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einige  作者: ちあき
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2. 現状把握


「ふー・・・あー疲れた」


 自室で一人になり、やっと一息を吐く。ようやく煩わしい会話から離れられた。


(・・・なーんて。現実感が出てきたと思ったら急に、だよね。今まで当たり前に会話してたのに)


 我ながら薄情な気がしてきて、それでも現状を思い返すと仕方がない事だと思い直す。einigeの中のイリス。濃いキャラ達に霞んでしまいそうになるが、彼女の人生も中々波乱に満ちている。順を追って辿ると。


 出生。オトマール国の三大貴族の一つ、トラムメリー公爵家の長女として生まれる。

 7歳で第一王子、キリエ・オトマールの婚約者候補の1人に。その頃より兄が拗らせ気味になり激痛中二病状態となった兄妹。父母や従者達からドン引きされる。

 9歳まで他の婚約者候補と共に第一王子との親交を深める会(おままごと)に参加。トラムメリー公爵令嬢ということ、加えてその頃より出現し始めた魔法の才能により婚約者の地位がほぼ決定。命を狙われるも魔法・・・と言うよりは呪術で撃退。その非情さが第一王子からは利用出来そうな駒として、兄からは出世に役立つ共犯者として目を付けられる原因となる。

 10歳で第一王子の婚約者に抜擢。それから数年間、王族としての教育を施されたり、兄から毒電波を飛ばされたり、黒魔術に傾倒したり。闇鍋の中身のような状態ですくすくと健やかに伸びやかに稀代の魔女として成長する。

 13歳以降はルートによって分岐。

 (アロイス)ルートでは呪術で兄の邪魔になる貴族を徐々に排除し始める。この時点でトラムメリーは三大貴族の1つ、から一強状態になる。15歳の時点で第一王子暗殺、17歳で第二王子の王位を剥奪する事に加担。その罪を兄に糾弾されるよう仕向け、18歳で兄の手で命を落とす。


 第二王子(リート)ルートでは第一王子(キリエ)の計らいで姿形を偽って近付き始める。第一王子の邪魔をしないように第二王子を導くも、16、17歳頃にそれが判明。怒れる第二王子により監禁され、そのまま一年かけて拷問死。


 平凡少女(モニカ)ルートでは13~14歳ごろたまたま町に出た際に魔法の才能に溢れた村娘モニカに遭遇。3年かけて彼女を保護、教育した後にその魔力を自分の力にしようと画策する。が、モニカを支える人々とモニカ自身の魔法に敗北。17歳でその時の戦いの傷が元で死亡。


 脱獄王女(ミサ)ルートでは15歳の時に(アロイス)が事故死。イリス本人も色々あった結果第一王子との婚約解消。領地の切り崩しもあり公爵の地位は子爵にグレードダウン。国を見限ったイリスは、隣国、ゲーテの捕虜として幽閉された王女ミサに目をつける。2年かけてミサの脱獄、レジスタンスの発足、クーデターを策略。17歳でミサをゲーテに逃がす事に成功。彼女の片腕としてゲーテ、オトマール間の戦争に参加。19歳の時に戦地に赴いた際、ミサが窮地に陥り騎士より銃撃を受けるもそれを庇って死亡。死亡の際には自分の魔力の全てを使ってミサに光魔法による祝福を授け、戦争終結にも大きく貢献した・・・と。


(これは・・・中々ドラマチックというか何というか)


 einige攻略の記憶から、イリスに関係するものを抽出してみた。勿論細部を思い出せない部分はあるが、大まかにはこれで合っている筈だ。

 確か兄の死亡が起こった際に別の国に亡命して冒険者ルートの登場人物になる事もあった。有力魔女として名を馳せて。死亡ルートアヘ顔ルートはあるものの、生存ルートも確認している。


(・・・よし、どうしても嫌なエンドをチョイスしよう)


 ダントツ一位は第二王子の拷問エンド。一年かけてとか粘着質すぎる。目元が潰れているのか真っ赤な血を流して縛り上げられていたイリスの、徐々に四肢がなくなっていく様子は恐怖の一言だった。しかもシナリオライターがグロで有名な人だったから余に・・・まあイリスファンの半数はこのルートが至高としていたけど。そう言えば、元々イリスには熱狂的な固定ファンが居たためイリスルート(成人指定)発表時の祭はそれはもう恐ろしかった。その時は確かイリスと一緒にもう一人の新ルートの発表もあったが・・・通称ルートBに関しての話はややこしいので割愛する。


 その他のデッドエンドについては、一概には言えない。年齢順で17、18、19となっているものの死に方が違うだけで結果的な差は少ないだろう。


 それを踏まえると冒険者ルートが生存には一番いい可能性が高い、が・・・問題がいくつか。兄が死ぬ、両親とも戦火に巻き込まれ死亡するため障害孤独、頼る人間がいなくなる事。今の生活水準・・・好きなだけ美味しいものをたべたり着飾ったりしても財産が余りある状況が全て失われる事。・・・激痛だ。

 今まで半分夢心地で過ごしていたので家族に対する情は余りないのが正直なところではある。兄に関しては今後イケメンになるからと内心ワクワクしていたが、今はただの子供だ。そんなに執着もしていない。

 そこまで考えてため息を吐いた。


(よくよく考えても・・・なんで7年も普通に過ごして来たんだ。私)


 ただ言い訳をさせてもらうとするなら、これには原因がある。基本的に普段から見る夢が明晰夢だったこと。夢の中でもこれは夢だと気付くし、怪我した時にはすごく痛いという感覚だってあるぐらいだ。今回だって多少リアルでも、普段の夢がまた進化した、ぐらいに考えていた。

 まぁ・・・流石に7年気づかないのはどうかしてると思うが。多分父が婚約の話を出さずに死亡フラグをちらつかせ無ければ、あと数年はこのままで過ごしていたのかもしれない。

 今回は、早く気付く事が出来た方なのだと思う。比較対象は無いし、それが精一杯の自分のポジティブシンキングだとは分かっているけれど。


 ううんと唸って、机の上。びっしりとイリス年表を書いたメモ帳を眺める。

死ぬのは嫌。拷問はもっと嫌。出来れば生活水準を落としたくない。・・・駄々っ子か。


 今自分が持ってるのは親の権力。貴族の地位。多少のお金。・・・まあ、これだけだ。子供だからしょうがない。


(あ、でも魔法)


 そう言えば魔法はどうなんだろう。イリスに関して魔法の才能は幼少期からあったようだが、詳しくは分からない。独学なのか、誰かに教えてもらったのか・・・。8、9歳で魔法の力が出現し始めた、というのだって正確には()()だ。もう少し前後していてもおかしくはない。

 と、言うことは・・・


(もしかしたら、もう魔法が使える?)


 目から鱗だ。今日は冴えてるかも知れない。ものは試しだと空を飛べと念じてみる。ぴょんぴょんと飛び跳ねながら。

 ・・・失敗した。ベッドの上で飛び跳ねたものの、そのままバランスを崩してしまい頭からぶつかる。布団なので肉体的なダメージは少ないが心が痛い。


 がっくりうなだれる。ややあって枕が落ちて来て頭に直撃。地味に肉体的なダメージも受けた。イラっとして枕もぶんなぐる。


(・・・いや・・・?)


 あれ、と今殴った枕を見つめる。気のせいか?今落ちてこなかったか?飛び跳ねる間に枕も跳ねたのだろうか。それにしてはだいぶ時間差があった気がするが。


 試しにもう一度飛べと念じてみる。今回は飛び跳ねていないので自分は案の定浮かない。

 代わりに先ほどぶん殴られた枕が浮いた。ふよふよと。10秒で、落下。結論から言わせてもらおう。

 イリスの魔法は7歳の時点でちょっとは出来る。テンションも上がった。

 のでそのまま続けてみる。



 枕から始まり色々な物が飛ばせないかと実験をしたけれど、枕以外にはイリス年表で使用したメモ帳を浮かせる事しかできなかった。まだまだ練習や勉強が足りないようだ。


 魔法には確か火、水、土、風、雷に光、闇。ちょっと特殊な氷魔法に従属魔法、錬金術や身体強化術と色々な種類がある。確かこれは冒険者のルートで詳しく説明されていた。貴族ルートではイリスの魔法の詳細についての説明のみ。


(確か『基本的な魔法は全て使うことができるが強いて言うなら闇魔法が得意』だったか・・・分かりやすいけど)


 それでも大雑把過ぎる。魔法についてはメモに追記した。

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