寂しかった。どこがとは言ってはいけない。ここまで色々なやつがいるのだからもしやと思いケモミミを探してみたら一人いた。…禿げたオッサンだったが。誰得やねん!
エリシアちゃんはギルドに入るとたくさんの人に話しかけられていた。エリシッサちゃんはやっぱ人気者なんだな。かわいいもんね。
と、しばらく周りを観察していたらオッサンが俺らに話しかけてきた。(ガタイがいい。30代ほどだろう。…酒臭い。)
「おうおうおう。てめーらエリッサちゃんに連れられていい身分じゃねーか。おおう?そんな奴坊ちゃん嬢ちゃんが冒険者ギルドで働けんのか?いや、無理だ!そんな軟弱者が戦えるか!そんな奴らはすぐに殺される!できる仕事は無い!フン!てめーらが冒険者ギルドに入ったら俺らが軽くみられるんだよ。とっとと家に帰ってママに面倒見てもらいな!とっとと帰んな!」
…その言い方はないんじゃないか?その言葉を受け、そうとうムカついてる。…そういえば今俺肉体強化されてんな。オッサンに俺らになめたことを言ったことを後悔させようとしたその時
「おじさん、すいません。僕たちいわゆる勇者にあこがれて戦うつもりはありません。僕たちは非戦闘員として登録するつもりです。」
セイは面倒くさげに言った。
ああ、確かにそうだった。セイの言うとおりだったな。湧き上がっていた怒りが嘘のようにすっと引いていった。
オッサンはやや意外そうな顔をし、取り繕うようしてに言った。
「フン!そんなこと言って勇者にあこがれを持ってるだろ!いいか!絶対に戦闘員になるんじゃねえぞ!てめえらみたいな奴がなったらすぐ死ぬからな!非戦闘員でもままごとじゃねえからな!なめんなよ!」
と怒鳴ってまた酒場の席に戻っていった。なんか視線を感じるなと思ったら完全に注目されたみたいだ。騒ぎを起こした(いや、起こされたか)からそれもそうか。
ちょっとするとライが確認するように聞いた。
「ねえ、エリッサちゃん。今の茶番なに?あなた今のこと、予定通りって顔してるわよ。周りの人もまたかとか、どうなるか期待していたいう顔をしてたし、なんでこんなめんどくさいことをしようとしたの?」
ライは顔は非常ににこやかに、口調は優しく、しかしその目は、蔑み、嫌悪している。
…え?茶番?俺それにキレてたの?恥ずかしい。
エリシアちゃんは「え?」とかなり驚いてる。
「いや…それはその…おじさん。ばれちゃってたみたい。」
声をかけると、さっきのおじさんが出てきた。
「いやー、ばれちゃってたんだ。あんまりエリッサちゃんをいじめてやらないでくれよ?それにしても 俺、恥ずかしいな~。それにしてもお前ら、さっき俺はああ言ったけど強いな!【技能】挑発を向けたのに一切動じないのは才能あるぞ!」
その言葉を聞きセイは無表情となった。
「おじさん。ひとついいですか?なぜこのようなことをしたのでしょうか?」
…あ、セイの声が冷たい。結構キレてる。結構怖い。
「ああ。あれはガキに対する脅しだ。冒険者ギルドに夢見てるやつが多くて外に出てすぐ死ぬやつが多いからな。こういう風習ができたんだ。ガキだったらあのままつっかかってきて完璧に叩きのめして現実を知らすつもりだったからな。そして兄ちゃん、話したからその殺気を引っ込めてくれ、な?」
恥ずかしい。完全に乗せられてた。おっさん、相手が悪かっただけです。十分効いています。
「それにしてももったいないな。それだけ精神が強かったら戦闘員にも申し分ないぐらいだ。お前たち本当に戦闘員にならないか?俺のチームだったら歓迎してちゃんと育成してやるぞ?」
「先ほど言ったように戦闘員にはなりません。断じて。」
「そうか。いつでも困ったことがあったら聞いてくれよ。戦闘員になりたくなったら言ってくれよ。相談にのるから。」
と笑いながら去っていった。
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ギルドのカウンターに行くとたくさんの人が並んでた。いや、一か所だけややすいていた。違いが何かと観察していたら、ほかのカウンターはいろいろなタイプの美男・美女で、そこだけ冴えないオッサンだった。怪しい。
ほかのカウンターではちょっとサービスをしているようだ。(羨ましい。)
処理速度も変わらない(いや、むしろ早い?)ので、俺たちは迷いなくそこのカウンター行った。このチームだったらそうなる。
「次の方~。あ、冒険者ギルドの登録ですね。少々お待ちください。」
「あの、なぜ僕たちがそうだとわかったのですか?」
「いや~あれだけ騒ぎを起こしたらわかりますよ。」
「あ、すいません。」
「いやいや、初めての方への洗礼ですからお気になさらず。」
と会話をしながらかなりの速さで手を動かしている。なぜかライが怪訝な表情をしているがまあいいや。
「はい、こちらが記入事項ですね。字は書けますか?代筆しますよ?」
「いえ、字は書けますので代筆はいらないです。」
記入内容は特になんも言うことがなかった。
書いた紙のようなものを渡して、しばらくすると別室に連れていかれた。
「これから何をするんですか?」
「これからステータスを測らさせてもらいます。」
冒険者ギルド登録の第二のテンプレキター!第一のテンプレが不発に終わっただけに期待はしている。ステータスは確認済みなので「こ…この数値は…!」が来ると信じてる…!
「私たちは非戦闘員ですよね?私たちはは測らなくてもよくないの?なんで必要なの?」
「非戦闘員でも外に出て採取することもありますし、戦闘員の荷物運びをすることがあるのでその際、判断するのに使わさせていただきます。」
「僕たちのステータスを他人に漏れることはないのですか?そのセキュリティーはどう保障されますか?そもそもステータスは変動するものですよね?それで判断材料となるのですか?」
相変わらず二人は質問が多い。だがこれでもまだ少ない方だ。
「冒険者ギルドでは、[残された遺産]の水晶玉システムを使ってステータスを管理しています。なので、他に漏れることはありません。また、年1回でステータスを測り直させていただきます。必要に応じて測り直させていただくこともあります。」
的確に答える受付。やっぱりこの人有能。そして、[残された遺産]か…少年心がくすぐられるワードだな。
「もし、ステータスを測るのを拒否したらどうなりますか?」
「その場合は登録できません。犯罪者かどうか調べれないので。」
…ステータスを測るのを避ける質問が多いが、そんなに二人はステータス測られるのが嫌なのか?
そうこうしているうちにどっかの部屋に入った。中には、ぽつんと水晶玉が置いてある。
「それでは順番に水晶玉に触れてください。」
三人とも水晶玉に触れた後、冴えない様子の受付は近くにある板を見ると、血相を変えて強引に俺たちを連れだした。
(実は忘れてて、一回思い出したけどまた忘れたなんて言えないよ。)