72話 sideマーシー
僕、マーシー。僕らの村はラクノー村って呼ばれてる。
ラクノー村に、変わった、けどキラキラしたお姉ちゃんがやってきた。
お姉ちゃんが手を振り回すとその周りにある木がシャキーンと倒れる。
そうすると、後ろにいるムキムキのはだかのお兄ちゃんたちが、その木でアッという間に家を作っちゃったんだ。
僕らは去年の冬に食べ物が足りなくて、寒くて、たくさんの人が死んでしまった。
暖かくなっても大人の人が少なくて、食べ物を作ることが難しくなった。納める税の分だけでもって、僕らも手伝ってるけどさ。食べる分は少ないんだ。
だから、今度の冬は僕たちが死ぬんだろうって思ってた。
そしたら、お姉ちゃんのお願いをきいたらごはんも食べれて、暖かいとこで寝てもいいよって言ってくれたんだ。
お姉ちゃんがくれたお菓子、おいしかったな〜。食べたら、はだかのお兄ちゃんたちみたいに重いものが軽々持てるようになって、びっくりしちゃったよ。
お姉ちゃんは夕方になったら箱車っていう乗り物に乗って帰った。
お姉ちゃんの作ってくれたシチューっていうのがホッペた落ちるくらいおいしかったんだ。
次の日から、女子は料理を習って、男子は狩りを教えてもらうことになった。
フンドシ兄ちゃんたちすごいんだよ。お姉ちゃんが切った木を投げつけて、ベアモン一撃したんだ。
僕、お兄ちゃんたちみたいになりたい。
で、絶対箱車の運転手になるんだ!




