99話 カイの軍団
村の男衆がたくさん魔物を狩って帰ってきた。
「コレはどうするの?」
「トライオンかい?牙と爪が武器になるんだよ。村じゃ一番人気さね」
さっきの小さなナイフもなんだって。
「この毛皮も重宝だよ」
虎柄のライオンふさふさ毛皮だね。
「あ、本当だ。着てる人発見!」
「あったかいからね〜」
へえ。隠れ村なはずなのに、セレブ感あるのが不思議〜。
「こっちはツルッカメだよ。食べると長生きできるって言われてるね」
紅白模様の亀って感じからして、めでたいもんね。
「ワシはよく食うぞ」
ってチーバ様が言うと説得力あるわ〜。
「滋養強壮効果抜群っすからね、カイ様いただいてみますか?」
「そ、そうだね。来年になったらもらうよ」
なんかカイの目が泳いでる。
「今食べればいいのに」
長生きできるらしいよ!来年もとれるかわからないじゃん。
「リーナが責任取ってくれるなら食べるけど」
ん?なんか不穏用語の幻聴が…。
「食べなくていいかも!」
食べなくてもカイ、長生きしそうだもんね、うん。
「甲羅は盾になるんじゃよ」
って派手だわ〜。紅白模様だよ。シマシマなんだよ。
まあ、使う人が良ければいいんだろうけどさ。
「ああして建物に使うと攻撃から守れるしな」
うん、でも大事な場所だって一目でばれて〜ら、じゃないかな。紅白でシマシマの建物。
それとも、隠密って響きで隠れてるんだろうって勝手に思ってたけど、こっちの世界では違うのかな。
「おお、そうだ。嬢ちゃんには、コレをやろう」
ウネにょろしてる。あ、貝の中に引っ込んだ。
「金持ちの女の人に売れるんじゃよ。いい小遣い稼ぎになるんじゃ」
私の手の甲に乗せると、
「あ、出てきた」
「じゃろ〜」
しばらくウロウロ這わせて、チーバ様が取り上げると
「あ、爪がピカピカしてる」
「これは桃色じゃったの」
いろんな色があるらしい。
「だいたい20日くらい色が落ちんだよ」
へえ。カタツネイルだって。
お金持ちの女の人、気持ち悪がらない?
オシャレのためなら大丈夫なのかな?
そしてチーバ様、おじいちゃんではなくて、おばあちゃんだった。
ちいちゃいばあちゃん、略してチーバ。
…ってわかるかい!
「これでカイ様も安心じゃろ」
って、なんでだろ?カイも
「そうですね」
って笑顔だし。
チーバ様、村の中での実力は
「まだまだ若い者には負けんわ」
と豪語するにふさわしいらしく
「サカラッタラムラハゼンメツジャワ」
と村人に呪文を唱えると、大きい魔物を狩ってきた男衆も、誰も異を唱えることなくカイに従う事になった。
「我らカイ様の軍団ですじゃ」
『カイの軍団』できたらしい。
あ〜、うん。微妙に強そうだよ、ね?




