75話 流れる〜
ちっこいおじさん、鋳造のプロだった。
本当はお金を貯めて、欲しい物を自分で作ろうかなって思ってたんだけど、プロにお願いすることにした。
コウロ村は、物作りの村だけあってかなり整備されている。
建物は岩をくり抜いて作られていて、それも、コウロらしさが出てる気がする。
使っている道具とかも近代的なんだよね。他の村では見たことない物があるな〜って。
ジェリーのミスリルは、ミスリルの中でもかなり品質が良かったみたいで、ちっこいおじさんすごいテンションで興奮してる。
「こんな上質の石を鋳造できることなんて、この先ないわい。お嬢の注文、完璧につくりあげるぞ!」
「おお!」
…ジェリーのミスリルまだあるって言ったらどうなるのかな〜。
「それにしても、コウロ村は女の人はどこにいるの?」
何日も通ってるけど、まだ女の人に出会ってない。
「?僕らはコーピト族だわい。魔力溜まりがあると生まれてくるんじゃもん。人間みたいに女も男もないわい」
…へ〜え、人間じゃなかったんだ〜。そうだよね〜。ちっこいもんね。
なんか、この世界の常識とかわからんわ〜。
「これがコーピト族。幻の…」
「滅多に出会えない魔剣作りの…」
「この国にもいたんだな」
フンドシ部隊、なんか泣いてない?
「リーナ様について歩いてたら、世の中の不思議を全部経験できそうですね」
って、おい。トーンマ、人を歩く不合理みたいに言うんじゃない。
そうか〜、人間じゃなかったんだなあ。お風呂とかいらなかったかも。
作っちゃったけど。
「おい、こりゃいいわい」
あ、入るんだ。
「ん、なんで仕切ってあるのじゃ?」
男女の違いがないとは思わなかったので。
「こっちは川みたいに流れておるわい」
足湯が流れるプールみたいですね〜。
ん、なんか楽しそうでよかったよかったよ。
浮き輪が必要だなって思いました。




