第五話 ジェシカ
目が覚めるとそこは見慣れない天井があった。
どうやら誰かが運んで手当てもしてくれたらしい。その証拠に腹部の傷のところに包帯が巻かれていた。
そんなことを思った瞬間部屋のドアを開け一人の女性が入ってきた。金髪で腰まである長い髪、へにゃんとしたたれ目で優しそうな雰囲気を纏っている。
『あら、目が覚めたのね。体調はどう?大丈夫?』
『はい。なんとか大丈夫そうです』
『なら良かったわ。あなた傷だらけで倒れてたのよ。びっくりしちゃった』
『助けていただいてありがとうございました』
『いいのよ。でもなんであんなところで倒れていたの?しかも血だらけで』
『それは...』
『言いたくならいいのよ?』
『いえ大丈夫です』
ぼくは全てを話すことにした。ぼくを襲ってきた人の仲間かもしれないけど、この人なら信用してもいいと思ったから。
全て話終えるとその人はぼくを抱きしめた。
『辛かったね...もう大丈夫だから』
『はい...』
ぼくはその人に抱かれながら泣いた。
ひとしきり泣いたあと。
『もしあなたが良かったら私と一緒に暮らさない?』
『えっ?』
『私、一人暮らしだからあなたがここにいるということは外にはバレないわ』
『わかりました。これからよろしくお願いします』
『そんなにかしこまらなくていいのよ』
『はい』
『私の名前はジェシカよ』
『ぼくはアリサです』
お互いに自己紹介をし、これから新たな生活が始まった。