63話 人間ナメッコジ
リリアスくんたちが帰った。
セレスが箱車に乗り込むとき
「必ず王都まで道を開通できるようにいたします」
って言ってた。エリーゼがむっちゃ同意してた。
そういえば、テカテカ身体がテカってる運転手さんの制服がフンドシみたいなのになってた。
前は普通の軍服みたいなのじゃなかったっけ?
「シード様のデザインです」
って、次男、お前の仕業か。
兄ちゃんたちもうれしそうにするんじゃない。
セレスは免許取れたもんね。
なんだか、すごい執念だったけど。
ちなみに私は運転できる。前世の時から持ってるからね。
でも、カイの許可が下りない。車で1人で出かけることは許さない、って。目の届く範囲にいないとな、って。
カイの車で一緒ならいいらしいけど。
だから自転車でお出かけするのだ。
どこへって?
西山だよ。あそこ以外は目立つからさ。
で、出会ってしまった。
ナメッコジ
キャベツとか白菜の葉っぱの裏にいる、あれ。
ん?いや彼、人間なんだけどさ。
「偵察に出したやつらは、みんな這々の体で帰ってきて、
風に巻き込まれたとか、目の前が爆破したとか、ワケのわからんことほざきおって、もう使いものにならん」
ブツブツつぶやきながら、べちょべちょで歩いてくる。
ホラー?ホラーなの?
ネバリーの罠にかかっても動ける人、はじめて見たわ。
き〜も〜ち〜わ〜る〜。
「あれ、前に進めなくなったぞ」
って無意識で結界スキル発動してた。
だって気持ち悪いんだもん。
こっちこないで〜!




