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栽培女神! ~理想郷を修復しよう~  作者: すずの木くろ


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115/151

115話:分からせ

 それから俺たちは部屋にあった浴衣に着替え、夕方まで部屋でダラダラと過ごした。

 俺たちが泊る部屋は、日本でもポピュラーな畳張りの和室だった。

 まさか畳まで作られているとは、正直驚きだ。

 どこか別の街から、グランドホークを使って仕入れているのだろう。

 今は、宿の食堂で夕食をいただいているところだ。

 フォークだけでなく箸も用意されていて、それぞれ使いやすいものを使って料理を食べている。


「んー、美味しい! やっぱりお魚は美味しいね!」


 皿に山と載せられたイワナの塩焼きを、ネイリーさんが手掴みで次々と食べていく。

 すさまじい食べっぷりだ。

 広々とした板張りの食堂にはテーブルがいくつも並んでいて、他の宿泊客が食事を楽しんでいる。

 中央には炉端で串刺しにされたイワナが焼かれていて、竜人族のおじさんがせっせと焼いていて食べ放題だ。


「さっきからイワナしか食べてませんけど、他のはいいんですか?」


「うん。お魚だけでじゅうぶんだよ。お膳の料理、皆にあげるよ」


「おおっ! では、私は豆腐のオムレツを頂きたいです!」


「炊き込みご飯、もらうね」


「俺は味噌汁を貰うわ。フェルルさんもどうだい?」


「野沢菜餃子、1つ頂いてもいいですか?」


 皆がネイリーさんのお膳から皿を取っていく。

 1人1人にお膳が出されて、かなり種類豊富な夕食だ。

 どれも野菜を使った料理ばかりで、ネイリーさんにはちょっとつらいな。


「ノルンちゃん、沢ワサビの上にネットを張るって言ってたけど、どうなったの?」


「全部にネットを張るのは大変だってことになりまして。巨大ワサビの周囲だけに張って来たのですよ」


「そっか。他には何か、落ちてる物は見つからなかった?」


「何もなかったですね。園の人たちと一緒に、川の中も見て回ったのですが」


「ふーん……俺たちがいた辺りが、転送ポイントなのかな?」


「どうでしょう。巨大ワサビはあちこちにありましたし、そうとも限らないのですよ」


 肉が落ちて来た理由は謎だが、バグが関係していると見て間違いない。

 早急に砂漠へ行かないと、怪我人が出てもおかしくないな。


「まあ、明日砂漠に行けば、はっきりするのです」


「だね。でも、天空島の時みたいに、いきなり襲われたりして」


「私とネイリーさんがいれば、何が現れても大丈夫なのですよ」


「すごいですね。わくわくしますね!」


 フェルルさんが瞳を輝かせる。


「私、そういう冒険にずっと憧れていたんです! すごく楽しみです!」


「フェルルさん、冒険にも興味があるんですか?」


「はい! 冒険者って、何か格好いいじゃないですか。採掘が終わったら、冒険者になろうかなとも思っているんです」


「若いっていいねぇ。まあ、その時は俺らと一緒に旅するのもいいんじゃねえか?」


 カルバンさんが味噌汁を啜りながら言う。


「えっ、よろしいのですか!?」


「ああ。つっても、リーダーの承諾があればだけどな」


 カルバンさんが俺を見る。


「俺は構いませんよ。大歓迎です」


「うわー! ありがとうございます! ぜひお願いします!」


 何とも軽いノリで、旅の仲間が増えることになってしまった。

 フェルルさんのことはほとんど何も知らないけれど、とてもいい人に感じるし、何よりかわいい。

 考古学の知識があるので、きっと頼りになるだろう。


「あ、でも、ここの遺跡採掘がひと段落してからお願いしたいです。ご先祖様の遺跡は、全部掘り出しておきたいので」


「そしたら、それが終わったら合流すればいいですよ。再会のベルで連絡を取り合えばいいですし」


「はい! よろしければ、今までの冒険のお話を聞かせていただけませんか?」


「じゃあ、俺がノルンちゃんと出会った時の話からしますかね」


 食事をしながら、つらつらと今までの出来事を話して聞かせる。

 フェルルさんは終始オーバーリアクションで、すごいですね、壮大ですね、と喜んでいた。




 小一時間食事を楽しみ、食堂を出て部屋へと向かう。


「では、私は1階のお部屋なので」


「はい。また明日」


「おやすみなさい!」


 フェルルさんが笑顔で手を振り、部屋へと向かう。


「さて、俺たちは部屋割はどう――」


「コウジ、今夜は私の番」


 チキちゃんが俺の腕を掴む。

 そういえば、順番的にそうだった。


「私はネイリーさんと一緒の部屋にしますね! 爛れた夜をお過ごしくださいませ!」


「ひひひ、コウジ君、たっぷり絞られておいで!」


「張り切りすぎて、明日に疲れが残らないようにな」


 ノルンちゃん、ネイリーさんが卑猥な台詞を吐き、カルバンさんが苦笑しながら部屋へと向かう。

 俺はチキちゃんに腕を引っ張られ、201号室へと入った。


「コウジ」


 部屋に入るなり、チキちゃんが俺に抱き着いてきた。


「ちょ、ちょっと、チキちゃん。布団敷かないと。それに部屋、真っ暗――」


「フェルルさんも一緒に旅するのはいいけど、手を出したらダメだからね」


 チキちゃんが俺の服をぎゅっと握り、眉間に皺を寄せて俺を見上げる。


「そんなことしないって」


「でも、コウジは胸が大きい人が好きなんでしょ? 好きになっちゃったりしない?」


「しないって。別に胸が大きければ誰でもってわけじゃないよ。俺は、チキちゃんとノルンちゃんのふたりだけが好きだから」


「……うん、分かった」


 チキちゃんが掴んでいた服を離す。


「もう少し体が成長したら、私も少しは大きくなると思うから。それまでは、我慢してね」


「あ、はい」


 反射的に頷いた俺に、チキちゃんが、ぷくっと頬を膨らます。


「やっぱり、我慢してたんだ」


「いや、今のは話の流れで……ああもう!」


「きゃっ!?」


 その華奢な体を俺がぎゅっと抱き締めると、チキちゃんから驚いた声が漏れた。


「余計なこと考えられないように、今夜は分からせてやるから!」


「えっ。う、うん」


 そうして、俺は明かりも点けずにチキちゃんを分からせにかかった。




 翌朝。

 俺とチキちゃんが食堂に行くと、すでにノルンちゃんたちは席に着いていた。


「コウジさん、おはようござ……だ、大丈夫ですか?」


「うわ、げっそりしてる」


 ノルンちゃんとネイリーさんが、俺を見て目を丸くする。


「搾り取られた……」


「おいおい、嬢ちゃん。いくらなんでもやりすぎだろ」


「コウジを逆に分からせたの」


 チキちゃんがカルバンさんに、親指を人差し指と中指の間に握り込んだ両手の拳を向ける。

 ヘロヘロすぎて、諫める気も起きない。

 昨夜は俺が善戦したのはほんの十分ほどで、その後は完全に逆襲されて明け方まで徹底的に分からせられてしまった。

 数十人分のエルフの知識と経験を持つ彼女になど、ハナから勝てるはずがなかったのだ。


「あはは。おふたりは本当に仲良しなんですね!」


 フェルルさんが、にこっと可愛らしい笑みを俺たちに向ける。


「ええ、まあ……はぁ」

 

「絞られた分、しっかり食べて栄養補給しなよ。ほら、食べよ!」


 ネイリーさんにうながされ、俺たちも席に着く。

 朝食は和善で、焼き魚、白米、味噌汁、野沢菜の漬物、カットトマト、豆腐サラダだ。

 ネイリーさんは別注料理を頼んだようで、焼き魚が3匹も皿に載っている。

 昨夜のようにネイリーさんは魚以外を皆に配り、いただきます、と皆で食べ始めた。


「コウジ、食べたらすぐに出発するの?」


 チキちゃんが箸で魚をほぐしながら言う。


「うん。空から降って来る肉のこともあるし、早くバグを取り除かないとだからね」


「馬たちも連れて行く?」


「砂嵐があるらしいし、目に入ったらかわいそうだから置いていくよ。馬用のゴーグルなんて、持ってないし」


「そっか。それがいいね」


「出発する前に、売店でお昼ご飯を買っていくのですよ」


 もっちゃもっちゃと米を咀嚼しながら、ノルンちゃんが言う。


「あと、今夜の食事は用意しないように、宿の人に言っておきましょう。バグが何なのかも分かっていないですし、時間がかかるかもなのですよ」


「いよいよ冒険ですね! わくわくが止まりません!」


 楽しみで仕方がない様子のフェルルさん。

 何やかんやで毎回危険な目には遭っているので、怪我をさせてしまわないかが心配だ。

 彼女の初めての冒険が楽しいものになるように、しっかりサポートするように心がけなければ。

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