101話 運べない
山があれば、谷もあるよね。
トンネルを掘って沢を埋めて平らなところを増やして、それで谷も終わった気でいたよ、私。
目の前コレこそ谷だわ。
谷っていうか山と山の間?の大きな川、かな。
「橋の作り方はわかんないなあ」
このままだと、線路1周できないかもしれない。
「この距離だと届く丸太なんてないだろうしね」
そっか、丸太で橋を作るんだ。
「丸太の橋だと箱車通れる気がしないね」
そもそも長さがぜんぜん足りないんだけどね。
500ミートルの木なんて見たことないわ。
む〜ん。
日本の橋は金属とかコンクリートとかだった?
金属ならコーピトちゃんにお願いできるかも。
レールの部分は金属でしょ?
コーピトちゃんたちだけではなく、町の工場の人も作ってるよね。
サビない柱みたいなのは作ってもらえるんじゃない?
で、柱の周りが大人3人手をつないだぐらいある太さの柱作ってもらった。
「…運べないね」
アイテムバッグにも入らないし、浮かばせるのも無理だったよ。もう少し細いのだったら、アイテムバッグに入ったかもしれないけど。
リュックの入り口に、どうやってもはまらなかったんだもん、柱。
運べないっていう選択肢なかったわ〜。
「リーナ様なら運べる気がしてたっすけど、無理な事もあるんですね」
私も今、そう思ってる。
私、もっとできる子だと思ってた。自意識過剰でとっても恥ずかしいよ。
いつの間にか、できない事はないって思い上がってたみたい。
カイが頭ナデナデして慰めてくれてる。
リーナガアマエテクレルナラ、コウイウノモワルクナイ、とか言ってるけど。
癒される〜、グリグリ、ぎゅう。
「っていうかこんなの運べるって思ってたあたり、もう自分で人外認識してたんですね〜」
ってトーンマ、どういう意味かな〜?
で、これが1番確実だよね、って落ち着いた。
みんなが1ミートル四方ぐらいのブロックを積み上げて、私がくっつける。
鉄砲撃つみたいに狙いをつけて、バーンってやるんだよ。
「かっこいい〜」
そうであろう。そうであろう。
ブレンダたちに褒められてご満悦なのだ。ふふふ〜ん。
「はいはい、次あっちっす」
ってトーンマ、お前はもっと驚けよ!
高いところはシッタカたちとゴンが積んで、私がくっつける。
ゴン、ドラゴン形態になってブロックのオモチャを積み上げてる子どもみたいに見えるよ。
目指せ、渡月橋!アーチ型だと箱車走れないからね!




