96話 ブルータス!
マギラワシに帰ってきて、リンジー先生のところに通っている。
人手もだいぶ増えて、なんだか役場みたいになってきた。
もう私、必要ないくらいだよ。すごいね。
本当はパソコンみたいなのあるといいのにって思う。
私、使うことはできても、作ることはできないんだよ。
どんな風にして作られていたのか、さっぱり理解できないもんね。
ほんの少し、取っ掛かりだけでも知ってたら、製造班が作ってくれたと思うんだけど。
う〜ん。
あ、ワープロならどうだろう?
文字打つだけのやつ。
え〜と、タイプライターの方。
1人でいろいろやってみたけど、あとはコウロ村に行って相談しながらやりたいな。
「ちょっと出かけてきます」
リッツさんにペコりんして、ご報告だけしておくよ。
右見て左見て、うん、いないな。
タカシは裏切り者だから、今日は違う子にしよう!
ん?けど、コウロ村はそんなに遠くないよね。
箱車に乗って行こうかな。
私、お客さんとして箱車に乗るの初めてかもしんない。
えっと確か1駅1カーネだから、運賃は5カーネくらい持つでしょ。向こうでご飯とかするのに100カーネくらいで足りるかなあ?
コウロ村はカードがまだ使えないからね。現金を用意しないとね。
駅に、連結した箱車がやってきた。
「あれ、リーナ様お出かけですか?」
「そうなの。ちょっとそこまで」
2カーネ払ってチケットをもらう。
「コウロ駅ですか?」
「うん。コーピトちゃんに相談があるの」
「では、空いている席にお座りください」
いそいそと駅員、運転席に移動した。
運転席から、フン、フンッ、フンってちょっと気になる音はするけど、揺れなくて快適だよ。
冬のレジャーはできなかったけど、開発は楽しめそう。
ウキウキしながらコウロ村に着いたら、黒い人がいたよ。
「箱車は楽しかったかな?」
って、笑顔で聞いてくる。なんか怖いよ、ぶるぶる。
「リーナがどこにいるか把握しておきたいだけなんだよ。なんか危険があってもいけないし」
「カイは勝手にお出かけするくせに~」
カイがどこで何やってるか、私は知らないよ。
でもって気にならないよ!
「なんだか今、とても寂しい気持ちになったんだけど」
しょぼ~んって耳が垂れてる。ありゃ、心の声漏れてた?
「あれ?でも、リーナも俺のことを把握したいって意味かな?」
ぴか~ってしてきたね。
うん、勝手に解釈してていいよ。
ご機嫌になったカイが
「リーナが新しいことやるときには見張ってないとね」
とか言ってるけど、私そんなに迷惑かけてなくない?
駅員、箱車の中から電話片手に、私にゴメンのポーズしてる。
さては、カイに連絡したな~。
駅員、お前もか!




