88話 悪くないよ
今は夏なんだよね。
ガラス張りの温室みたいな建物だから、それだけで結構室内が暑い。そこに火属性の魔石も加えるから、なお暑い。
下の入れ物に海水は~こぼ、って海水玉運んでたら
『僕も水運ぶ!』
ってジェリーが言い出した。
海水を吸収したジェリーが巨大スライム化して、たぷんたぷんしながらドームに海水運んでる。
砂や土などの異物はジェリーが食べて、塩水だけ吐き出してる。
最初からキレイな塩が作れそうだね。
塩が作りやすくなったね。
けど、むしろ真水を作れるようになったことの方が喜ばれた。
村の人たち、楽にキレイに作れるようになった塩よりも、桶に溜まった真水に群がってる。
うん、チラチラ見なくても飲んでいいから。
1度沸騰させてから飲んでね。
水って大切なんだなあ、と実感しました。
よく考えたら、前世の時は水に困らなかった。今世も京様のお陰で水を魔法で出せる。
私ってすごく恵まれてたんだって、いろんな神様に感謝です。
メニュー先生に指示されて、ある程度塩の結晶がでてきたら1回布でこすと、にがりが下から出てきて塩が塩の味になった。
私、海水からにがりがとれるってはじめて知ったよ。
まあ、だからって大豆はみつけてないんだけどね。
何のことかって?お豆腐の話だよ〜。
そのあと結局、仕上げは釜でやってもらわないと塩は完成しないんだけど。
エンカイ駅は塩作りと塩の販売をするようになった。
小さなビンに入れて、ちょっと高いお土産になってる。赤い果物のゴリンが、1つ7カーネで買える市場で、塩が小さなビンで100カーネするんだよ。日本時代に換算したら10カーネもしないのに。あの、赤いキャップのとか水色のキャップの大きさでだよ、おおう。
「リーナはこうやってひとつずつ村を作ってきてるんだね」
「うん。でも時間がかかっちゃうんだよね。線路と駅だけだったら1日7駅くらい作れると思うんだけど」
はじめて同行したカイには思うところがあったらしい。何か考えてる。
「線路が繫れば資材を運ぶのも楽になるし、リーナがいないと困るところまでは、他の人間にやらせればいいかな」
「線路と線路の間を連結させるの、火属性の魔石使って作ってくれないかな?コピートちゃん」
そしたら、他の人でも連結できるようになるし。
まあ、線路のレールを敷いておいてくれるだけでも時間短縮になるんだけどね。
で、カイにむぎゅ〜されている。
「リーナ補充」
うぅ、恥ずい〜。
リリアス君に頼んで、反対側からも線路作ってもらうようにするんだって。
線路並べ部隊と連結部隊と駅作り部隊を編成してくるらしく、ちょっとの間お別れするからってことらしい。
そして、ぐ、る、じ〜。腕をパンパン叩くと解放してくれた。
ちょっと寂しそうな顔してたけど、マックロマシロに乗ってカイ行っちゃった。
ふ〜、一仕事終えたな。
え?ちゃんとカイのこと好きだよ!伝わってるよね?!
力いっぱいぎゅーされると、女の子は死んじゃうと思います。
悪いのは私じゃないと思うの!




