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告解と愛欲

血などの凄惨な表現があります。

苦手な方はご注意ください。

「それで僕はどうしたらいいの?」


僕は改めて宮園さんに問いかける。


「うん、山本君は今手を針金で縛られているよね?」

「ロープと針金で縛ってあるよ。」


僕は体勢が厳しいが何とか後ろを見ていると、ロープで基本的に手首とベットを固定されていて手首の間にダメ押しのように針金をぐるぐると巻き付けてあった。


「その針金を短くてもいいから何とか切ってもらいたいんだけど。できる?」

「う~~ん。」


僕は手首を捻って指先で針金を確認する。

ロープはちゃんと縛られていないためか手首は動かせるが、針金は結構きつく縛っているようだ。

必死に手首を動かしながら針金に触る、中々針金を切れるような糸口を見つけることができない。


「ちょっと取れそうにないかも?」

「そっか・・・。」


そういいながら彼女は体を動かして周囲を見たり、手錠をぶつけたりなどして色々やっているようだ。

僕は何とかしようと必死に針金に触った。


「うん?ちょっと待って!」

「どうしたの?」

「なんか針金をを縛っているところを見つけた、だからなんとか針金を取れるかもしれない。」


針金は触っているとだんだん緩んでいき、指の届くところに針金を捻って止めている場所を見つける。

体を動かしていることで体と顔から激痛が走るもかまっていられない。

黒木はいつ帰ってくるかわからないのだ。

僕は必死に手首を動かし何とか針金緩めていく。


「あと、もう少し・・・・。よし、何とかなりそうだよ。」

「よかった。」


そういいながら彼女は微笑んでいる、それだけで僕は嬉しくなる。

本の数時間前まであれほど憎み殺したいと思っていた彼女を、こんなに簡単に許してしまう自分がなさせけないし甘っちょろい人間だと思う。

それでも彼女を助けてあげたいと思った。


「よし!針金が取れたよ。これをどうすればいい?」

「それじゃあ、曲げたり捻ったりして15センチぐらいに切ってこっちに投げてくれる?」

「うんわかった。」


手首と指先しか動かないため曲げたり折ったりはかなり厳しい、でも僕は少しずつやっていく。

そして数分経った頃やっと針金を切り取ることに成功した。

しかしここからが問題だ、今針金は縛られている手で持っているそれを宮園さんに渡さないといけない、それでどうするか考えた僕はあることをひらめく。

僕はまず限界まで体を後ろにそらし、足をまげて星座の姿勢をとり足の指で針金をつかみ、それからまたさっきと同じ姿勢に戻る。


「宮園さん、今そっちに針金を渡すから受けとってね。」

「うん、山本君ホントにありがとう。」


僕は彼女の言葉を聞き僕のやったことは間違ってなかったと思う。

今のが彼女の本音かどうかわからないけども・・・。

それで僕はいくよと声を掛けてから、肋骨辺りからくる刺すような痛みを無視して彼女の方に体を捻って勢いをつけて針金を飛ばした。


飛んだ針金は彼女の何とか足の届く範囲に落ちた。

僕はホッとする彼女に届いたことと、変な方に飛ばなくてよかったと。

彼女は器用に足でつかみ現在来ているのは学校の制服のスカートであるが、スカートが捲れるのも気にせずに手元に針金を持っていく。


「ねぇ、宮本さん針金で手錠は外れないんじゃない?」

「本物ならそうかもしれないけど、これは頑丈に作ってある偽物だから簡単に外れるの。それに山本君鍵穴を手首の方に向けてつけたみたいだから針金があればとれるわ。」


彼女はスカートなど気にせずに動くため、捲れて中が見えそうになっている。

僕は恥ずかしくなって目をそらす。

これで彼女は自由になるし、その後僕の拘束を解いてもらえれば何とか黒木にも対抗できるだろう。

先ほど黒木がいなくなってから20分ほど経っているが、まだ帰ってくる様子はない何か不気味だけど好都合だと思う。

そうしていると


「うんやった外れたわ!!」

「うん、よかった!!早く僕のロープも外して!!」


僕がそういうと彼女は立ち上がると手首を擦っていだけで一向に僕の拘束を解こうとしない。

僕はまさかと思う、もしかして僕だけこのままにして逃げるつもりなのだろうか?


「宮園さんどうしたの?早く僕のロープを解いてほしいんだけど…。」

「あのね、山本君、君に聞いてほしいことがあるの・・。

「そんなことはいいから早くこのロープをほどいてよ!!」

「いいから、お願いだから黙って聞いて!!」

「・・・。」


僕はその彼女の真剣な様子に、黙って聞かざるを得ないと思った。

ここで抵抗すればホントに彼女は僕のロープを外さずに出ていくかもしれないと思った。


「私ね人間が嫌いって前にも言ったよね?今でも私は人間が嫌いよ、目を合わせたり近づいたり話したり一緒にいるだけでも吐き気と嫌悪感がして逃げたくなるの。でもそれは後天的にどうってことじゃない生まれた時からそうだったの。だから私はこれは精神障害と同じだと思うようになったの、それに周りの人間は私の容姿や能力だけ見て私に近づいてくる人間が多かったから、人間なんてそんなものだ好きになれるわけがないし好きである必要がないと思ったの…。でもねそんな時あなたを見つけた、あなたは平凡でとるに足らない人間、でもなぜか私の胸は高鳴ってしまう、それが嫌で嫌でしょうがないでも気になって気になってしょうがなくもあったの。だからあなたを実験し観察してやろうと思って告白して彼女になったのホントにごめんなさい。そしてそのあとの事はあなたの知って言う通りよ。」


そう言い終わると彼女は僕の足の戒めを外していく。

そして彼女は僕の上に覆いかぶさりながら僕の後ろ手に縛られているロープを外していく。

上にいる彼女の吐息が僕の首筋をくすぐる、僕が殴ったために髪は血に濡れて固まっているが固まっていないところはさらさらと揺れている。

彼女が動くたびに彼女の柔らかいからだが僕にあたり僕の心臓が喉から出てきそうなほどドクドクと高鳴っていく。


そしていったん彼女は体を起こすと僕の方に向かいこう言った。


「私が君を好きになったのは神の祝福かもしれない、それでも君は私を助けてくれたし唯一私が信頼できる人だから・・・。」


「私はあなたの事をあいしてるの。」



―――そういって彼女は僕に不意にキスをした。


彼女の唇はとろける様に柔らかく、甘く、・・・・鉄の味がした。

そしてそのキスはいつもの無機質な声にさえぎられる。


『異性との過度な接触を確認しました。このまま継続されると相手へのターゲッティングが行われます。』


突然の声に正気を取り戻し、身を捩って逃れようとするも彼女が離さなかったのとワンテンポ遅れたことで気を逃してしまう。


『ターゲッティングが完了しました。10カウントで対象を爆破処理いたします。』


僕は彼女に蹴りを入れて彼女を突き放す。


「宮園さんは、今何をしたのかわかってるのか!!このままじゃ死ぬかもしれないんだぞ!!」

「・・・。」


僕は彼女に怒鳴りつけるも彼女は向き無言のままだ。

僕は殺したない、たとえどんな人間でも僕は人を殺したくない。

だから僕はありったけの言葉で彼女を傷つけなくてはいけない。


『10・・9・・8』


「僕はお前なんか嫌いだ、大嫌いだ。お前なんか死んだ方がいい、人間が嫌いなお前は人間社会で生きていく資格がないんだ!!この顔だけいいだけのごみクズ!!僕を使って死のうとするなお前はどっか他へ行ってのたれ死ね!!お前を好きになってくれる奴なんているものか!お前なんて生まれてくるべきじゃなかったんだ!!」


僕がそういうと彼女はずっと項垂れてるも、頬からは一筋涙が流れるのが見えた。

僕はとてつもなく後悔した、そして罪悪感で今すぐにでもこの場から逃げたかった。


『ターゲッティングが解除されました、カウントを無効にします。』


僕はホッと胸をなでおろすが、言ったことは消えはしない。

彼女は俯いたままベッドを降りると椅子の前まで歩いていく。


彼女は椅子をかがげ振り向くと、その椅子を勢いをつけて投げてくる。

僕はまさかと思い、身構えるも腕がまだ縛られているために動けない。


「グハッっ」


一直線に飛んできた椅子は顔面とケガをしている腹部に当たり、僕の目の前は真っ白になり意識は遠くなりかける。


「なんでそんなこと言うの!!私はこんなに愛してるのに、私はこの世界にいてもしょうがないから愛してるあなたに殺されたいと思っただけよ!!」


そういうと彼女はまた僕の方に近づいて、僕の上に覆いかぶさる。


「愛してる、愛してるの。だから私を・・・・殺して。」


そういってまた彼女は僕にキスをする。

僕は彼女の唇から、今度はしょっぱいことに気付く。

そして僕は彼女から逃れようとする、でも僕の意識は薄っぺらで体は彼女に抱きしめる様に拘束されているために全く動けない。


『異性との過度な接触を確認しました。このまま継続されると相手へのターゲッティングが行われます。』


僕は薄い意識の中で何とかする方法を考える。

彼女の唇は何か大切なものを守るように、必死に僕に唇に重ねている。


『ターゲッティングが完了しました。10カウントで対象を爆破処理いたします。』


やめて・・・やめてくれ・・・

僕は心の中で必死に懇願する。


『10・・・9・・・8』


僕は・・・君を・・・殺したくなんか・・ないんだ。


『7・・・6・・・5』


君の・・・事が・・・好きだったから。


『4・・・3・・・2・・・1』


やめ・・・だれか・・・止め・・・てくれ


『0』





僕の目の前は突然ゆがんだかと思うと、唇の感触が突然消える。

その唇を離したくないそう思って口を動かすも、唇は離れてしまう。

そして顔には真紅の雨が降り注ぎ。

必死に目を開けた僕の前には何もない、何もない、何もない。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」


ごとりと何かが落ちた音を聞いた僕は、白い闇に飲まれていった。


明日は投稿できないと思います


ブックマークありがとうございます。

とてもうれしいです。

読んでいただいている方いつもありがとうございます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


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