83話 大きなカーブリ
黒シッタカ、ちょ〜線路運ぶ。
対抗してフンドシ駅員、ちょ〜箱車コギコギして材料運ぶ。
人力で100キリ出るとかマジですか?
おかげで最近できたカイセン村からマギラワシ町まで150キリミートルくらい離れてるけど、駅員ががんばると2時間かからずに移動できるんだよ。
人力だし、ゆっくり進む電車のイメージだったから、駅を10キリミートル間隔にしたけど、もっと間隔あけた方がいいのかなあ。
都会だと5分とか10分間隔でバス止まるじゃない?地下鉄も。
でもナンテコッタ国は都会って感じじゃないもんね。
30キリミートル間隔にしてみる?
でも、駅ができるとその周辺は栄えるな〜とか思うと、こまめに作ってあげたくなるし。
というのもカイセン村は海があるのです。
テンションあがる!
別に、前の時に海の近くに住んでたわけじゃないのにね。
ナンテコッタ国で海に面しているのは、東側の部分のこのあたりだけなんだって。しばらく10キリミートル間隔でいきたいな。
「なんかご機嫌だね」
「うん、海でやりたいことあるの」
こっちの海もちゃんとしょっぱいよね?
確かめようと思って海に手を入れようとしたら、カイに持ち上げられた。
カイの右手、剣に串刺さったウネウネがいる。
おおう、コッチノウミコワイ。
「この辺りはウネギが多いから」
うなぎに似てるけど、むっちゃキバある。
メニュー先生、毒有り表示してるし。
「兄ちゃん、そのウネギいらん?」
日焼けした小ちゃい子。
「ウネギ、どうするの?」
「食べるに決まってるじゃん」
何言ってんの?みたいな顔されてる。
「え、でも毒あるよ」
「ハラワタと血に気をつけて、しっかり焼けば大丈夫さ」
へえ、本当にうなぎみたい。
「カイセン村はムーギとか取れないから、魚取って今のうちに干物にしておかないと、冬困るんだよ」
なるほど〜。
じゃあ仕掛け作ってみるか~。
消雪パイプはいっぱいあるから、縄付けて海に放り込んじゃおう。
ついでに待ってる間、釣りしようかな~。
「この間の線路作り道中で、チーチク切ったのある?」
「ありますよ」
トーンマが竹に似た木を持ってきてくれる。
リュックの中からスッパイダラの糸を出す。チーチクの先にくっつけ〜。
お、くっついた。
なんか鈎の代わりになるのないかな〜。
キジホロの羽根は折れちゃいそうだし。
ん〜、ウネギの歯曲がってるね。もうちょっと曲がれ〜。お、曲がった。
糸とくっつけ〜。くっついた。
いい出来。いい出来。
満足してたら、少年と目が合った。
「姉ちゃん、それ何?」
「釣竿だよ」
「釣竿って?」
「ん〜、こうやって使うの」
百聞は一見に如かずってね。エサは余ってる鳥肉でいいや。
釣れますように!怨念込めて、大、遠、投!
…よく考えたら、リールみたいな巻き巻きするのついてないから、竿あげる時大変かも。
と、竿がグンっと曲がった。やばいやばい、ズル技で竿、結界補強して引っ張る。無理無理、海に落ちる〜。
「お姉ちゃん!」
少年が私のこと引っ張ってくれる。
でも、まだ駄目。やばいっ。
「わわっ、リーナ様!」
トーンマ、少年を引っ張る。
「どした、どした」
近くの人達慌ててトーンマを引っ張る。
そしたら、駅舎作りしてたカイが気づいて走ってきて、竿ごと私と少年持ち上げた。
竿がビュンって後ろに飛んでったね。
なんか大きなの付いてたね。
大きなカーブリ、釣れました。




