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1-8 収束

ようやく忙しさの波は超えたはず…

 もしかしなくてもフロアマネージャーの人に言えばよかっただけでは…?そう考えが至り、後悔し始めた。

 騒ぎを聞きつけた会長がこれはどういうことかを聞き出そうとしたとき、ライが寄ってきた。

「ねえ、会長。アイテムボックス使いに対する対策あるわよね。試してみたらどうかしら?」

「何を言っている?子供が魔法を使えるはずがない。あなたも知っているだろう?才能の儀は12歳からだ。この子はとてもそれより幼い。」

 従業員たちもこれに同意する。ちなみに才能の儀とは、スキル等を調べる儀式だ。スキル・称号まで見れる俺らがおかしいらしい。

「試してみる価値はあると思うわ。やって損があるわけじゃないのでしょう?」

「使うのにも多少は金がいるんだがな…。しょうがない、そこまで言うのだったら使おう。」


 会長はなにやら装置を取ってきて少女の近くでボタンを押した。すると、あっけなく盗んだ商品が空間に現れ、落ちた。


 …ほ。よかった。とりあえず俺が冤罪をした疑いはあっけなく晴れた。



 ライが少女からいろいろ聞きだしている。しばらくたって、衛士たちがやってきてこの少女は連行されて行った。その際の少女の表情は絶望と、諦めと、申し訳なさが混ざったものでちょっと忘れられそうになかった。


 今日の労働は終わった。しかし、すぐにフロアマネージャーに呼ばれた。


「君ねえ…。結果としては良かったけど、君の行動がどうなりうるか考えて行動していた?もしあのまま何も見つからなかったらこの店の評判はがた落ちだよ?君、どうするつもりだったの?君のその行動で、私たち50人以上生活できなくなるんだよ?君はその責任はとれるの?…」

 このまま約一時間こっぴどく叱られ、やっとのことで返された。


 セイとライは待ってくれていた。

 帰り道、何を少女から聞き出したかライに聞いてみた。が、それは宿で話すということで今日の分の報酬もらうためギルドへ立ち寄った。


 受付カウンターは相変わらず冴えないオッサンのところだけややすいている。…周りうるさいな。まあこんなもんだろうけど。

「はい。次のかた~。報酬受け取りですね。それでは、報酬の大銀貨一枚と銀貨二枚ね。」

 …!報酬は一人一日当たりじゃなくてまとめて一日あたりかよ!…やられた。思ったよりも金が稼げない…。確認していない俺も悪いがこれでは生きていくのに厳しいのではないか?

 セイは俺と同じように驚いているが、ライはわかってたような顔である。思ったより少ない報酬に俺はややしょんぼりとして宿に帰った。



「お兄ちゃんたちお帰り!初めての依頼どうだった?」

 宿に帰ると、エリッサちゃんが迎えてくれた。


「いや~大変だったよ。うん。とにかく大変だった。」


 やらかしてたなんて言えない。と思っていたが…

「ベアが張り切りすぎてたわよ。ああ、ご飯お願いできるかしら?食べている間話でも聞く?」

「うん!聞きたい!」



 ご飯を食べている間中俺の恥ずかしい失敗談を聞かされて生殺しにされているようだった。無茶苦茶恥ずかしい。結果だけ言えば大捕り物だが一歩間違えれば大惨事だったからな。さらに悪いことに、セイも話に乗ってきて脚色し、エリッサちゃんも話にすごく興味を持ってた。

 俺には味方がいないんか……



「それでライ。結局あの子から何を聞き出したんだ?」

 俺は部屋に戻ってから聞いた。


「別に大したことじゃないわよ。あの子、スラムにいるのよ。昔は、普通の平民だったらしいけどね。親が亡くなって、スラムに行くしかなかったらしいわ。ベアも押し倒してあの子発育が悪いのわかったでしょ。栄養失調が原因なのよ。」

 押し倒したとは人聞きの悪い。

「そして、しばらく前に【収納空間(アイテムボックス)】が使えることに気づいたらしいのよ。それからはスラムの子が役割分担して盗みで食いつないでいたのよ。私はなぜ魔法が使えるようになったか詳しく聞き出したかったけど要領を得なかったから残念ね。」

 そうか。…どう考えてもその子からしたら俺は悪者だな。…もう考えるのはやめよう。



本日の損益

利益 銀貨4枚

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