なぞめいた***
闇夜に映える銀色のストレートな髪に
金髪のメッシュを入れている男は髪をかきあげ、
ざっと、マントをなびかせた。
「んー?ここは異国だぜ?
違反なんて母国でやらなきゃいいんだよ。
それにここは許されるからな」
盗人は平然とそう答える。
やけに余裕そうだ。
いや、
私のほうに、余裕がないだ、け・・--か。
「・・石を、つかって、なにを、するつもり?」
じりじりと体力がそぎ落とされていく。
身体がもうほとんど動かない。
はやくケリをつけたいが・・--
「石?んなもん、魔力再発に決まってるだろ。
ただ使うだけなんてもったいないからな。
けど・・--まいったな。
姫を傷つけちまったっっこれ以上、
姫には怪我をさせたくないんだがなー・・!!」
男は突然、扇のようなものを取り出して、
殿下に投げつけた。
ヒュッ・・--!!
「!!」
殿下は一瞬身体を固め、目を見開く。
「ッ殿下!」
私は、ハッとなってすぐさま腕を伸ばした。
届けーーー!!
めいいっぱい、魔力を解放する。
ジャラジャラジャラーーーーーーッ”!!
模様でしかなかった鎖が具現化され、
扇に絡まる。
ジャリンッジャラッジャラッ・・-
ガシャンッ
鎖が扇を完全に止めて、その場に落とした。
一瞬、凍りつく部屋。
「!!」
「なにっ」
「ッ”---・・っ」
生命力が一瞬放たれた開放感と、
瞬く間に奪われていく力。
思わず私は痛みで顔をゆがめた。
もう、へとへとだ。
疲れきって、身体が地面に埋まってしまったかのように
一歩たりとも動けずへたり込む。
「なっ・・!姫、まさか、それはーー・・」
「ま、さかの、それ、よ。」
「っ!なんでそんな奴、命を削ってまで
守ろうとするんだ!
もう、お前を、傷つけられない。
今日は、帰る・・!!」
ザザッ
傷ついたぼろぼろの私を見て、
限界を悟ったのか
彼はすぐさま飛びのいて去っていった。
「殿下、・・はやく、彼をーー」
「ーー駄目だ。
下の奴らに深追いするなと告げろ」
殿下は私の言葉を無視して、ルトに告げる
「御意!」
ルトは名残惜しそうにちらりと私をみて、下に声を張り上げた。
「深追いはするなーー!殿下の命令だ!」
「お、おう、わかった」
ファゼの出鼻をくじかれたような声が聞こえたのがわかった。
「・・レイ、助かった。ひとまずは感謝する。
だが、聞きたいことはやまほどある。
帰ったら、聞かせてもらうぞ」
「・・はい、答えられることなら・・
なんでも」
そう、くるしまぎれに目をそらして答えた。
シュルシュルシュルゥゥウウウ
鎖は模様を刻むように身体の中に溶け込んでいく。
ピカッピカッ
いまだに身体は毒に反応して光を放った。
「・・ただの怪我じゃないな」
「っはい、・・毒でした」
「!撤収だ。
今日は皆、戻って治療に専念しろ」
殿下は私の答えを漠然と聞きながら、
固まってたほかの騎士にもそう告げた。
しばらくしないうちに騎士がぞろぞろ王城に帰ったことは、いうまでもない




