79話 猛獣使い?
コウロ村で発注していた物ができあがった。魔石に私の水属性しこたま詰め込んで造ってもらったの。
カイの魔力を水属性に変換できるんだよ。コーピト族が魔剣造るのは聞いてたけど、魔力を操るのに長けているってことだったみたい。
「カイどこにいるのかなあ」
今日のカイは忙しいのだ。
私も朝からオメカシして準備に時間かかってしまった。いろんなところから、カイをお祝いする人達が来ていたりして、町も賑やかだ。
カイは夏生まれで、今日は15才になる特別な日だもんね。
今日から成人なのです。
たくさんの人が料理をふるまって露店みたいの出してたり、踊ったりしていてなんだかお祭りみたい。
あ、カイいた。
囲まれてるなあ。
多分ね、カイは強くなってなくてもモテてたと思うんだよ。
こんなに村が発展してなかったとしてもさ。
小さい子の面倒みたり、村の管理をしっかりできたり優しくて頼りになるんだもん。
あんな風にたくさんの人に囲まれているカイを見ると、そう思う。
私でいいのかな、って。
前の時は、こんなに好きってアピールしてくれる人いなかったし。今世ではかわいく生まれたから、外見はいいと思ってる。けど、中身は前と変わってないでしょ?
もうちょっと時間潰してこようかな〜。
女神像のところは高いところにあるから景色がいい。ユラリンが群生していて薄桃の絨毯みたいになっているんだよ。ベンチに座って軽く目を閉じていたら眠くなっちゃった。
「こんなとこで寝てたら、夏でも風邪ひいちゃうよ」
!やば!
「私寝てた?今何時?」
「そんなに寝てないよ。もう少ししたら暗くなってくるんじゃないかな」
カイお酒の匂いがする。
「リーナはお祝いしてくれないのかな、って。姿が見えなくなったから探しに来た」
腕輪がキラッて光る。いたずらっ子みたいに笑ってる。
「いっぱい囲まれてたからさ。私はいつでも会えるし」
他の人に譲ったのですよ。
でもここなら2人きり。
持っていた籠の中から、可愛くラッピングしたプレゼントを取り出す。ラッピングって日本っぽいよね。
「これ、離れてても私のこと思い出してほしいな〜と思って。私の魔力目一杯詰め込んだから、多分一生物だよ。どこでもお水が飲めるようになりますよ〜」
軽い調子で手渡し。
「開けていい?」
「うん」
中には、イヤーカフが入っている。私の瞳の色に似たラピスラズリみたいな魔石がはまった銀細工。
実はこちらの世界にはなかったんだ。
「どうやって使うの?」
「付けてもいい?」
ちょっと緊張する。
カイの耳に引っ掛けると、コーピト族の補正機能でピッタリはまる。
で。
そのままカイに軽く口づける。
はじめてが自分からってのもどうかと思うんだけど。
ずっと考えてたんだ。
カイと一緒にいたいなら待ってるだけじゃなくて、私からも動かないと、って。
「私が大人になるまで、待っててね」
カイから離れようとして、ぎゅってされた。
そのままもう1回ちゅ!ですか。
なんだか、カイから大人の人の匂いがしまする。
後ろの草むらがガサガサってしたかと思ったら、町の人たちと目が合った。
フンドシの人泣きながらオメデトウゴザイマスって言ってる。
でもね、人にラブシーン見られるとかね。
…この上ない罰ゲーム感はなんだろうか。
「テンゴクカラジゴク」
カイが何か言った。あ、フンドシの人燃えてない?
カイ、黒いの引っ込めて!向こうで2人きりになろう、ね、ね。
なぜだか、猛獣使いって呼ばれるようになったでござる。
予約投稿を少し間違えちゃいました。
すみません(;´Д`A
 




