*夕食*
「夕食をお持ちしました」
すでに騎士の服装を身にまとって
ガタッ
と、騎士の方々が食べる夕食の弁当をテーブルに置いた。
「待ってましたーー!」
昼食のときと同様に騎士たちはざわめき、
迎え入れてくれる。
メイド姿でいようが、騎士姿であろうが、
食事を持ってくることと、関係ないと思ってくれているのだろう。
「どうぞめしあがれ」
習慣になっているいつもの言葉を口にすると、
みんなはがやがやと食べ始めた。
「・・・」
ふぅーと、息を吐き、長い金髪の髪を
後ろできゅっと縛りなおす。
「・・レイ」
ためらいがちに私を呼ぶ声が聞こえた。
ふと、そちらに目を向けると・・殿下だった。
「どうしました?殿下」
冷静にそう聞きなおし、まっすぐに見つめる。
「今日の任務、お前は俺ときてもらうが、いいか?」
今日は少し口調が緩まった言い方だ。
何でもかんでも決め付ける人なのに、
気遣いでも、しているのだろうか・・。
まさか、疲れてることに感づかれた?
「もちろんです。
私は、殿下の命令に従います」
私は力強く当たり前のように頷いた。
殿下が私に気遣ってくれるとしても、
殿下の言葉は絶対的なものであり、命令なのだから。
***
セザル視点
レミアは俺がやれといったことを平然と
仕事だと割り切ってやってくれている。
それがいかに大変で困難なことであろうとも。
今も、そうだ。
ルトから
レイは疲れ気味のように見えると先ほど連絡があった。
実際に息をついて、髪を縛りなおしている。
本来なら、俺が心配する資格など、
ないに等しい。だが・・
「今日の任務、お前は俺と来てもらうが、いいか?」
「もちろんです。
私は、殿下の命令に従います」
俺の言葉に、一体何を気にしてそんな風に問うのだと
いいたげに彼女は答えた。
疲れをあくまで隠すつもりなのだということが
目に見えて分かる。
「・・あぁ。分かった。」
従うといわれてしまったのだから仕方ない。
俺がしっかりしなければ、ならないのだ。
俺はかろうじてそう頷いたのだった。
***
しばし、身体を休めて・・
太陽が沈み、夜が訪れたところで・・
「みんな、あつまってくれ」
ファゼが、騎士達を呼び集めた。
「はっ!」
騎士達が整列し、直立し終えたところで
俺は話し始める。
「今日の任務は、
深夜きっかりに、国家魔石保護屋敷に盗みに来るという
怪盗を生け捕りにすることだ。
昨日に脅迫状が贈られたらしい。
今日は近辺警護と、盗まれるものの守護に当たろうと思う。」
「コレは重要な任務だ。
魔石は高価で利用価値が大きいことでも有名だが
それ以上に、このことには裏組織が絡んでいると見える。
そのため、王直属の我らが警護・捕縛にあたる。
気を引き締めてかかれ」
「はっ」
俺はそう説明しながら
今日の配置を頭の中で考える。
「俺と、レイ。それにルトと、
他、2、3隊は、石の警護に。
他はファゼと近辺警護だ」
「石に近づけさせないことが最良な手段だが
もし賊が侵入した場合、周りを取り囲んで確実に捕縛せよ」
「御意」
そうして、騎士たちは、屋敷の警護に当たり始めたのだった。
ほんの少し、態度が軟化しましたね、王子w
「なっ・・ただ俺はーー・・」
いいのいいの言い訳なんて。
素直になればいいんだから^
「ッ・・・」
王子は急に黙ってしまった。
・・黙らなくてもいいのに