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火星へ
「何処へ行きたい」
サラが訊いてきた。
「先ずは月へ行って、それから火星へ行きたい」
「OK。じゃ、行くわよ!」
月まで来ると地球で見るのとは大違いで、穴だらけのゴツゴツした灰色の、たんなる石の塊にしか見えなかった。
地球から見るお月様は綺麗で幻想的で好きだったので、がっかりしてしまった。
私は、見ないでそのまま行けば良かったと思った。
百年の恋も冷めた感じがした。
「行きましまょう」
「OK」
赤茶色の星が見えてきた。
「あれが火星よ」
近くで見ると凄く綺麗な星。
蒼みがかった、赤茶色の星。
火星には人が住めるって訊いたけど、本当に住めそう。
「下りてみましょうか?」
「ハイ」
下りていく時に足から地面へ下りていくと、星を侵略にきた、宇宙人のように思えた。
「うわぁ! 火星って、地球の砂漠みたい!」
火星に降り立つと、砂ぼこりが舞った。そして、サーと一陣の風が吹き、私の頬を撫で、髪を揺らした。
「これで、水があったら、本当に住めそう」
私には、そう想えた。