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第2話 女神を欺く

 今日は2話の投稿までです。3話は明日になるかと。

────────────────────


 【ステータス】

 Name:ユウ・アザミ  Age:17


 LV:1


 力:S

 魔力:S

 耐久:A

 敏捷:S

 器用:S

 生命:A

 精神:S


 《保有属性》【────】

 

 《魔法》【固有魔法】:『思うがままの世界(パーフェクトワールド)


 《スキル》【────】


────────────────────


 「うわ、見事にS揃いだ」


 いつの間にか隣にいた女神は俺のステータスを見てそう言った。頬が若干引き攣ってる。


 「なぁ、レベルがあるのにランク式なのか?それと、これは俺S、SSみたいな感じで成長すんの?」


 「うん?あぁ、それは才能をわかりやすく表してるだけだよ。だから、努力次第では同レベルでCがDに負けたりすることもあるし、DからCへのランクアップだってある」


 はー、なるほど。要はそこまで重要なことじゃないと。あくまで成長の目安になるだけで、完全な実力差ではないと。


 「あと、最高はSSSだけど、そこまでいくと人のレベルじゃないね」


 まぁ、ここまでSが並んでる人はいないから君も十分に人のレベルじゃないけどね、とも女神は言った。


 「それでも君はまだレベルは1だし、ヒヨッコだよ、ヒヨッコ」


 「ふうん。あ、あと属性が横線引かれてるんだけど、もう代償として取られたの?」


 「いいや、まだだよ。属性って然るべきもので調べなきゃここに表示されないんだよね。具体的には検定水晶ってやつ」


 「ここにはないの?」


 「創ればあるね。面倒だし創んないけど」


 なんだそれ。なんか、この女神適当じゃない?なんか嫌なんだけどー。


 「だって、君は代償として属性魔法を失うんだから創っても意味無いし」


 「確かに」


 「あ、あとその固有魔法。それが君のチート能力。ステータス開いた時に使い方やら何やらも理解したでしょ?」


 「あ、あぁ、まぁな」


 確かに、使い方も何もかも、『元から知ってたみたいに』理解した。


 それにしても、いつの間に自称女神はこれを俺に与えたのやら。


 「これを貰って魔法が使えなくなるか、貰わないで魔法を使うかかぁ」


 「悩むの?使い方が分かってるんなら悩む必要なさそうだけど」


 「……なぁ、女神様はこの魔法について知ってるのか?」


 「いいや、まったく。それ、君が元々持っててこの空間にきて初めて開花したものだからね」


 あ、通りで不思議そうな顔してる訳だ。なるほどね。


 正直、この『思うがままの世界(パーフェクトワールド)』はチートって言えなくないかなぁ?


 「いや、この魔法たぶん幻覚とかそういう魔法なんだけど」


 これ、俺TUEEEE出来んの?


 幻覚とか決め手に欠けた魔法なのに、通常の魔法も使えないとか話にならなくない?


 俺は一応剣道やらの経験もあるけど、実際の剣を振るのとは大きな違いがあるだろう訳でね?


 持ってても、意味無くね?と思うんだよ。


 「幻覚?へぇ、なんていうか……」


 「「しょっぱいね(よな)」」


 ハモる。ハモった。


 「一応、その魔法は君自身を起源(ルーツ)にしてるから相性とかはいいはずなんだけど……。如何せんしょっぱいね」


 『しょっぱい』が共通認識だよ。幻覚っておまえ。これ、俺が元から持ってたって…………。


 「あ」


 起源(ルーツ)は俺、か。


 「どしたの?」


 こちらを覗き込む女神、それに目もくれず、考え続けるおれ。


 頭に浮かぶこの魔法の使い方。これを俺が持っていた理由。


 なーるほどねぇ。


 「なぁ、この魔法試してみたいんだけど」


 「試してもいいけど、私には効かないよ」


 ………………。


 「そもそも、この空間は私が作ったものだし。それに、神様が魔法で幻覚に見るとか有り得ないでしょ?」


 「……ものは試しだ」


 無駄だけどねー?と言う自称女神を無視して俺は自称女神の手を握る。


 まさか無駄って言われると思わなかったから割とショックだったわー。


 「わお、大胆。まさか、試しだって嘘ついて手を握りに来るとは」


 「ちげえよ。相手に触れなきゃ発動しないんだよ」


 欠陥過ぎんだろ。マジで。


 「はい、あなたには私の姿が変わったように見えますか?」


 「見えません」


 だよなー。


 ハッ、ハハハ、ハーッハハハハ、ハーッハハハハハハハハハアッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。


 心の中で爆笑。


 声に出したら危ない奴だが、心の中でも十分やばい奴だ。


 「笑えるな」


 チート、チートと言われて、新たに開花したチートがこれか。


 「で、どうするの?才能を私に差し出す?流石にちょっとそんなS塗(まみ)れのステータスはあれだから、魔法の才能と一緒にステータスも下げさせて貰うけど」


 「差し出す。いいよ、ステータスなりなんなり取ってって」


 「本気?それ、割と使えない方の能力じゃない?」


 自称女神の方にも、哀れみやら嘲笑じみた感情が見え隠れしてる。確かに、普通の人間がこれ貰っても使えないだろうな。


 でも、このチート魔法の根源(ルーツ)は俺な訳で。じゃあなんで俺がこんな魔法が使えたのか。


 ちょっと考えればわかる話だった。


 結論から言えば、この魔法は俺の性格が起源(ルーツ)だった。


 いや、別にナルシストって訳じゃないぞ?


 『思うがままの世界』とかいう名前に関しては知らん。


 ただ、


 そう考えてたときだった。


 「えい」


 ゾブリ、と自称女神の右手が俺の左胸に突き刺さった。というよりむしろ、すり抜けたと言った感じだった。


 なにせ、痛みは感じなかったし。別段不快感も無かった。


 「よっと」


 自称女神が右手を引き抜くと、そこには謎の光の球体が握られていた。


 「これが、才能って奴だよ」


 ちっちゃいな。


 豆粒みたいな光の球体が才能とは、恐れ入ったわ。


 「これで、君は普通の魔法が使えなくなりました」


 「じゃあ、あとは異世界に飛ばしてもらうだけか」


 「そうだね」


 すると、俺の後ろによく分からん扉のようなものが出現した。


 いや、流石に神様のこれは何でもありな気がするんだけど。


 「じゃあね。ユウ・アザミ君。今日から君の異世界での新しい生活が始まる」


 「あれ、名前とかないの?異世界」


 「世界自体に名前は無いよ。地球だって、あくまで星の名前であって、世界の名前じゃない。それと一緒」


 「ふぅん、あっ、待って。そういや俺、異世界の常識やら言語やら何も知ら────」


 「はい!1名様ご案内ー!!」


 ガチャンと開く扉。


 扉の向こうから指す光に包まれ、俺は意識を失った。


 ◇◆◇


 と思ったら見知らぬ草原に立っていた。


 身なりに関しては制服姿で持ち物はなし。


 太陽はまだ出てるし、感覚的には朝な気がする。


 キョロキョロと辺りを見渡す、すると草原の近くに土が露出したおそらくは街と街を繋いでいるであろう街道のような所を見つけた。


 その先には恐らくだが街があり、その逆側の方には何も見えない。


 人気(ひとけ)も無いため、おそらくは歩いて向こうの街まで行かなければならないだろう。


 「道長いなぁ」


 そう呟いて俺は歩き始める。


 「にしても、こういう所じゃ本当に役に立たないな。俺のチート魔法とやらは」


 明らかな対人用の魔法だ。これは。


 しかも地味。


 「ただまぁ────」


 右手の手の平を上に向ける。その手の平の上には炎。


 女神が使えなくなるといった属性魔法とやらが発現していた。


 「神様をも欺ける魔法か。我ながら、良く出来た魔法だよね」


 そして、俺は笑った。


 理由は様々だ。


 これからの異世界生活への期待、良くある物語の主人公の如く、テンプレな生活をしてみたいという期待。美少女との出会いも期待したいし、他にも色々。


 元々祖父の影響もあって、旅というものには慣れている。というか慣れざるをえなかった。幾度旅だなんだと言って世界を巡ったかわからないレベルに連れてかれたからな。


 だから、色々なものを見ることへの期待もあった。なにせここは異世界だ、見るもの全てが新鮮だろう。


 そして、理由のもう1つ。


 「あの女神、最後の最後まで俺に騙されてたなぁ。アッハッハ。おかしい」


 俺に騙された女神が可笑しかったからである。


 俺、字見 優は、チートじみた人間と言われようが皆と同じ人間であり、嫌いなものはある。聖人君子という訳じゃないのだ。


 その中でも1番嫌いなものは、


 『自分の思惑通りに人を手の平の上で踊らせようとする奴』


 俺はそういう、達観した黒幕ポジションなやつが大ッ嫌いだった。


 だから、女神を騙して才能とやらも取られなかった今、俺は可笑しくってしかたなかった。


 「さて、異世界ライフ楽しみますか!」


 俺は、期待と希望を込めてそう大きく叫んだ。


 題名(タイトル)回収完了。次回、初戦闘。主人公のチート魔法についてはのちのちわかっていきます。

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