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夢飛行  作者: ひなつ
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出逢い

ただ単に空を飛びたいという、女の子のお話です。

そして、そのまま地球を出て宇宙の果てまで、その向こうまでも、飛んで行きます。

「……… ……… 」


「……… ……… 」


私は誰かに呼ばれたような気がして、目を醒ました。

時計を見ると午前0時を少しまわったところ。

カーテンの隙間から蒼い光が差し込み、部屋を 染めていた。


「わあぁ! キレイ‼︎」

ベットから起きて、カーテンをシャッ! と開け外を見ると、晴れ渡った雲ひとつない夜空には、キラキラお星様とまん丸お月さまがポッカリと、浮いていた。

初夏とは云っても今は夜中、窓を開けるとヒンヤリとした心地よい外気が、入って来た。

私の家は海が見える丘の上にあり、眼下には港町が見え、その向こうには大海原と水平線が見える。もちろん、私の部屋からは、オーシャンビュー。

夜景は満月の光で、蒼く光輝いていた。

蒼い空、蒼い大地、そして蒼い海。昔テレビで観た、宇宙から見た様な蒼い地球が、眼の前に、広がっていた。

私はその夜景に暫く、見惚れてしまっていた。


「……… ……… ……… 」


また誰かに呼ばれたような気がして、辺りを見渡した。

見渡しても人影は無く、見える物はお月様とお星様以外には見当たらなかった。

気のせい、空耳だったのかな?


また、海を眺めた。


どの位の時間が経ったのだろうか、海の上、お月様の直ぐ下に白い物が見えた。

それはフワフワと空中を舞っているかのような、動き方をしていた。

今夜は風も無く、白い物が風に飛ばされて舞っているとも、思えなかった。ふと、それはまるで、白いドレスを着たミューズの様にも思えた。


「見い付けた!」

えっ⁉︎ 何? 今の声。

突然、頭に脳に直接響いてくるような声が、お月様の方から、そのヒラヒラ舞っている白いものから、聴こえて来たような 、気がした…………

と、思うや否や、その白い物体が見る見る大きくなり、一直線に私に向って飛んで来るのが目に入った。それはあっという間に二階の私の部屋の窓の外で、私の方を向いて止まった。

目の前で止まった白い物体は、人? なのかな? ちょっと自信が持てない。人の形、女の子の格好をしていても、今、空を飛んできたものだから。

髪の毛は黒く、腰まであるストレートで、肌の色は抜けるように白く、足の先まである白いワンピースで、細い腰には赤いベルトがキュッと締めてあった。


「こんばんは」

声は澄んでいて、透明感のある女性の声だった。

その人? 宇宙人? は人懐っこく話掛けてきた。

あっ! 喋った。それも日本語。

私は驚き、声も出せずにその場で固まってしまった。

「私の言葉判りませんか?」

と、不思議そうな顔をして、私の顔を覗きこむようにして、訊いてきた。

「ち、違うのよ。ただ、驚いただけだから、それだけだから………」

私は少し落ち着き、日本語で話し掛けられたせいもあるけど、何とか声を絞り出すように云った 。

「ごめんなさい、驚ろくのも当然よね。いきなり私みたいのが現れたら。でも、とりあえず中へ入れて下さらない、おじゃましますで、良かったのよね?」

そうだけど、貴女は誰?

言葉には成らずに、心の中で云った。

「良かった。間違ってなかったわね」

「えっ? 何で? 私……」

私の心を読んだの。

「そうよ。あっ、ごめんなさいね。驚かせてしまって。ほんと私っておちょこちょいで、ごめんなさい。貴方は私のことを何も知らないのにね」

「ところで、貴女は誰なの?」

でもなんだか、この人、高飛車、天然、それとも………何だろう。


「あっ! ごめんなさい。また、ごめんなさいって云っちゃた」

いつもならここで『 ごめんなさいじゃなくて』と、突っ込んで云うところなんだけど、今の私はまだ、プチパニクっていて、云えなかった。

「自己紹介がまだだったわね。私の名前はサラ、プレアデス星団のルピカと云う星からやって来ました。今の貴女達から見れば宇宙人って事になるわね。でも、昔は貴女達と私達は友達だったのよ」

「友達? 宇宙人?」

そう云われても、私には何だか良く分からない。


見た目は私達と変わらない、一緒って感じで、何の違和感も感じない。むしろ親近感さえある。でも飛んでジェット機並みに来たのだから、私達とは違うと思う。思うの、でも………。容姿も喋りかたも私と一緒。だから、私は宇宙人よ、と云われても何か、ピンとこない。


「そうよ。昔は私達とこの地球ほしの人達は、仲が良くて私達との交流も盛んだったの。でも、いつの間にか心が離れ離れになってしまって、心と心が通じあわなくなってしまったの。そして、月日は流れて今となっては憶えている人達は居なくなってしまたの。でも、今は違うわ。今日こうして出逢えたのですもの。此処へ来て正解だったわ。貴女に出逢えたのですもの。私とっても嬉しいわ」

昔は友達と云うのだから、私達の事を調べて警戒されないようにもしているのかも、しれないわね。これは罠かも、もしかして………。

「でも本当に良かった、出逢えたのが貴女で。私、心配していたの、また、私と一緒に、これまでみたいに、遊んでもらえるのか。中には私達のことを拒否する人もいるから。貴女は大丈夫みたいだから、私、安心したわ」


「ねえ、一緒に飛びましょう、昔みたいに」

「えっ⁉︎」

何を云っているの、私は空を飛べないのよ。何回も来ているのだったら、私達は空を自力で飛べないし、そんな科学技術はまだ持っていないのよ。そんな事ぐらい、何で判らないの。

「いいから、行こ!」

彼女は私の手を取り、私の事などお構いなしに、窓から外へ、夜空へ飛びだそうとした。

「ちょと待って、私は飛べないのよ!」

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