87話 ガラスドーム
海沿いの2つ目の駅にエンカイ駅をつくった。
んで、こっちの海もしょっぱかったよ。
マギラワシ村の時、塩とかコショウとかなくて食べるものが味気なかった。
町になって塩とか手にすることはできるようになったけど、希少で高いんだよね。海があるなら作りたいな、塩。で、シャークに聞いてみた。
「塩とか作ってないの?」
って。
「作ってるよ。でもたくさん作るのは難しいって、母さんが言ってたよ」
シャークのお母さん、塩田で働いてるんだって。
「あそこで海水汲んでるのが母さんだよ」
髪を一つで結って、腰まで海に浸かってる人かな?
汲んだ海水を他の人が受け取って、熱くなってる砂浜に持って行ってまいている。
それにしても、塩に砂が混ざってるのが気になる。じ~っと見てたらお母さんたちが手招きしてくれてる。
「これだけだと、口にできないから布でこすのよ」
なるほど、乾いた砂を布で濾すんだ。で、上から海水かけると、下から塩分の濃い塩水が出てくる、と。
へ~、おもしろい。
「こうやって、作った塩水を今度は男衆が窯で炊くの」
窯部屋から出てきた真っ赤な顔したおじちゃんが、完成した塩を少しくれた。
出来上がりの塩は、思っていたより苦かったよ。
「作った塩を、時々来る商隊の荷物と物々交換してもらうのよ」
「ムーギとか、布とかね」
お母さんたちうれしそうに話してくれる。
「商隊は1年に1回しか来ないから、それまでに作りためないとね」
腕まくりして、がんばるわ!って海に戻って行った。
ん、がんばって!
冬は寒いから塩田ができないんだって。
駅ができたから、もっと頻繁に買取に来ると思うけどね。ミラーがさ。
それにしても、塩田、冬でもできるようにしたいな。塩、量産したい。ナンテコッタのみんなが気軽に塩を口にできるようになったら、ご飯がおいしくなるよね!
んで、『冬でも塩田設計図』を考えていてひらめいた。
魔力のない人も気軽にお水を得られるように、両方いっぺんにできそうじゃない?
素人考え?
魔石とかお天道様の熱で蒸発させて、水分はこっち、残った塩分はあっちみたいな。
下から温めて上に上がった蒸気を天井で冷やして、一カ所に流れてくるようにすれば、海水じゃなくて真水になるよね、きっと。
余った塩は汚れを撹拌しながらきれいな塩にして。
こんな感じの作りたいな〜って紙に書いてたら、カイがクズ魔石を溶かして建物つくってくれた。
ガラスドームみたいな温室建物。
便利、便利…じゃなくて、ありがとう、助かるわ!だった。危ない危ない。
「カイ、ありがとう」
「このぐらいは、なんでもないよ」
って、カイの笑顔がまぶしいよ、うぅ、ごめんね。




