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レストランの惨劇

「何だ、お前らは!」


小さなレストランの主人、オマー・リオは声を張り上げる。自分の店に三人の男達が入ってきたのだ。


一人目は黒いのレザージャケットとエドウィンのジーパン姿のマーク・ゲイブリエル。

二人目はスキンヘッドに刺青を刻んだランディ・ウィルソン。

三人目は緑迷彩のBDUと黒のカーゴパンツ姿のカイル・フランクリン。


彼らは暴漢で、それも移民排除の思考を抱く右翼である。三人がオマーの店に足を踏み入れたのはオマーがムスリム移民ということで、客の前でオマーをブチのめすためであった。


「このムスリム野郎!」


ゲイブリエルは声を張り上げる否やオマーの襟首を掴み上げる。


ゲイブリエルの乱暴行為に食事をしていた客達は悲鳴を上げる。


「この汚ねぇムスリム野郎が。一丁前に店なんか出すんじゃねぇよ。おお!」


ゲイブリエルはオマーの襟首を掴んで睨み付けながら脅迫的な言葉を浴びせる。


「お前らムスリムは制裁を受けてもらうぜ!」


ランディはどこからかバールを出す否や、そのバールでオマーを殴打した。その光景に客達は悲鳴を上げる。


「ムスリム野郎が! てめえらに居場所なんかねぇんだよ! 死にやがれ!」


ランディは怒りの形相を浮かべて怒声を上げながらオマーを何度もバールで殴打する。バールでオマーの頭部を殴打した瞬間、オマーの頭蓋骨が割れる音が聞こえた。


「も、もうやめろ! やめるんだ!」


客の一人であるピーター・ケイレブは彼らの度を越えた悪行に声を張り上げる。


「この野郎! イギリス人のクセにムスリムの肩を持ちやがって。裏切り者め!」


カイルは自分達に声を張り上げたピーターに怒り、彼の前に歩み寄る否や、今度はピーターにまで暴行を加えた。


バールで頭蓋骨が割られたオマーは既に息絶えている。しかし、それでもランディはオマーをバールで執拗に殴打する。割れた頭蓋骨から脳の一部が飛び出る。憩いの場であったレストランは移民排除の思考を持つ暴漢達の手によって地獄絵図と変わった…。



「今や、英国は危機にさらされているのです。移民が増えたことで穏やかだった英国の治安は悪化。移民の犯罪は絶えません。政府は移民の受け入れに寛容的ですが、我々は寛容しません。政府はが移民に寛容的ならば、我々はその逆の姿勢を取ります!」


動画サイト、ユーチューブに投稿された動画の中で一人の男性が視聴者に向けて移民を批判したコメントをしている。彼の名はアンドリュー・スミス。年齢は四十代。動画の中で移民に対しての批判コメントをしているスミスはイギリスの極右政党、ブリテン・ファーストの幹部である。


ブリテン・ファーストは国内に住む移民やムスリムに対して過度な敵意を抱き、時々自分と同じ思考を持つ者達を引き連れては移民への批判や排除的なヘイトスピーチを行っていた。


「何を言っているか、わからないわね。この男。移民が英国は危機にさらした根拠なんかないわよ」


自分のパソコンで彼の動画を見ていた。ジョナサン・フライマンはスミスの言葉に対して呆れ気味に言う。ジョナサン・フライマンは二十代後半のショートカットの女性。ジョナサンはロンドン・ポリスステーションに勤務する刑事である。


「彼の頭の中は移民排除のことばかりでいっぱいですからね。ま、俺に言わせれば彼は訳のわからない輩ですよ」


ジョナサンとは二歳年下の男性刑事、ケリー・ワイトはジョナサンに言う。


「これ、どうぞ」


ケリーはジョナサンにアイスコーヒーが入った容器を渡す。


「ありがとう。ケリー」


ジョナサンはケリーにお礼を言ってからその容器を受け取る。


「俺もブリテン・ファーストのことは知っていますけど、冗談抜きでヤバい連中ですよ。今は移民の店を襲ったりしていませんが、やり兼ねませんね…」


ジョナサンはケリーから受け取った容器を口に近付けて中に入っているコーヒーを喉に流し込む。


「いいえ、(ブリテン・ファースト)らは今に大きな事件を起こすわね。彼らは『そこらの極右団体とは訳が違う』って言っているけど、私の目から見ればブリテン・ファーストはKKK(クー・クラックス・クラン)やネオ・ナチやオルト・ライトと何ら変わりないわよ」


ジョナサンの目から見てブリテン・ファーストはKKKやネオ・ナチやオルト・ライトと大して変わりない。それ故にジョナサンはブリテン・ファーストが今に移民等に対して大きな傷害事件、もしくは殺人事件を起こすと感じていた。できることであればそれは避けたいが、極右団体というのは高い確率でその手の犯罪を犯すのだ。


「というと、ジョナサン刑事は今にブリテン・ファーストの者が、この署に連行されて来ると、でも言うのですか?」


ケリーは尋ねる。


「その可能性は十分高いわ。貴方(ケリー)の言う通り、彼らは現在はこれといった大きな事件を起こしていないけど、今にやらかすわよ。彼らは」


その時だった。警察署に一通の電話が届いた。若い職員がその電話に対応した。電話の主はケイレブだった。ケイレブはレストランで三人の暴漢が押し入って、店主を殴り殺したことを伝えた。そのことはケリーとジョナサンにも伝わり、二人は現場へ急行した。














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