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1-4 朝焼け それから…

 目が覚めると、ちょうど夜明けだった。

 セイとライはまだ寝ている。周りの家はほとんど3階建てでここからはよく外が見える。


 はて?何十年ぶりに夜明けを見ただろうか。現代にいたころの俺はいつも寝るのが日付が変わるぐらいにやっと寝れていたぶん起きるのはぎりぎりを攻めていたため、夜明けを見た記憶がほとんどない。

 この世界で見る夜明けは言葉では表せないほどとてもきれいで、完全に見とれていた。こんな美しい世界をもっと見てみたいとも思った。


 15分ぐらい見ていただろうか。なにかおいしそうな匂いが漂ってくる。ターシャさんが朝飯を作っているのであろうか。そろそろ2人を起こそうかと振り返ると…


 ライはジト目でこっちを見て、セイは何かブツブツ外を見ながら考え込んでいる。


「…ライ、なんだその目は。」

「いや?あなたが『こんな美しい世界をもっと見てみたい』みたいな感じで外を見ているから今更何をそんな恥ずかしいことをと思っていたところよ。」

「当たり前のように人の心を読まないで!改めて言われると恥ずかしい!ところでセイはどうしたんだ?あの様子はあまり見たことがないんだが。」

「ああ、セイは時々疑問を見つけるとああなるのよ。研究者の(さが)かしらね?まあ私はああはならないけど。あのようなことをしてたら私、とっくに死んでいるし。」


 セイが何を言ってんのか聞いてみると「…あの色は…だとすると…の量は…厚さも…」というのが断片的に聞き取れた。


 うん。何のことだか全くわからん。そんなセイをほっといてしばらく今日はどうしようかと考えを巡らせていると、ノックの音がした。

「朝ごはんができたよ!起きているなら降りてきて!」

 エリッサちゃんがお呼びだ。エリッサちゃんかわいい。



 返事をして素直に下に降りると、また衛士(であろう人)がたくさん居た。そしてマズローのおっさんを発見した。


「マズローさん。ここってもしかして衛士の寮なんですか?」

「ああ。そうだ。ところでそっちのひょろい兄ちゃんはどうしたんだ?様子がおかしいぞ?」

「ああ、セイですね。彼、疑問に思ったことをあんな風に考え込む癖があるのですよ。」

「そうなのか。」

「ところで私たちがしたほうがいいことってありますか?私たち実は何をするか決めていなくて。」

「おっ、嬢ちゃん。したほうがいいことか…。冒険者ギルドのギルドメンバーになることかな。」

 なぬ!この世界には冒険者ギルドがあるのか。冒険者ギルド……!……あ、知識にもあった。


 しかし……

「いや!俺たち戦えませんよ!」

気づいたら反射的にそう答えていた。体に刷り込まれたことと頭の中は違うようだ。


「そっちの兄ちゃんはガタイがいいのに情けねぇなあ…。というのは冗談として冒険者ギルドのギルドメンバーには戦闘員じゃなくてもできるぞ。むしろ半分ぐらいのやつは戦闘員じゃない。冒険者ギルドは戦闘員のみという勘違いはお上りさんに多いがむしろ、それ以外が冒険者ギルドの基本だぜ?」

「ではなぜ…勧めるのですか?」

「兄ちゃんたちは旅をするのだろ?その時に冒険者ギルドのギルドカードを見せれば簡単に町に入りやすくなるというのが一つ。そして、特に特殊な技能がなくても多少の金を稼げるというのが一つ。だな。」


 なるほど…冒険者ギルドって俺が思ってたのとちょっと違うな。イメージとしては職業斡旋所的なところなのか。


 マズローさんは立ち上がって「おーし!お前らいくぞー!」と叫んだ。そして衛士たちが「おー」と応え、宿から出始めた。

 さすがにこんなに親切にしてくれたのに礼を言わないとまずいので、3人でお礼を言ったところ「この町をじっくり楽しんでいってくれ」と言い、衛士軍団を引き連れ外へ走っていた。



 俺たちがゆっくり朝飯を食べていたら、ターシャさんとエリッサちゃんが話しかけてきた。

「あの人相当はりきっていたねぇ。あれだけ熱く語ってくれたのは私以来かしら?」

「お父さんがあんなに入れ込むなんてめずらしい。あなたたち何者なの!」


 ……!へえ。そうだったんか。てっきり旅の人だから優しくしてくれているものだと思ったが……違ったんか。


「なんで俺たちに優しくしてくれるのかはわかりませんが…。ただの旅人以外に特に何もないですよ?」

 この世界の人ではないが、それは言う必要もないだろう。


 ターシャさんが

「夫は見る目があるからねぇ。今まで夫の興味をひくものは全部大物になったり有名になったから…。するとあなたたちも大物になるのかしら。」

 ターシャさんがエリシアちゃんに何かつぶやいたあと、エリシアちゃんが

「今日は学校がお休みだから私が町を案内してあげるわ!」

 とうれしい提案をしてくれた。


 もし俺が身体どおりの年齢だったら特に何も感じないのだが(しいて言えばかわいい娘に案内してもらうからうれしいぐらい)、俺たちの精神年齢はじいさん(orばーさん)だ。

 孫とお出かけぐらいの感じだ。しかもかわいい。内心はりきるのも道理だろう。


 出かける前の準備をするために部屋に戻った。そしてセイが復活したので聞いてみた。

「セイ、何について考え込んでたんだ?」

「ええ、太陽光線における…」

「ちょっと待て、俺にもわかるように結果だけでいいから教えてくれ。」

「…。ここやっぱり地球じゃない可能性があるということですね。」

「…?いや、こんな魔法がある世界、地球じゃ無くね?」

「いや、僕がわかる限り今まで確認した物理法則が地球のままなんですね。物理定数も詳しいところまではわかりませんが同じぐらいです。だからここは地球だと思っていたのですが。」


そうなんか。まあ俺には関係ないな。



 エリッサちゃんの案内で冒険者ギルドに着いた。なぜその場所を知っているのか聞いたら、

「だって私も登録してるもん。というか町に住んでいるなら常識だよ。」

 まだいわゆるラノベの冒険者ギルド、つまり戦闘メインのイメージが残っている俺にはまだ想像しづらい。


 俺らは冒険者ギルドの中に入った。


中途半端なところで終わるのは仕様。これからもたぶん続く。あまり気にしないで。

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