第一章
この大陸は日本国とパニエル王国が共に半分ずつ占有している。
両国は互いを倒し、大陸を独り占めしようとしていたせいで、戦争が長年続いていた。
戦が何千年も続いていて、何十万人が戦場で命を失ったぐらい壮絶だった。しかし、時が過ぎ、人々は自分が何の為に戦っているのかをだんだんわからなくなり、戦意を失って、両国も積極的な侵攻行為を行わないことで、戦争が膠着状態になっていた。
そんな時に、人類は突然神秘な力を発見した。
一人の主婦が洗濯物を早く乾かしたいと思うと、なぜか急に強い風が服を吹き飛ばした。また、ある子供がもっと速く走れるようになりたいと思うと、なぜか異常な速さで走れるようになって、大人さえその子を追いつけられなかった。他にもおかしいことがいっぱい現れて、世界が一時的に混乱になってしまった。
説明できない謎の力、それは戦争より恐ろしいものだと思われることにより、この力の正体を弁えるために、日本国とパニエル王国は一時的な停戦布告をした。
三年を渡って行った研究の結果、人間の体に体力に似ているもの―「魔力」が宿り、それを使って、イメージすることと詠唱することにより、魔法を使えるようになった。
そんな物語の中でしか現れないものが、突然操られるようになったことで、人が下らない争いにより、この新しい力でより幸せな生活を送ることに興味深いのだ。よって、平和な日々が暫く続いていた。
だが、現任日本国の王様ー神辺威王が何の前触れもなく停戦布告を撤回して、魔法を軍事活動に投入し、積極的に侵略行為を行って、再びこの大陸は戦火に巻き込まれた。
家の庭にある木下で俺はまた剣を振り下した。バラバラに散り落した木の葉が踏まれ過ぎて、もう土と分けられなくなってしまった。
「ハァァァ!!!」
「違うわよ!もっと腰を使いなさい!!」
俺は二十分も木剣を振り続けたにもかかわらず、彼女に一撃も当てられなかった。腕力で女子に勝てると思っていたけど、簡単に防ぎれて、しかもその反動でこっちの手が痺れてきた。
俺の方が年下のせいか、打っても打っても彼女の防御が破れてくれない。
このままだと、体力と精神力もそろそろ限界だ。いっそ全身の力を使って!
そう思った俺は大幅に後ろへジャンプして、そしてまるで湖に跳び込むかのように跳びだした。
「ならこれはどうだ!!!」
叫びながら突っ込んできた俺に彼女はなぜか呆れた顔をして、溜め息をしながら急に両手で握っていた木剣を横に投げ捨てた。
「はぁ!?」
その行動に瞠目して、攻撃を中止しょうと思ったが、空中で動きを止められない俺が涙目ながら震えている声で叫んだ。
「速く避けて!!姉ちゃん!!!!!」
あれ!?
しかし、そこに立っていたはずの姉ちゃんがいなくなった。
「戦場でこんな無謀なことをすると死ぬわよ。」
そして俺の腕が何かに捕まられて、前のめりに飛ばされた。
「ちょい、タンマ!!」
戦場どころか、今この場で死ぬぞ!!いや、死にはしないけど痛い!まじで痛そうだよ、これ!!
頭が真っ白になった俺が着地する直前に受け止められた。
「はい、ここまで!よくがんばりました。」
俺の姉ー城崎彩奈はいつも俺との訓練が終わった後、頭を撫でてくれた。すると、心地よくて、悔しい気持ちを一掃してくれる。
今日もいつも通りにまだ茫然としている俺の頭を撫でてくれたけど、いつもより優しくて、どこかで寂しい気がする。
男なら簡単に泣くな!よくこう言われるけど、子供である俺はこの日に我慢できるはずがない。
俺は嗚咽を抑えきりながら、力強く姉ちゃんを抱きしめる。ここで手を離したら、彼女がもう二度と戻らない。そういう気がする。
「俺はまだ一度も勝ったことがない!だから、俺が姉ちゃんに勝てるまでにどこにも...」
言わなきゃいけないのに、涙が溢れて、声が出せない。
「な..いで..」
うまく言葉を組み立てない俺に姉ちゃんも不意に潤み声で言った。
「もう...私まで泣かされたじゃない....」
すると二人は抱きしめながら泣き出した。
あぁ....なんでこうなるだろう.....
本当は分かっていた。例えどんなに逆らっても、何も変わらないことを。
俺たちは生まれてから軍人になるという運命から逃げ出すことができないのだ。
城崎は日本国の軍閥で、政治に一定の干渉力が与えられた代わりに、国家のために戦場に出なければならない。
姉ちゃんは先月戦闘軍校を卒業し、今日から正式に軍人となり、戦場に出るのだ。
しかし、戦場で何が起こるか誰にもわからない。ちょっとした油断で命をなくしてしまう。
もちろん、姉ちゃんのことなら、簡単には死なないと思っている。実際、俺が彼女に勝ったことは一度もなかった。でも、それはあくまでも魔法を使わないという前提のあるはなしだ。
だから俺は挑んだ、自分の持つすべてを使って。
小僧一人すら勝てないのなら、戦場に出ても自殺と同然という言い訳も考えておいたが、勝てなければ何の意味もなかった。
結局、俺は勝てなかった。いえ..例え勝ったとしても、そんな子供っぽい言い訳が通じるわけがない。
予定通り、姉ちゃんは荷物を持ち、家から出る。もう永遠に帰ってこないわけでもないが、宣戦したばかりのこの時期であれば、いつ帰られるかわからないのだ。最後に彼女が悲しみながら、凛とした声で俺と交わした言葉は次に合うまで絶対忘れない。
「私のところまで追いついて来なさい!凛!私は簡単に死なないから、私が誰か強いやつに殺される前に、私を守れるように強くなりなさい!!」
魔法というくそったれな力を持つ者が戦場で暴れている世の中で、魔法を習ったことがない姉ちゃんがそれでも戦わなければならない。
「くそ!!何が魔法だ!俺と姉ちゃん、そしてたくさんの人たちから平和な日常を奪ったもののくせに!!」
俺の文句に答えようとしなかった姉ちゃんはただ俺の返事を待っていた。
なら俺はこう答えよう。
「なるさ。俺は剣術で誰よりも強くなって、姉ちゃんを守ってやって、この戦争を終わらせてやる!」
あの日、俺はそう誓ったんだ。このわけわからん魔法だらけの世界に。