97話 チバ様♡
コピートのワッパたちと小さな部品を組み立ててる。
「ここにこれ入れるとどうじゃ」
「紙がもう少し動いた方がいいじゃろ」
私が提案した図案を見てすぐに改造するとか、どんだけ好きなの。製作作業。
それにしても
「魔石に記憶機能ついてたら、パソコンになるのにな〜」
「!なんじゃと!」
「今リー嬢なんて言ったか?!」
わらわらと、チビおっさん集まってくるよ。
「え〜と、タイプライターで打った文字を魔石が記憶してくれたら、間違えても後で打ち直しできないかな〜?」
まあ言葉で言っても、現物を見たことがない人にはピンとこないと思うけどね。
「天才か?」
「リー嬢、天才じゃわい」
「その発想はなかったわい」
う、うん。私の発想ではないのだけどね。
だから天才ではないんだよ。
むしろそれ聞いただけで、いろいろやってみようっていう知識があるコピートちゃんたちがすごいんだと思うよ。
自分がすごいんじゃないのに持ち上げられるの、居心地悪いわ〜。
思わずその辺にいたカイに、頭をぐりぐりしてしまう。
「ど、どうした?」
カイがぎゅ〜ってしてくれたから、なんか落ち着いてきたけど。
ここにいてももう役に立たないし、試作品とかできるまでお散歩でもしてこようかな。
「コウロ村は岩場だから、ちょっとした迷路みたいで面白いね」
「そうかもね」
なんだかカイ、ちょっとピリピリしてる?
「あ、ナメージコさんだ」
こんなところに珍しい人がいる〜。
懐かしくなって駆け寄っていこうとしたんだけど。
「リーナ!」
慌てた声のカイが何か投げた。
黒く燃えてる。
カランって小柄が落ちた。
あれ?この黒い跡、もしかして人、だった?
え?
どゆこと?
「なんだ、カイ。まだリーナに何も言ってなかったのか?」
ナメージコさん、こっちに気づいて来た。
「必要ないからな」
「で?今みたいになったとき、必ずそばにお前がいるとは限らないだろう?」
え〜と、思ったより私って危険だったみたい?
「リーナもこんな時は結界張れよな」
う〜、ごもっともです。
「俺の時は張ってたくせにさ」
って。
私は足が震えて立っていられなくて、カイにしがみついてる。
「こんなちっこい女の子が、いろいろやらかしてるんだぞ。目つけるだろ。金の成る木だぞ」
う〜、ごもっともです。
「あ〜、俺のこと怖くない?」
カイは私がくっついたのに、ビックリしたみたい。
「カイは怖くないよ」
カイ、ふっと力が抜けた。
なんか、緊張してたのかな?
「この間ヤマノナカ村に行ったんだって?」
「うん」
「あそこはさ、ドウシタンタ国と接してるだろ?」
そうなの?
「あんな山奥、普通住まないよって思わなかった?」
うん、レジャーしたいなって思いました。
「その顔は思ってないな〜」
うっ。
「…あそこは隠密の村なんだよ。敵にも味方にもなるんだよ」
何ですと?!
「な、なんでリーナはキラキラしてるの?」
「俺が知るか!」
「隠密…」
隠密っていったら…リアル忍者?!
え、ってことは、山奥に温泉で、リアル忍者!
え、あそこ影の◯団いるの?
「チバ様に会いたい」
うっとり♡
「リーナ、チバ様って誰?」
「チバ様カッコいいんだよ〜」
伝わらないだろうけど〜。
「リーナはヤマノナカ村、出禁ね」
「な、なんで?!」
「そんな危険なところにリーナが行ったら、護衛が大変だろ」
私、駅員が護衛ってはじめて知ったよ。ぐすん。
カイが付いてきたり、居場所の確認したりしてくるのも、ただの粘着だと思ってたよ。
なんかゴメンね、カイ。




