夜空へ
「どうしたの?」
サラは不思議そうな顔をして、わたしの方を見た、『何で一緒に飛んでくれないの』と、云わんばかりに。
何でそう云うのか、昔から知っているのなら人間はこの儘では飛べない事を知っているだろうに。私は飛べると思っていることの方が不思議でならない。
「私は空を飛べないのよ‼︎」
サラは私の言葉に何かを思い出したかの様に、ハッとなった。
「ごめんなさい、そうだったわね。前はいつもこうして、空を 飛んでいたから。知っているものだとばかり想ってしまって」
今度は優しく私の手をサラが、握った。
握られると身体の中に何かが、まるで、サラの力が私の中に、入って来た様な、そして、自分の身体が軽くなった様な気がして、空が飛べるような気がしてきた。
「一回飛び跳ねてみて」
サラがそう云うと私は軽く、本当に軽くその場で飛び跳ねてみた。
「きゃっ‼︎ 痛い!」
私は殆ど力を入れてないのに、何の抵抗もなく身体がフワッと浮かび上がり、天井に頭をぶつけてしまい、自分の体重が無くなってしまったのかと驚き、サラに抱きついてしまった。
「ビックリした! なんかこれなら空を飛べそう………」
「飛べそうでわなく、飛べるのよ。じゃ、行くわよ。私の手をちゃんと握ってね」
私はサラの手をギュッと 摑んだ。
そしてサラは窓枠に右足を掛け、蹴った。それと同時に私の身体もフワッと浮き、外へ夜空へ飛び出した。
「うわー! 私、飛んでる!」
私は凄く感激した。
「感激するのは良いけど、私の手を離したらダメよ。堕ちるから」
「はい!」
「もっと上へ行きましょうか?」
「連れてってくれるの?」
「もちろん! 飛び回りましょう!」
何時のまにか私はサラの事を、昔からの友達のように思えてきた。