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キャラクターメイキング

ていっ!

 俺はあの後一時間以上遥花を町中探し、家に帰れたのは五時過ぎだった。


 「お前なー、本当に勘弁してくれよ一時間も町中歩きっぱなしだったんだからな」


 俺は呆れた口調で遥花にそう言った。


 「グスン······すみません······」


 遥花は目尻に涙を浮かべて俯く。反省は一応しているようだ。

 まあ、仕方ない今日は遥花にゲームやるって約束したからな、ご飯は直ぐに出来るしょうが焼きとかにするか。

 そう思い俺はキッチンへと向かい料理を始める。

 なぜ俺が夕食を作るのかというと、俺の家族は親が共働きで帰って来るのがいつも九時過ぎになるため、こうして俺が料理を作っているのだ。

 これは既に七年は続けているからもうお母さんにも料理の腕は遅れをとらないと自負している。

 この親にも遅れを取らない家事スキルのせいで女の子と呼ばれる原因の一つなのだが当の本人はは知るよしもなかった。


 ご飯も食べ終わり食器の片付けを終えると遂に『インフィニット·ポッシビリティーズ』をする時がきた。

 勿論夏の宿題はこのゲームが終わった後にやるつもりだ。

 宿題をやってからプレイするのも良かったのだが、遥花が今すぐやると言って騒ぐので仕方なく俺は先にゲームをプレイする事になったのだ。

 一応宿題は計画通り順調に終わっているので少しくらいなら良いだろう。


 「そう言えば『インフィニット·ポッシビリティーズ』はゲームソフトなんだろ?なんで機械なんだ?」


 俺はこの機械を買った時から気になっていた疑問を遥花にぶつけてみる。


 「えーとね、それはねこの機械は『XZERTA』っていう機械で、『インフィニット·ポッシビリティーズ』はその内臓アプリなんだよ、だからこの『XZERTA』だけで済むんだよ」


 そういう事だったのか、家電量販店から今までずっと疑問に思っていたことがやっとわかったので少しスッキリした気分だ。


 「それじゃあお兄ちゃん、まずは外見撮影だよ、『インフィニット·ポッシビリティーズ』は外見撮影をして現実の容姿をベースするようになっているの。あまり現実とかけ離れたキャラには出来ないようになっているから身長や体型もあまり変えられないからね、体型はまあ、それなりに変える事は出来るけど」


 俺は仮想世界だけでも男らしい姿になりたいと思っていたが、その小さな願いは儚く散った。

 ゲームなんだからもう少し夢を見たっていいじゃないか······


 「じゃあ私がお兄ちゃんをバッチリ撮ってあげるよ!外見撮影は四方からの撮影だけで良いから直ぐに終わるからね、顔は別にもう一回撮るけど」


 俺は遥花に自分の体をカメラで撮ってもらう。なんかこうして写真を撮られると気恥ずかしいな。

 そんな事を思いつつ俺は遥花になされるがままに計五ヶ所の写真を撮ってもらった。

 「お兄ちゃん可愛いね!」と親指をビッシィと立ててきたが気にしない。気にしたら負けだ。

 気づくと遥花はカメラを『XZERTA』に接続して写真を転送しているようだ。カメラを『XZERTA』にケーブルを繋げてなにやら作業をしている。


 「それじゃあ『XZERTA』にお兄ちゃんの写真を送ってっと······、よし出来たお兄ちゃんもう良いよ、これで後はログインしたらキャラメイクをしてそれが完了すると建物に囲まれた円形状の大広場に出るからそこの中心で待ってるね」


 そう言い残し遥花は自分の二階の部屋に階段を一段飛ばしで登って行く。

 少しでも早くプレイしたいようだ。

 遥花が言っていたがこの『XZERTA』を使用するときは、絶対に楽な姿勢でするようにと何度も忠告された。

 恐らくこの機械を使用している時は、現実では意識を失っているような感じになる為、楽な姿勢でプレイしないといけないらしい。

 俺も自分の部屋に戻りベッドに横になる。


 「これを頭に被ってと······よし」


 俺は『XZERTA』の頭の後ろから出ているケーブルをコンセントに繋ぎ電源ボタンを押した。


 ★☆★☆★


 俺はログインすると視界は一瞬暗転し、次の瞬間なにもない白一色の空間にいた。


 「ようこそ『インフィニット·ポッシビリティーズ』のキャラクターメイキング室へ」


 すると突如どこからともなくアナウンスが聞こえ、自分の数歩前に学校の黒板程の大きさの空間ウィンドウが表れた。


 「それではまずキャラクターメイキングを行います最初に名前を入力して下さい」


 機械のアナウンスとは思えない声で空間ウィンドウのタッチパネルに名前の入力を勧めてくる。

 俺は少しばかり悩んだが名前入力欄の上に名前の例があるのが視界に入りそれを見る。


 『タロウ』,『tarou』,etc······

 沢山の種類があったが少しばかり悩んだ末に俺は名前を『ミドリ』と入力するし、完了ボタンを押す。


 「では次にクラスと職業を決めます。こちらをご覧ください」


 すると次は三十種類以上のクラスが表示されているメニュー欄に移動した。

 ハンターやファイター、アーチャーなど三十種類以上のクラスが並び中には暗殺者などが表示されている。

 ゲーム初心者の俺にはどれが良いのかさっぱりわからないが個々のクラスの横に簡単な説明が記述されていた。


 「えーと、じゃあ剣士にしようかな、動き易いっていうのは結構良いんじゃないかな」


 剣士クラスは動き易く起動力重視のクラスらしい、攻撃力はほどほどで防御力全体的に少し劣るそうだ。

 俺は少し悩みつつ、一覧の真ん中辺りにある剣士クラスに決定し次に移った。


 「次は職業を決めますご覧の中からお選び下さい」


 クラスを選んだ後は職業決めで、クラスよりはだいぶ種類は減って十種類程だった。

 冒険者職、生産職、商業職などあったが、せっかくのゲームなので俺は冒険者職を迷わず選択する。

 遥花も冒険者職とか言っていたから大丈夫だろう。

 その後も身長や体重などを微調整をしてキャラメイクは滞りなく終了した。

 かかった時間は十五分程度で、もともと自分の体が外見撮影しそれをベースにしていたので然程時間はかからなかった。


 「これにてキャラクターメイキングを終了致します。それでは『無限の可能性』に満ちる世界、『インフィニット·ポッシビリティーズ』をお楽しみ下さい」


 これで全ての項目が終了したらしい、次の瞬間俺の前にあった空間ウィンドウは閉じアナウンスと共に俺は『インフィニッ·ポッシビリティーズ』の世界へとログインした。


 


  



 

次回もよろしくお願いします。

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